第五回インデックス投資ナイトレポート(1) ファンドマネージャー座談会(前編)2013年01月13日

昨日、第五回インデックス投資ナイトに行って来ました。
仕事が入るかもしれないという事で一応チケットを買った時には参加できるか微妙だったのですが、参加できてよかったです。

最初に座談会のメンバーを見た時は偏ったメンバー構成だな・・・と思ったのですが、その後にファンドマネージャーさんが追加になり、カンさんが司会に入ったという事で今までで一番盛り上がったと思います。

カンさんが完璧に場をコントロールし、盛り上げるツボを抑えている山崎&内藤コンビが盛り上げ、初参加の新井さんも楽しそうに話に応じて、丸山さんも大手運用会社の運用部長という立場がありながらあの場で話すのはやりにくい点もあったかと思いますがとてもいい座談会になったと思います。

個人投資家がプレゼンするI-1グランプリは話すのが速いだろうからメモは無理と最初からあきらめて話を聞くのを楽しみました。それぞれ特徴ある話で面白かったです。

出演者の皆さん、そして準備していただいた運営スタッフの皆さんありがとうございました!

日 時:2013年1月11日(土) 18:00〜21:00
場 所:東京カルチャーカルチャー
主 催:インデックス投資交流会(→ 公式HP
Ustream中継:なし Twitterでの模様は I-1グランプリ ファンドマネージャー座談会
プログラム:
  18:00 投信ブロガーが選ぶ Fund of the year 2012授賞式
  18:20 休憩
  18:30 第1部 I-1グランプリ2013お台場大会
  19:10 休憩
  19:20 第2部 座談会 ファンドマネジャーがホンネで語る運用業界
  20:20 休憩
  20:30 質疑応答
  21:00 閉会
  21:30 交流会(有志のみ、別料金: 飲み放題1500円軽食つき)
  22:30 交流会終了

司会   晋陽FPオフィス      カン・チュンド氏
パネラー 日興アセットマネジメント 丸山隆志氏
     鎌倉投信         新井和宏氏
     資産デザイン研究所    内藤忍氏
     経済評論家・楽天証券   山崎元氏

イベントの模様の写真は当ページのFBページにアップしました。(→ こちら

カン:
これから第二部 座談会になります。
『ファンドマネージャーがホンネで語る運用業界』ということで四名のパネラーの方に登壇いただきます。
私はインデックス投資アドバイザーの本日座談会の司会をさせていただきますカン・チュンドと申します。
どうぞよろしくお願いします。


今日初めて参加の方は?多いですね。ようこそインデックス投資ワールドへ!
2回目・・・3回目・・・4回目・・・もしかして5回目の方。
すごいですね。世の中にはモノ好きな方がおられるんですね(笑)

では、パネラーの4名の皆様、一番最初にやるべきことをご存知ですよね?
一番最初にやること、パネラーの皆様飲み物を注文して下さい。

皆さんもう頼まれましたか?
あ、私今日仕事するので・・・

山崎:
こっちが遊んでるみたい(笑)

カン:
今日はパネラー4名の皆様、今日お越しの皆様は投資信託そのものはわかっていると思うのですが投資信託の作り手である運用会社というところで一体なにが行われているのか?
ファンドマネージャーという人が何をしているのか意外と知らないんですよね。
そういう事を個人投資家の方々に知っていただくというのがこの座談会の一番中心です。

まず最初に四名のパネラーに自己紹介とファンドマネージャーとはどんなことをする人なのか簡潔に。


丸山:
丸山と申します。今日はよろしくお願いします。
私は日興アセットマネジメントという投信投資顧問会社で株式、ほぼ日本株とオルタナティブ運用を
しています。

だいたい部員が40名程。ファンドマネージャー15名、アナリストが15名くらい。あとはアシスタントというような構成で日本株ですとかグローバルマクロなど。

6年前に日興アセットマネジメントに来ましたが、その前は別の会社でファンドマネージャーをしていた。
今はファンドマネージャーの取りまとめというか部として全体のファンドのパフォーマンスがよくなるようにするというミッションにも携わっている。

ファンドマネージャーの仕事はなにか?
一番大事なことは他人のお金を運用するという事ですので信頼してもらわないといけない。
まずは事前の方針通りにきちんと運用する。説明責任。成績がいい時も悪い時もしっかり説明する。
これがファンドマネージャーの仕事。

