辺境から世界を変える2012年07月13日


 この本の「はじめに」で灯りがないことを正しく想像できるだろうか?という問いがあります。

 灯りがないという事は、夜になると何もできなくなる事を意味します。
 日が落ちる前に夕食の準備をする必要があるので、働く時間は2時間短くなり、少ない収入から灯油を買うお金も必要になり、灯油を買うために往復3時間の道のりを月に6回行き来する必要があります。

 これを読んだ時に電気(灯り)ってすごいなと改めて思いました。日本に住んでいると灯りは当たり前のものだけれど、当たり前ではない場所にとっては生活のために働く時間を削ってまでも確保する贅沢品なのです。また、灯油からでる煙で健康を害することがあるのも問題です。

 この問題の解決策となったのが太陽光発電のランプです。送電網がない僻地や送電網があっても電気代を支払えない層にとって、送電網が必要のない太陽光発電ランプは革命的なものでした。
 灯りがあれば、日が落ちる前に夕食のしたくをしなくて済むし、灯油を買いに出かける必要もなくなり、働く時間が増えます。そして、灯油を買うお金も浮くので貧しい人にとってはかなりのインパクトを生み出します。

 このように、先進国ではなんという事のないテクノロジーが貧困層の生活改善のためにイノベーションを生み出す事例が徐々に増えています。

 営利と非営利、寄付とビジネスを組み合わせることでも貧困層の生活向上にむけた事業が誕生しています。共通するのは当事者意識をもって持続可能な姿を目指してどうにかしようと粘り強く続けたこと。

 貧困層を相手にしたソーシャルビジネスにも色んな取り組みがあるんだなと知り 、どうせ寄付するならこういうところにお金を出したいという気持ちが強くなりました。

ソーシャルファイナンス革命2012年07月13日

 Living in Peaceの代表ででもある慎泰俊さんの新著『ソーシャルファイナンス革命』を読みました。


 この本では発展途上国で起きている資金調達の新しい動きとしてマイクロファイナンスを、先進国で起きている資金調達の新しい動きとしてP2Pファイナンスを紹介しています。そして両者に共通するキーは人と人のつながり。それ故にソーシャルファイナンスと呼ばれています。

 途上国においてはマイクロファイナンスのグループローンやみんなで集まってお金を借りたり、返済をすることで貸倒れが極力発生しないような仕組みを実現しています。これは地域のコミュニティが根強く残っているが故に実現できる方法です。

 逆に先進国の都市部ではコミュニティと呼べるほど強い繋がりはないものの、SNSなどを通じて多くの人との繋がりを持っています。この、多くの人との繋がりを通じて自分の事業をアピールし、共感した人がお金を融通する仕組みがクラウドファンディングと呼ばれるものです。

 お金を必要としている人がいて、もう一方でお金を出してもいいと思っている人がいる。両者をつなぐいでお金を必要としている人 融通するのが金融の元々の姿でした。

 事業にはヒト・モノ・カネが必要ですが、間接金融が主流の今の日本では財務諸表(カネ)ばかり見て事業の主体であるヒト・モノを軽視した結果、銀行はリスクを避けるようになり、地域にお金を回すのではなく安全とみられる国債を購入することで、地元にいつお金を必要としている人にお金は届かなくなってしまいました。

 先進国において人とのリアルなつながりという意味での地域のコミュニティは失われつつありますが、ネットなどを通じて多くの人に対してコストをかけずに自分の思いや事業をアピールができ、お金を集める仕組みが構成されたことにより、共感をベースにした資金調達が可能になったのです。

 こういった資金調達が可能になると、ワクワクするような事業を行う人が出てきやすくなり、日本や世界が変わって行く原動力になるのではないでしょうか?

「投資で良い会社を応援する」セミナーに参加2012年07月13日

「投資で良い会社を応援する」というセミナーに行って来ました。
 日時:2012年7月12日(木) 19:00〜20:45
 主催:日本CFA協会主催
 協賛:社会的責任投資フォーラム(SIF-Japan)、クラブ・インベストライフ
 会場:鉄鋼会館

 よい会社を応援する投資というと何を甘いことを・・・と言われることもありますが、投資の原点だと自分は思っています。全てではなくとも、ある程度の割合ではそのような投資をしたいという考えで投資を行なっています。
 今回は自分もよく投資をしているマイクロ投資プラットフォームのミュージックセキュリティーズの小松社長が話されるという事で参加してみました。CFA協会主催という事で質疑応答で出てくる質問が個人投資家とは違うな〜と思いながら聞いていました。
 SIF-Japanにも個人会員として登録している身としては、参加されていたCFAの人がどんな風に感じたのかも興味深いところです。

