ソーシャルビジネスカレッジ ミュージックセキュリティーズ(2012.09.20)2012年09月23日

ソーシャルビジネスに関する勉強会「ソーシャルビジネスカレッジ」の最終回はミュージックセキュリティーズの小松 真実氏の講演でした。


日時:2012年9月20日(木)

場所:グラントウキョウノースタワー 大和スカイホール

主催:大和証券グループ、ミュージックセキュリティーズ


少し遅れての参加になりましたが、講演のメモをアップします。



創業からのあゆみ


音楽ファンドを作りたいという想いから創業した。

メジャーレーベルから出さないと売れない、インディペンデントになれない。

経済的にもインディペンデントになって欲しいとの思いで「いいね」をインターネットを通じて集める仕組みを構築した。


2006年にレストラン、2007年に酒蔵ファンドを設定


2011年 当社に出資していたVCが償還を迎え、事業会社からの出資へ転換している。

電通、リクルート、地銀グループ、三井住友など



作り手のための金融


当社はミュージシャンや事業者など作り手のためになる金融を目指している。

これまではインターネットを通じた直接販売だったが今後は金融機関での販売も目指す。

今現在11社と交渉中。


ファンドを組成するのはストーリーのある会社。

アンケートでも事業者に共感したという理由が多い。

儲かりそうではなく、被災地の方のために被災地応援ファンドを設定した。

もしも、被災地に資金ニーズがなければやらなかった。


広義でのマイクロファイナンスだが、マイクロな個人が投資する仕組み。


クラウドファンディングとは違う

あれは金融ではない。


第二種免許を持った金融機関として

似ているが違う事業


日本各地の事業者にこの仕組を広めたい

面白ければ資金が集まる

収益性よりも


ソーシャルビジネスとは社会的問題解決+ビジネスの両立だと考えている。

他人から言われるのがカッコいい。

これからも他人からソーシャルビジネスと言われるように。



<コメント>


大和総研 河口 真理子氏)

大和総研ではCSR活動としてサスティナビリティカレッジというのを開催していた。

社内へフィードバックできるものをということで開催したのがソーシャルビジネスの勉強会


株式会社が資金調達するのは利益の成長が前提になっている

既に地球資源の1.3倍もの資源を一年で利用している現状がサスティナビリティなのか?


拡大思考ではない社会的ビジネス

CSR 活動はその第一歩では?

海から陸に生物が上がったように

利益から社会性に価値観が変わっていくのでは?


河口)

ミュージシャンから金融ビジネスにとはなかなか行かないと思うがなぜ?


小松)

メジャーレーベル全盛の頃で若いミュージシャンが若い人からボコボコに言われる

お金がないと何も出来ないと思った。軽いトラウマに。

金融ビジネスを始めてからも銀行やVCにはやられる事もあったので、ファイナンスを勉強した


インディペンデントな事業者に武器を供給するのが当社の役割


河口)

重視するものは


小松)

デューデリジェンスでキャッシュフローや事業計画は公認会計士が確認しているが、事業者のこだわりを重視している。


酒蔵のように共感性のある方が事前にこちらで収益性ありそうと思っていたものよりもお金の集まりが良かったり、結果も良かったりする。


ストーリーを共有したい。

これは他ではやっていない。


事業者にとっても集めたお金への責任感が生じる


 ・ストーリーのある経営
 ・ミッションがしっかりしている


この二点が共通点


河口)

ソーシャルビジネスには強烈な想いがあり、それが周りを巻き込む力になる
協力したくなってしまう


マザーハウスは広告をしていないし、内装も自分達で行うのであまりお金がかからない

アダンセも一人でビジネスしているが、カッコいいパッケージデザインはプロが無償で提供している。


おかげでノウハウが安く手に入ったり、協力する事で協力者が満足したりする。

関わりを持つことにリターンを感じ、喜びを感じる


これはバブル後だから感じられる今だからこその価値観


志をお金にという想いがある

ちゃんと儲ける仕組みをベースに探してくると想いがなくなってしまう


したたかに活動している

ビジネス的にも戦略的にも




<パネルディスカッション>


Q.ソーシャルビジネスとは?


小松)

 ”生き様”プラスビジネス以上

猪尾)

 事業の継続性を高める手法

株主がトライ&エラーを何回我慢できるか

また、この手法をどの程度組み入れているか?でビジネスとソーシャルビジネスの意味合いが変わる?