新井:
鎌倉投信の運用責任者をやっています新井と申します。よろしくお願いします。
取締役資産運用部長として部員は1名、私のみでございます(笑)

ファンドマネージャーの仕事はなにかというと、うちの場合は一人ですから全部自分の中で決めないと
いけない。ファンドマネージャーというのは朝、うちの会社の場合は会社が古民家なもんですからまずは掃除からスタートします。

8:30から会議をして今日どういったトレードをするか
9:00〜10:00くらいまで実際にオーダーを出す。
これを一日ずっと話していると時間がなくなるのでまずはこの辺で

内藤:
私、ファンドマネージャーではないんですけど資産デザイン研究所という会社を今年の1月1日からはじめました。内藤です。男性に人気のある内藤です。いつも握手を求められたりするのも男性ばかりで手に汗をかいたりするんですけど。

ファンドマネージャーの仕事は住友信託銀行で87年から10年くらい銀行勘定の運用をしていました。
そのあと、シュローダーというイギリスの会社で年金運用に移りまして、先ほどのバンガードの加藤さんとも一緒に仕事をさせていただいた。そこで債券のファンドマネージャーとグローバルアセットアロケーションのファンドマネージャーを。その後はマネックス証券、クレディ・スイスと証券会社の仕事。
ファンドマネージャーの仕事は14年くらい前まで。

会社によって、アクティブとインデックスでも違うし社風によっても違う
どういう人員でやってるかでも違うと思うのでその辺をお話できれば。

山崎:
経済評論家という肩書きを使うことが多いですが、経済評論家としてしゃべったり書いたりもしますが
楽天証券の社員でもあります。証券会社の社員なのでもしかしたら嘘つくかもしれない。そういう心配を
しながら聞いて欲しい。

大学で金融資産運用論とかを話したりしている運用会社は6社勤めていた。
楽天証券が13社目。野村投信、住友生命、住友信託、シュローダー投信、第一勧業アセットマネジメント、明治生命。他にはファンドマネージャーを相手に証券会社で働いたり、研究所に所属したりもしている。

ファンドマネージャーとは自分が稼ぐというよりもポートフォリオが勝手に稼いでくれるというものですから見て、うまくいかないかなと祈る。運を用いると書いて運用というくらいですから、ただうまくいかなかった時に言い訳をしないといけない。特に年金運用は言い訳のアート。

顧客にどうやって言い訳するかが大事。投資信託だとファンドマネージャーといいつつ営業部長のような
ファンドマネージャーもいるように思います。ビジネスとしての現実もあるんだなと。

カン:
丸山さん、今 山崎さんが言ったことは本当ですか?

丸山:
違うと思います。もちろん、祈ることは大事です。

山崎:
鎌倉投信って祈っているようなイメージがある。

新井:
祈ってなんぼだと思ってます。
精神修行が先なので。まず心を磨かないと運用はうまくいかない。
これは間違いないと思っています。

丸山:
これは確かにその通り。ただ祈る前、心を平静にする前にすることがある。
例えば、手元にあるお金を1ヶ月で増やしたいのか10年で増やしたいのか?
安倍首相のおかげでパフォーマンスがよくなったという話も先ほどあったが、やはりここから日本株なのか?それともドル円なのか?先ほど話しのあったスウェーデンなのか?

こういう事を考えるための知識、洞察力を磨いてそれでもうまくいかないことがある。
山崎さんは言い訳と表現したが、私は説明責任と。そのあとでうまくいくように祈る。投資というのは結果が出る時と出ない時があるので自分を信じて、自分を信じ続けるのが大事では。

山崎:
投げるに信じると書いて投信と(笑)

カン:
新井さんから朝は掃除と話がありましたが、仕事が終わるのは何時くらい?

新井:
仕事終わるのは何時ということはない。日によって違う。定例で仕事があるのはオーダーを出すだけ。
それより情報収集が多いので私の場合はあっちいったりこっちいったり。
鎌倉にいることは週に1回か2回しかない。

山崎:
じゃあ、週に1日しか掃除してない・・・

新井:
バレちゃいましたね・・・
精進が足らないんです。

カン:
日興アセットマネジメントさんはインデックスファンドを運用している方もおられると思うが、インデックスファンドの運用ってやることあるんですか?

