コモンズ30ファンド4周年記念感謝の集い(1)ベネッセHD 福原賢一氏2013年03月03日

昨日はコモンズ投信主催のコモンズ30ファンド4周年記念感謝の集いに行って来ました。

日 時:2013年3月2日(土) 14:00〜17:00
場 所:千代田区立図書文化会館
主 催:コモンズ投信(→公式HP
概 要:
 投資先企業との対話 (株)ベネッセホールディングス 代表取締役副社長 福原賢一氏
 社会起業家との対話 NPO 侍学園スクオーラ・今人 理事長 長岡秀貴氏
 コモンズ30ファンド運用報告

(1) 投資先企業との対話 (株)ベネッセホールディングス 代表取締役副社長 福原賢一氏


ベネッセの社名の由来はラテン語のbene(よく)+esse(生きる)を一緒にした「よく生きる」の造語。
理念を会社名にしている。
まずはベネッセの重要な心のよりどころである瀬戸内海の島での現代アートの活動を紹介したい。

今年は第二回瀬戸内国際芸術祭が開催される。
直島での活動は最近ではだいぶプレゼンスがあがってきた。
直島にはかつて三菱マテリアルの精錬場が島の北側にあり、ハゲ山になっていた。
その後島の南側にリゾート開発の計画が持ち上がったが途中で断念された。
町長がどうにか直島を文化で復興してみたいと持ちかけ、1986年にベネッセが安藤忠雄さんをパートナーに島の土地を所有することになった。

福武總一郎が歴史的にも文化的にも重要な地域だった瀬戸内地域が近代化の負の遺産を背負わされたとして復興したいと。
現代アートは都市の中にあっても存在感があまりないが自然の中に置くことによってインパクトが出る。

最初はキャンプ場から始め、92年に美術館とホテルを一体にしたものを建設した。
アーティスト達に実際に島に来てもらい、そこで得たインスピレーションを作品にしてもらっている。
過疎に悩む島だったのでたくさんの民家が朽ち果てていたものも買い取ってアーティストに作品にしてもらっている。

かつて神社は古墳的要素もあったものだろうと神社も作品として復元した。(→護王神社
これは昨年のゆく年くる年でも紹介された。

今では人口3千人の島に年間40万人も来島いただくようになった。そのうち20%が外国人。
のれんが出ている家はお手洗いを貸してくれたりお茶を出してくれたりする。四国にはお遍路文化がある。
銭湯がなかったので銭湯も作った。(→I♥湯
近所のお年寄りがアーティストが制作していると近くに来て色々話を聞いたり見たりしたことをボランティアで来島者に話してくれる。おばあちゃんも最近では化粧をして元気に。
78歳のおじいさんと28歳の女性が同棲をし始めたことによりおじいちゃんが更に活性化した。

20年の活動で島に一体感が生まれた。
民宿もゼロから33軒に。カフェもたくさんある。

豊島では産廃の不法投棄が13年にわたって行われ自然が破壊された。
その後、風評により耕作放棄や漁業もできなくなっていた。
棚田の再生や美術館を作ったりしている。

犬島は100年前に捨てられた精錬所の島
産業遺跡 こちらでも2010年に芸術祭を開催した。

大島ではハンセン病の患者が隔離されていた島。
こちらではやさしい美術プロジェクトを。
元患者の方のスキルも使った作品も展示されている。

瀬戸内国際芸術祭2013では12の島で127名のアーティストの作品が展示される。
前回は夏に開催したが30万人程度の来島者を見込んでいたら3倍の90万人も訪れて島の生活にも圧迫を与えてしまった。そこで今年は春、夏、秋の3シーズンに分けて開催する。

ベネッセのこういった文化活動はベネッセの大株主である財団がやっている。
財団はベネッセからの配当収入が約7億円あり、会社からのお金はほとんど出していない。
メセナやCSR活動は企業収益を食い続けると永続性がないためこのような仕組みにしている。

(2)福原賢一氏×渋澤健氏 対談
左:コモンズ投信 渋澤健会長 右:ベネッセHD 福原賢一副社長

渋澤:
「よく生きる」という理念で従業員の心のよりどころであると話されていたが、島の活動はどういう立ち位置なのか?


福原:
社員研修をこの島で行なっているが、その際に島のお年寄りの話を聞くように言っている。
そうすることをで最初は批判もあったが今では社員の誇りになっている。
芸術好きの会長が趣味でやっているわけではないとだんだん社員にも浸透してきた。

日本一ファン、シンパの多い会社になりたい。
それを体現する場所でもある。

渋澤:
社員の方の表情がすごく良かった。
外から見るとなんかいいねと思うが、ある意味では何をしているのかわかりにくい会社。
外からは何をポイントに見るといいのか?

福原:
営業利益の持続的な成長を目指している。
教育部門
少子化の中でこれまでシェアを伸ばしてきた。デジタル化により紙からネットへ。
小学生1〜3年生の30%以上が利用している。
中国にも進出して50万人が利用しているがちょうど25%値上げする時期とぶつかってしまったのもあり、反日運動の影響はあった。
他にも競合他社が次々と生まれている。ベネッセはとらじろうだが、他社も動物のキャラクターで。
動物大戦争のようになっている(笑)
中国での伸びは一時的に落ちたが今では落ち着いている。中国人スタッフも800人くらいがモチベーション高くやっている。


毎期成長するわけでもないので今は投資の時期だと考えている。
過去5年は8%成長していたが今後はもう少し増やしたい。

介護部門
あまり知られていないが老人ホーム事業において日本最大

その他
グローバル人財育成が成長産業。
ベルリッツを買収した。70カ国550ヶ所で語学教育を展開している。
留学もELSを買収。日本から留学する人が減少傾向にあったが潮目が変わっているように見える。
子や孫に贈与が1500万円まで非課税になる税制も始まるが0歳〜30歳までが対象なので利用して欲しい。

(3)質疑応答
Q.少子化対策として中国への進出の話があったが国内市場向けの展開は?

A.
国内市場では1兆3000億円のマーケットがある。
そのうち13%が通信教育。競合には塾や予備校がある。
塾事業に買収により参入もしているが、通信教育の「自学自習」が将来の人格成長に役立つと考えている。
子どもの可処分時間も減っている中で楽しく学べるように工夫している。
パソコンで学習も展開してみたが、家族共用のパソコンではなかなか利用しにくい。
そこで春から中学生以上に1年契約であれば無料でタブレットを配布する。
ペアレントコントロール付き。親はパスワードを入力すると通常のタブレットとして使えるが子どもはチャレンジのコンテンツのみ。
通信教育で今はベネッセは日本郵便の最大顧客。年間570億円の郵送料を払っているがデジタル化するとその分の支出が減って利益率は上がる。少子化で収入は減ってもその方面で利益は見込めるのではないか。

Q.介護事業の収益のポイントは?

A.
エリアドミナント戦略をとっている。
住民の資産が多い地域に6つのブランドで展開。
ブランド毎にコンセプトや料金が異なる。都会においてコミュニティは失われているのでコミュニティに頼らずに地域集積することでトータルでのサポートを。
低価格路線は実験段階。多様な形態を提供していきたい。

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_ レバレッジ投資実践日記 - 2013年03月05日 22:48

今回は、私が投資している日本株投信(コモンズ30ファンド、結い2101、ひふみ投信)の中から、コモンズ30ファンドを運用するコモンズ投信に関しての最近の話題を取り上げたいと思い ...