河口)

両方を組み合わせたのがソーシャルビジネス

21世紀型ビジネスの担い手

20世紀に資本主義(お金)と共産主義(公共性)という対立があり、資本主義が勝ったが、その資本主義も綻び始めている

自己利益から公共利益への流れ


アメリカでは株式会社の新しい形態としてベネフィットコーポレーションというのがある。

株主利益だけを追求しないソーシャルビジネスを行う形で7つの州で導入されている。

日本にも展開しているパタゴニアはベネフィットコーポレーション


小松)

形態はどうでもいい

資金調達をどのように行うか?

必要な額を必要なタイミングで調達する


猪尾)

出資の動機が多様化している

被災地応援ファンドでは半分のお金は寄付で、なくなってもいいという性質のお金

日本酒のファンドでは5年間は寝かしていてもいいというお金



<会場からの質疑応答>

Q.この仕組をまちおこしにも利用できないか?

Q.シーズをどう発見していくのか?

Q.シーズがあってニーズのないものをどう扱うか?


小松)

まちおこしもたぶん使えると思う

ただ、誰が当事者になるのかが大切

町内会で資金を集めるというのとは違う


例として黒壁 事業単位での募集ではあるが、若手作家を支援する仕組みでまちおこしにもつながる


ニーズからシーズを探していない。

先ほども話したが、そういったものよりも強烈な想いを持った事業者の方がうまくいく。

シーズからニーズをファンドを通じて作り上げていくことはある。


河口)

共感の目利きはどうしているのか?


小松)

担当者がすごくいいと思うかどうか?

事業者の熱量をインターネットを通じてどのように伝えていくか?

直接会うことによって感化されるものはあると思う。


周りに伝導して行かないといけない


猪尾)

ソーシャルビジネスは巻き込む力が重要


Q.

未達のファンドがあるが

銀行でMSのファンドを販売する計画についてもう少し聞きたい


小松)

当社の認知度、信頼度を高めていきたい

ファンドを償還して実績を残すことで信頼を高める

金融機関で売ることでも


Q.行政との関わり方は?


小松)

一緒にやっていきたい。

県庁や金融庁とも協力してやっている


河口)

プラットフォームをまずはしっかりすることが大事。

総務省の緑の分権改革という地方再生策があるが、地方では年金が入るが使い途がない。

食べ物は自分たちで作っているし買うものもない。

そこで地銀や信用金庫に預金が貯まるが、銀行も融資先が地元になく、結局国債を買っている。

それがいずれ遺産となって東京にいる息子にわたって住宅ローンの返済にまわされたり。

地方でお金をまわす流れが必要


Q.応援団といい事業者はどのように出会うのか?


猪尾)

自然と事業者の想いに吸い込まれる

発信が多いのが特徴


河口)

小松さん自身の経験から考えてみてどうか?


小松)

素直であること。

どうしてもやりたいという事を素直にお願いしていく姿勢で協力が得られる


河口)

ご縁。

マインドがある人を引き寄せ、タイミングで人との出会いがある


Q.再生可能エネルギーでのこの仕組の利用は?


猪尾)

いまはたまたまやっていない。

誰がやるかが大切。

事業者の想いがあるか


河口)

この仕組は市民風車でもあるが、志をどこに見るのか?

地域をどのように絡めるかが大切。


小松)

地域も利益を得られる形で。


Q.規制、管理コストについて


小松)

例えば本人確認などもやり方がある

外注できることは外注して、ネットで完結出来るようにすることでコストを抑えている

大きくこのビジネスを伸ばすためには外販も必要

それによって関係性がどのように変わって行くのかは気をつけている


河口)

想いをシェアする仕組みで今まではプロボノ的な働き方もあったと思う。

創業から12年ということで今は小学生。これを中学、高校と大人へのステップを歩んでいくことが大事。


Q.クラウドファンディングという新しい仕組みと既存の金融機関との関係


小松)

既存の金融機関を巻き込む形で推進していく。

既存金融機関は当社の倒すべき敵ではない。


よく一緒にされることがあるが、クラウドファンディングは金融ではなく、当社は第二種登録された金融機関。

当社は規制を作る側の人たちとも協力して事業者にとって後押しする制度作りにも関わっている。


尖っている、感応度の高い人と一緒に。


猪尾)

根は地域の会社が元気になること

補完しあう関係になりたい


河口)

ブランディングが必要だと感じた。

今の事業を表現するのにクラウドファンディングのような・・・と話すのが最も通りがよいが、違うのであればそこをもっとアピールする必要がある。


Q.まとめとして今後について一言


小松)

ソーシャルビジネスは利他の考え方で生き様


猪尾)

リソースの限られている中で事業者と投資家をつなぎファンを作っていく


杉山)

マイクロファイナンスのファンドを組成したくて転職してきた。

世の中には少しのお金がないために困っている人が多くいる。

日本中から少しのお金を集めて届けていきたい。