丸山:
やること一杯ですね。

カン:
どんなことをするんですか?

丸山:
インデックスファンドのインデックス投資のファンドマネージャーはキャッシュのインとアウトが毎日あるので資金を速やかに投資してフルインベストメントにしないといけない。
もしくは解約があったときに速やかに現金化しないといけない。

日本株のように為替が発生しない場合はオペレーションは比較的楽だが海外の場合は規制があったりして他にも海外の休日と日本の休日の差などある中で速やかにオペレーションするのは大変。

内藤:
10年くらいまえにバンガードの本社に行ったことがあって、あそこはインデックスの総本山のようなところ。アクティブファンドはバンガードは運用しないで全部外出しして名前をつけてラベリングしている。

バンガードのインデックスファンドのディーリングルームはイメージとしては原発のコントロールセンター。みんな画面見ているんです。ずっと。で、お金が入ってくるのが見える。チャリンチャリンと・・・。

どう振り向けられているか見ているんです。エラーが出たりすると何かする。
50兆くらいと10人くらいで運用していた。機械的にアルゴリズムで運用しているので人間がやるよりエラーが少ない。

カン:
アクティブファンドの方が忙しいんですか?

内藤&山崎:
アクティブはヒマなんじゃないですか?

新井:
誤解をうむような発言は止めて下さい。ヒマなわけでは・・・

カン:
では新井さんどうぞ

新井:
いや、あの・・・アクティブの方がヒマだと思います。
だってインデックスの人大変ですよ。

カン:
前職でインデックス系の運用をされていてインデックスの方が大変なんですか?

新井:
前はBGIというi-Sharesを扱っている会社で運用していたが、インデックスの人はこまめにインデックス(の構成銘柄)が変わったインデックスチェンジとか、変わった事によるインパクトをいつ買うことで小さくするかなどを一生懸命考えていた。

アクティブは前のエンハンスドインデックスをやっている時に大変でしたけど、今のアクティブは非常にゆったりとした時間が流れている。

カン:
丸山さん、インデックスファンドを運用する人とアクティブファンドを運用する人って仲いいんですか?

丸山:
よく、仲が悪いんじゃないかと思っている人がいますが、仲が悪いわけじゃないんです。仲がいいというわけでもないが。

関心の方向が全く違う。アクティブマネージャーの場合はいかに市場に勝つか、他のアクティブのファンドに勝つかを考えている。

インデックスのマネージャーの場合はいかにインデックス通りに運用できるか?いかに売買コストを減らすか?タイミングよく売買するかなどを考えている。インデックスとのデイリーでのトラッキング・エラーを考えるので日本で言う大引け対策が大事になる。なので2時〜3時に席を外せない。

ところがアクティブマネージャーは朝に情報を仕入れてマーケットを見たら午後は会社訪問などに出かけるのでアクティブマネージャーが自由そうに見えてしまう。

そういった意味でアクティブ、インデックスマネージャーが仲良く語っているところをみたことがない。

カン:
新井さん、正直なところどっちが運用が難しいんですか?

新井:
運用の難しさ的には同じだと思います。
コストの話でインデックスが安くてアクティブが高いというが、見ていて思うがどっちが手間が多いかというと変わらない。インデックスの人って安いフィーの中で大変だなと見ていた。

山崎:
インデックスファンドに投資することは良くて安いものを買っているということですよね。
やっぱりインデックス投資ナイトはいいイベントなんです。

カン:
四名にお聞きしたいが、ベンチマークを超えるパフォーマンスを続けるのはどれくらい難しいのか?

丸山:
かなり難しい。毎年安定してアウトパフォームするファンドがいかに少ないかご理解いただけると思う。

新井:
難しいと思います。アクティブマネージャーでそういう人はほとんどいないと思う。
私、なんでこういう事を言うかというとインデックスについていかないと決めたのでこのファンドをやっているだけでそこが最初から違う。

インデックスに勝つというのはBGIの頃に思ったが本当に大変なこと。

内藤:
インデックスに勝つという事はアクティブがやっていると思うが、どれくらいインデックスとずらすかばかり考えているサラリーマン的な考え方で、例えばアクティブファンドの組入れ銘柄ベスト10とTOPIXベスト10を比較するとほとんど同じになっているファンドなどがある。