さわかみ投信 澤上 篤人氏

本業はいかに日本に直接投資を根付かせるか
戦後の日本は間接金融で国内のお金を高速に循環させて経済成長を遂げた世界で唯一の国
関節金融はある程度まで発展すると危険になる
株は博打、海外投資はNGという環境下で行き場を失ったお金が土地や不動産に向いてバブルが発生した
日本には世界一の預金残高があるが、これを少しでも投資にまわすと経済が活性化する
子や孫によい世界を残すのは大人の責任
IPOを求めないソフトリターンなベンチャーキャピタルもやってみたい
お金を一旦手放してぐるぐる回って返ってきたお金がリターン


ミュージックセキュリティーズ 小松 真実氏

当社の商品は小口投資と上限設定が特徴
もとは音楽家のためにファンからお金を集める仕組み
そこからレストラン、酒蔵へと広がっていった 現在160本で5万人の顧客がいる

被災地応援ファンドではバランスシートの負債ではなく資本としてファンドの資金がみなされるように
これにより事業者が銀行からお金を借りやすくなった
また、地銀との連携も進んでいる

出資者を消費者にすることにも注力している
金融の力が世の中の役に立っていることを実感
上場を目指さない会社にも資金調達の場を提供している


大和総研 河口 真理子氏

いい会社をお金で応援する
小さい町の会社(ミュージックセキュリティーズ)から大きな企業(さわかみ投信)まで
両者を組み合わせたセミナーが面白いのではないか?と話したのがきっかけ

環境問題をやりたくて証券会社に入った
なぜなら環境問題というのは市場の失敗から生まれるから
市場に一番近いところという事で
いずれ企業を環境面で評価する時代が来るのではないか?と

日本と欧米ではSRI投資の規模が雲泥の差
個人に良い会社への投資といった話をすると評判がよい
あなたの お金を嫌いなところにまわすことはない

ソーシャルビジネスカレッジをミュージックセキュリティーズと共催している
いい事にお金を使いたいという人は潜在的に多いが株式投資はイメージが
ダイレクトにつながるのが楽しいし、精神的な満足度が高い

100年後にはソーシャルビジネスが大きくなるのではないか?
地球の規模の限界がある。持続可能で食べていける形態で。そこにお金をつける

大きなお金と小さなお金の両方で応援したい


I-Oウェルス・アドバイザーズ 岡本 和久氏

2005年から生活者向けに投資教育を仕事にしている
忙しくて楽しくて儲からない 趣味に近い

いい投資を俯瞰してみる
生活者はCEO Consumer(消費者)であり、Employee(従業員)であり、Owner(株主)でもある
生活者は企業そのものと言ってよい
CとEとOの配分の問題

給与を現在の消費と将来の資産運用に使う
現在は投資に回らないで間接金融で眠っている状態
企業を応援して育てる視点
全ての生活者が企業に働きかけるのが大事
 自分の価値観で買う 周りに流されない 本当に必要なものを

プロの倫理観を持つこと これをしなさすぎる
また、配当金をもらったら社長にお礼の手紙(ハガキ)を送ろう
自分がなぜ投資したのか見直せるし、企業の態度もわかる

三方良しは企業のコア
生命よし、環境よし、未来よしをプラスして六方よしへ

質疑応答

Q 直接金融を広めようという動きが地方銀行にも見られる。コラボレーションの可能性は?

A (小松)地銀からの紹介案件も多く将来は銀行でも販売したい 地銀もリスクマネーを出すと良い
  (河口)間接投資の事業者がお金の出し先を変えていく 地産地消で市民のお金で産業を作る

Q 株主責任を果たしていないと思われる企業が多いので株主価値破壊企業リストを出して欲しい

A (澤上)CSRを企業に求めすぎる 自分も意識を持って。美意識や品格。
     企業の存在価値は何か?人件費や研究開発費など付加価値を重視している。
     600社にしか興味はない あとの企業は無視

Q 日本における直接金融にとっての壁は?

A (岡本)幼少時代からの金融教育 お金のポジティブ面を見せていない
  (河口)清貧の思想はあっても清富の思想がない コメ相場から始まった日本では投資は博打
      農地改革で旦那さんがいなくなったのもみんなが小作思想になった原因の一つでは?
  (小松)自分たちの営業が足りない タンス預金、銀行預金、投資と自分たちの投資が比較の対象に
      なっていない
  (澤上)時間の問題だと見ている まずはお金の出し癖をつけること

Q 直接金融に対してイメージが悪いが・・・

A (澤上)マーケットはピンからキリまで 参加は自由で自分がどこに参加するか?自分で考える
      法律や規制は無理。大事なのは自分が参加するレベル。かっこいいマーケット参加者に。
  (河口)アンチテーゼとして小松さんの事業がある
      プロがそこから何を学ぶか?
      ESGミーティングというのを企画したがなかなかやってくれる企業がない
      資生堂と味の素が開催してくれたがIRでは聞けない話が聞ける

Q ミュージックセキュリティーズのファンドのエクジットはどのように?

A (小松)売上の何%を配当と決めておく
      売上が元本確保分に達しない場合には在庫を分配することも