トヨタを持たないリスクというのがファンドマネージャーにはあって、トヨタを持たないでトヨタが上がってしまうとインデックスに負けてしまう。そうすると時価総額の大きい銘柄を入れないということはアクティブファンドマネージャーにとってすごいリスク。

勇気のない人はどんどんインデックスに近づいていってしまう問題がある。

あとはインデックスファンドのインデックスに関する問題もある。
日本だと日経225やTOPIX。どちらも新興株が入ってなかったり日経だと225銘柄しかなくて銘柄入れ替えの問題もある。

どこの国のインデックスにもインデックスの問題はある。インデックスを買っていれば平均を買ってるという幻想は捨てたほうがいい。

山崎:
立場によって違うことを言わないといけないが大学教師としてはインデックスをアウトパフォームするのはとても難しいと言わないといけない。
だいたいの場合6割〜7割のファンドはベンチマークに負けている。かつそれから入れ替わっている。
アクティブファンドの平均は下回るし、どのアクティブファンドがいいかは事前にはわからない。
この2つが運用業界の不都合な真実と私は名付けている。

アクティブの方がフィーが高いのであれば経済的な意思決定においてアクティブファンドを買うことは論理的でないと言える。

ファンドマネージャーとしてどうだったのか?という事であれば難しいとしかいいようがない。
ただ、私はなぜか運が良かった。毎年毎年年度ベースで負けた覚えがない。それが継続すると思ったことは一度もないし、今年は勝てるか心配だった。

マルチファクターモデルの使い手だったのでインデックスに対してどうするか数理的な運用をしていたが勝てたのはたまたま。

カン:
いま投資信託を現に持っている人で積立している方手を挙げて・・・
スポットで買っている人手を挙げて・・・

運用する立場で毎月コンスタントにお金が入ってくるのとまとまったお金が入ってくるのとファンドマネージャーにとってどういうお金の入り方が一番いいと思うか?

丸山:
大きな違いはない。先にお金の動きは見えたほうがやりやすい。毎月どうかというのはありがたいが、突然入るのは困るというのはない。

カン:
大きな解約が不定期に発生するのは戸惑ったりしますか?

丸山:
戸惑うかと言えば戸惑うが。運用資産が減るのは大変残念だが、流動性のある市場であれば大丈夫。

新井:
資金フローは大事です。これがなかったらうちの運用はよくならない。rennyさんがコラボ投資と言っていますが、そのもの。

震災の時に普段の10倍の入金があったから僕らはパフォーマンスがいいだけで、お客さんが僕のパフォーマンスをあげてくれているだけ。

なぜなら、単純に安い時に株が買える。下がった時に入金してくれるほとファンドマネージャーが助けられることはない。

内藤:
資金フローは大事。急に解約があるとせっかく作ったポートフォリオをリバランスしたり面倒なことになる。基本的には毎月いくらという風にわかっている方が安定して運用できる。下がった時にお金が入ってくればゴキゲンですよね。

山崎:
資金の出入りは無いほうがパフォーマンスはいい。資金が入ってくるというのはこの辺買いたいやウェイトを変えたいというのを調整できるので気楽に対応できる。

出て行くというのは自分が売ることによるマーケットインパクトもあるのでパフォーマンスにはよくないし気分もよくない。

出て行くというのはどんなファンドマネージャーも気分がよくないのでは?

カン:
ファンドマネージャーの成績というのは会社からどんな風に評価されているんですか?

丸山:
アクティブとインデックスで違う。アクティブのボーナスは実績が全て。市場をどれだけ上回れたのか、競合他社に対してどれだけ勝ったのか?

カン:
ライバルファンドをチェックしているんですね?

丸山:
そうですね。インデックスファンドの場合はインデックスからだれだけずれなかったか。例えばインデックスが19%の時にファンドが21%だったとする。これはズレ過ぎですよね。良くなったというのは意図してやったのであればいいが、たまたまだと逆になる可能性もあるので良くない。

山崎:
マイナス方向にぶれ方が偏っている場合がある。インデックスファンドのトラッキング・エラーだけで評価するのはまずいなと思うがどうか?

丸山:
そうですね。評価では厳密に評価しています。

山崎:
投資家でもトラッキングがずれているのがあるが、ああいうのは危ないなとかそう思ったりするか?

丸山:
ぶれてても理由のあるものがある。例えば中国関係などどうしてもブレる。ぶれてる理由がはっきりしていればいい。

山崎:
MSCIコクサイベースのETFなどは商品として個人的にどう思うか?

丸山:
そんなに問題を感じたことはないが問題ありますか?

カン:
投信は歴史は長いが個人ユーザにいまいち普及していない。残高が60兆円に停滞しているのは何が原因なのか?

山崎:
一番大きな原因はマーケットが悪かったこと。
いいマーケットが二年くらい続くと相当風景は変わるのでは。ただ、フォローのマーケットが続いてもその後に悪いマーケットが来るかもしれない。

長期的に考えると商品の質がよくない。端的に言って手数料を高くしすぎたということがあると思う。
販売手数料も高いし、信託報酬もだんだん上がっている。

最近モーニングスターの朝倉さんが書いた本に結構思い切ったことを書いていて手数料はだんだん上がっているし、日本の投信はごく一部のETFを除いて他には買えるものはないぞ的なことをよくモーニングスターの商売しながら書けるなと。立派な本だと思う。

手数料を高くしすぎて手数料のことなんて知らない人に売っているから、良心的なファンドを仮に作ったとしてなにが起きるか考えると既存のお金がそちらに移ってしまう。

ある種投信マーケットの袋小路のようなものが起きている。
銀行窓販という巨大なマーケットをオープンして60兆円というのは業界全体として情けない状態なんだろうなと思います。

カン:
運用会社が悪いのか?販売会社が悪いのか?

山崎:
販売会社が悪いですよ
   
内藤:
楽天証券ですよね?勇気ある発言ですね(笑)

山崎:
大学教授に完全に足を踏み入れた発言を・・・

内藤:
89年から株価が右肩下がりなのが一番大きくて、アメリカの場合はグリーンスパンが議長をやってる時に401kが始まって誰でも資産が増えた。みんな素晴らしい言って投資をした。日本もそうなれば変わる。

もう一つは銀行の店頭にいくとすごいファンドを売っている。
この前店頭で売上げランキングベスト5を見たらハイイールド、エマージングとブラジルだけ。一番下にこれは決して販売を推奨するものではないと書いてある。あくまで過去の売れ行きのデータですと。

明らかに販売員は誘導しているわけですよね。それで損して塩漬けになってまた相談に行くと乗り換えましょうといわれる。
それをやってるといつまでたっても残高は増えない。
投資家もだんだん賢くなって販売会社の悪い人を切り返すトークができる理論武装できることも大事では

山崎:
そもそも販売会社としゃべっちゃいかんですよね。
銀行に行くといまの季節はろくなものを売ってないしインフルエンザもうつるしネット証券で(笑)

内藤:
転職したくないみたいですね。山崎さん。楽天にまだいたいという。

カン:
運用会社の立場で販売会社に望むことは?

内藤:
そんなこと言えるんですか?販売会社様に対して!

丸山:
販売会社様は200社以上とお付き合いさせていただいている。投資家のきめ細かいニーズを把握して、その人がとれるリスクにあった商品を買うべきだということをしっかりと把握して販売して欲しい。

山崎:
その人からどれだけコミッションをとれるかは考えても快適なリスクは考えてないのでは?

内藤:
保険の窓口と一緒で

山崎:
やっぱり販売会社が悪いな

内藤:
揺れてますね、山崎さん

丸山:
どうして残高が増えないか?デフレが大きい。キャッシュで持っているのが一番賢かった。短期的にはデフレが続いても取り返そうとする動きはあったと思うが、これからデフレ脱却できそうだという事になると大きく世の中変わってくると思う。

内藤:
必ずしもパフォーマンスがいいファンドが売れてるわけじゃないですよね?
日本株で10年連続でインデックスに買っているファンドでも残高が数十億円ということもある。

一方で宣伝をバンバンやってるファンドが何千億円ということも。ちゃんと見てない。
投資家もいいものをちゃんと見るという人が増えたら宣伝バンバンからそっちに移るのでは?

丸山:
それはおっしゃるとおり。
アクティブは平均するとなかなかパッシブには勝てない。勝ち続けるファンドを見つけるのが醍醐味。
そのためにファンドマネージャーが何を考えているのか?このファンドマネージャーならどう考えているのか?共感できて過去もパフォーマンスのいいものを見つけたら自信を持って買えるのでは?

カン:
もっと情報発信をするべきだと

山崎:
その自信が危なそうだな〜
行動経済学ではオーバーコンフィデンスという。

内藤:
ファンドマネージャーの人の名前がマネックス証券が設立された99年にはスターファンドマネージャーが顔を出していた。

いいかは別として顔が見えたが、今はファンドマネージャー誰ですか?と聞いても言えませんとかチーム運用なので誰とは言えないと言われたり日本株のアクティブでどう違うというのが・・・

カン:
運用する立場としてサービス業としてもっとこういう風に投資家に発信しないといけないという点や問題点などは?

新井:
自分らは小さい立場で申し訳ないが、それは地域の(新しい)お客様が入ってこないから。
うちのお客様の分析をしたらだいたい20%くらいが投資をしたことがない人が入ってきていた。
他の会社では2割というのは達成できていないのでは?

カン:
新しいお客様を獲得できていない?

新井:
投資ってこわいとか、リスクがあるとか元本割れするとかそういうイメージがある。
そういう中で農耕民族の日本人が預金で守られていたのが急に変われるわけない中で改革に対して業界として努力してこなかったのが問題では。

カン:
鎌倉投信で2割の新しいユーザを獲得できているのは何が原因?

新井:
宗教?(笑)
鎌倉教的な感じの・・・

内藤:
さわかみ教とならぶ二大勢力
教祖変わりましたけどさわかみ教は

新井:
信じていただけるお客様がいるから成立する

山崎:
証券会社の投信の預かり残高を見ていると新規獲得と毎年毎年言っているが、増えていない
既存のお客のお金をあっちこっち焼畑農業的な感じ。

内藤:
楽天証券さんって楽天のあっちからポイントとかつけてあの手この手で引きずり込んでる・・・
マネックス証券いつも羨ましがってる。いいな〜って。うちもECやろうみたいな。マネックス市場やろうかみたいな(笑)

山崎:
もっと増えてないとおかしいんだけど、本当は

カン:
新しい顧客を呼び込むには何が必要か?

丸山:
投資家の皆さんと業界の努力が必要ですが、やはり税制。
日本版ISAが検討されているが、国が投資の方にマネーが流れるのをサポートする仕組みをつくるのが大事
これまで日本人はわからないから預金をして銀行はそれで国債を買うようなことで国がまわっていた。
今日集まった人が先人だと思うが、自分がなにに投資するのか考える、そういう事で変わって行く

山崎:
日本版ISAってないよりはいいけど相当現段階ではしょぼいですよね

内藤:
ほとんどインパクトないと思いますね
預金は課税されるけど株の売却益は課税されないとなればきっかけには
数百万円の枠とか作られても

山崎:
とはいえ、税金で有利な仕組みで投資した方がいいのは間違いないので使った方がいい

カン:
本当はこういう人も投資家に向いているというのを一言

内藤:
意外に女性のほうが投資は向いているのでは
几帳面、ちゃんと勉強してからやる、リスクコントロールする。無茶をしない。

山崎:
それは論文がある。カリフォルニア大学の論文で年率1%くらい女性の投資家の方がパフォーマンスがいい。それの主な原因は男性の投資家は余計な取引をしているから取引コスト分負けている。

なぜかというと自分が取引することでパフォーマンスが改善できるというオーバーコンフィデンスが男性には多い。

内藤:
ファンドマネージャーって女性すごい少ないですよね

カン:
それはなぜですか?

丸山:
これから増えてくると思う。私共ではアナリストの半分は女性。
ファンドマネージャーのキャリアとしてはアナリストからが多いから。
これからは増えてくるとは思います。

内藤:
鎌倉投信さんって女性の社員の方いらっしゃるんですか?

新井:
いま社員10名で女性。うちのお客さんは女性が多い。
投資家に向いている人がどういう人かというと信じられるかどうか

内藤:
信者ですね

新井:
命の次に大事なお金を託すのに、このおっさんに頼めるかどうかというのはものすごく重要。
それが出来ないなら止めたほうがいい。

女性はこいつならしょうがないなという割り切りがすごい。男性はどうしようか迷う傾向が強い

丸山:
物を深く考えてというのは大事だが、一方で疑える人。
自分でチェックすること。オーバーコンフィデンスの話があったがこれからの見通しを考えながらもチェックして常に疑えること。

山崎:
会社であまり出世していない人。もしかするとファンドマネージャーに向いているかもしれない。
疑える人、疑いが顔色に出る人は端的に言ってあまり出世しない。

運用会社6社で完全な逆相関とはいわないがパフォーマンスがよくてセンスがいいなというファンドマネージャーは人事的にあまり恵まれない人が多いですね。丸山さんにはそれを破る反例を作って欲しい。

丸山:
確かに、サラリーマンに向いていないからファンドマネージャーやっているんじゃないかという人がいてその人は優秀。

少なくとも当社はそういう人も伸び伸びと仕事ができないとお話になりません。

山崎:
私の転職ライフは失敗だったかも・・・
そういう会社に入ればこんなに転職しなくても済んだかも

カン:
ファンドマネージャーをやっていて一番うれしかったこと、史上最大のピンチなど

丸山:
ファンドマネージャー時代にこれ以上パフォーマンスが悪化したら首とお客様に言われてしっかり定められた範囲内のリスクできちんとパフォーマンスを出してよくやったねと継続していただけたとき

新井:
鎌倉投信で事業をやらせていただいて、投資でうまくいく方法は安く買って高く売るに尽きる。ただそれだけ。いい会社が安く買えるならバーゲンセールとずっと言ってきて、震災の時に普段の10倍入金があった。わかってくれたんだとファンドマネージャーとして最高でした

内藤:
だいぶ昔なのであまり覚えていないが・・・
お金を引き上げられるときが一番つらい。年金だと三ヶ月ごとに色んなところに営業担当と説明に行く。
説明を聞いてくれる時もあるけど、説明が終わった瞬間、申し訳ありませんがとバサッといかれる。

そこでロンドンから外人を呼ぶ。外国株も運用しているので。
業界では見せ外人といいまして外国人が説明にいくと運用を委託している会社は怒らないんです。なぜか。

自分と上長が行くとなんでこれ買わないんだとかこの危機はわからなかったのか?といわれるが、外人が英語で説明して自分が翻訳すると何か質問は?といっても「特には・・・」と外人を連れて行くとしゃべらなくなる。日本人のコンプレックスを生かした巧妙な説明。

山崎:
ファンドマネージャーやっているとパフォーマンスを横並びに比較できる。勝っているとささやかに嬉しい。無事にすんでよかったとじんわり。

複雑だったのはバブル崩壊の時。90年に一日に1000円単位で下がったが、88年に日本の株価は高すぎるという東大の若杉さんの論文を批判する論文を書いてなかなか下がらなかったが、株価が下がったぞ。ザマァ見ろと。しかし、自分のファンドは毎日10億円以上損して複雑だった。

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_ 吊られた男の投資ブログ - 2013年01月13日 23:54

いつの間にか5回目を迎えていたインデックス投資ナイト、今年も参加しました。
では、その内容を…というのは他のブロガーにお任せします。(私が書くまでもなく、すでに多く書かれ ...

_ 高配当ETFで戦略的インデックス投資日記 - 2013年01月14日 08:02

前回の記事第5回インデックス投資ナイトに行ってきましたでも会場で感じた雑感を書きましたが今回はイベントの内容についての雑感

インデックス投資ナイトの座談会レポートについては"いい投資"探検日誌 fr...

_ カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け! - 2013年01月14日 08:26


こんにちは。
インデックス投資アドバイザーの カン・チュンド です。

1月12日、東京・お台場にて
第5回【インデックス投資ナイト】が開催されました。



「えっ、それっていったいどんなイベン...

_ 高配当株ポートフォリオ派 - 2013年01月24日 15:20

ポールHDが+2.7%、マニーが+2.0%の上昇。 NECモバイリングが-2.63%の下落となりました。 ■第五回インデックス投資ナイトレポート 「インデックス投資ナイト」と言うイベントがあります。 自分は参加していませんが、今回はそのイベントで行われた座談会の内容が詳しく書かれた記事を紹介。 第五回インデックス投資ナイトレポート(1) ファンドマネージャー座談会(前編) 第五回インデックス投資ナイトレポート(2) ファンドマネージャー座談会(後編) 個人なのにかなり力の入った詳しいレポートを配信さ...