いい会社の理念経営塾(3) アチーブメント 青木仁志氏2013年04月04日

3月27日(水)にNPO法人いい会社をふやしましょうが主催する「いい会社の理念経営塾」が開催されました。三回目の今回の講師はアチーブメントの青木仁志社長でした。

いい中小企業をふやそうと人材教育の面で活躍されている方の話は自らも経営者としてこれまで乗り越えてきたことのエッセンスをぎゅっと凝縮したような内容でした。理念経営とは会社にとっての自己啓発に近いのかなとも感じました。社長の器が会社を決めるというのは前回のアイ・ケイ・ケイの金子社長と同じことを仰られてました。金子社長は経営者として実践されている姿を話されて、青木社長は経営者でもあるのですが、人材教育のプロとしての立場から話されていて理念経営というものがだんだん見えてきたように思います。

日 時:2013年3月27日(水) 19:30〜21:00
場 所:JR品川イーストビル20F
主 催:NPO法人 いい会社をふやしましょう(→公式HP
講 師:青木 仁志氏(アチーブメント株式会社 代表取締役社長)

いい会社の理念経営塾
 第一回 未来工業 瀧川克弘氏(講演録
 第二回 アイ・ケイ・ケイ 金子和斗氏(講演録
 第三回 アチーブメント 青木仁志氏(講演録
 第四回 人とホスピタリティ研究所 高野登氏(講演録
 第五回 アニコム損害保険 小森伸昭氏(講演録

よい経営者である前によい人である必要があります。アチーブメントでは創業から約30年で29万人の研修を担当しました。創業時は5名、資本金も500万円からのスタートでした。

「利益は目的ではなく結果である」「人をしあわせにすることが経営の目的、利益は気球の籠のようについてくる」というような事を言っていたら「会社経営の目的は利潤だ。経営学を勉強したことがないからそんな事を言うんだ。」と当時はずいぶんと笑われました。
しかし、今そういっていた人がどん底にいます。何か儲かるものはないか?そういった視点で経営してよい人材を採用してよい人材を育てるという事をしなかったためです。

いい人に選ばれないのはよい経営目的を持っていないからです。
よい経営目的を持っている会社にはいい人が集まってきます。

子供のようにシンプルに考えることが大事です。世の中になくてはならないものに。
会社の大小ではありません。確かに上場企業にはよい人材が集まります。
ただ、採用はよい結婚とはなにか?に似ています。家柄でもなく、お金持ちでもなく二人の価値観が合うか?本質的、客観的、長期的に共に歩めるかどうかが重要です。

イケメンと美女の組み合わせでも離婚してしまっては意味がありません。
恋愛のように採用を良く見せようとするコンサルがいます。例えば会社にカフェを作ったり。しかし、本質で一緒にならない限りよい結婚にはなりません。自分をよく見せるのではなく、正直に見せる必要があります。

アチーブメントでは高輪台にオフィスを構えています。不便な場所で、場所が嫌だという人はエントリーしてきません。これは一つのフィルターです。しかし、今では2万人の学生がエントリーしてくれる会社になりました。これは全て社員とお客様のおかげです。

自分は考え方だけは正しい方向に向けてきました。
著書の中で
 「経営の目的とはその会社に縁ある人を幸せにすることである。」
と書きました。

しかし、赤字は論外です。
もっとも大事なのはお客様のクチコミ。満足したお客様は最高の営業マンになってくれます。
弊社ではBtoFつまりビジネスからファンへと呼び、お客様をファン化する取り組みをしています。
弊社のセミナーを受講する87.5%がお客様のクチコミです。
自分たちの商品そのものにベストの商品、ベストのサービスだという事を語らせています。

中小企業は他と比較してはいけません。イノベーションというものは他と比較してはいけないのです。
最も必要とされる理想を描き、そこに向けて弛まぬ改善を徹底的に行うことです。

いい人材を取りたいとある社長が私に話しかけて来ました。私はその社長に社長が一番求めているものはなんですか?と聞きました。
「お金?」「利潤?」「利益?」「レクサス?」
その答えを聞いて私は社長に答えました。
「社長、社員に問題があるのではなく社長に問題があります。誰も社長のレクサスのために働かないし、いい人材を採用しませんよ。」
誰のために、何のために経営するのかを考えたほうがいい。
それを私たちはセルフカウンセリングと呼んでいます。

私が本当に求めているものはなんですか?
そのために何をしていますか?具体的な施策は?
それは本当に効果的ですか?

私はという主語をお客様に置き換えてお客様が何を求めているのか本当にお客様の立場にたって24時間考えるとアイデアも生まれるし、イノベーションも生まれます。

これまで利益の30%は社員に還元してきた。社員全員を経営者として教育をし、全員を経営者として扱っています。人間は一人ひとり自分の人生に責任を持っています。責任がベストのサービスを生み出します。
責任感のない人を生み出してはいけません。そこには依存と甘えが生まれます。
社員の話をよく聞き、一緒に経営をしています。ここが根本から違います。

よい会社にはよい企業文化があり、文化が人を育てます。
そのため、どんどん人に投資をします。
伸びない会社は人をコストと見てキャピタルと見ていません。
コストと見ているから業績がよくないとカットしてしまいます。そこにロイヤリティはありません。

私は100年続く会社のタイプ、理念と利益の統合を目指します。
道と経済を統合することで必ず利益を出し、生きがい、やりがいを社員にもたせます。
精神的な喜びを社員にしっかり還元することが大事です。
そうすると社員は家族の幸せを求めます。

日本で一番たいせつにしたい会社大賞は今年で三回目を迎えました。
よい会社は社会になくてはならない存在です。そして弱者にやさしいという特徴があります。
私は中小企業の経営者の育成に力を入れていますが、それは世の中の99.7%の会社、70%の人は中小企業で働いているからです。
いい会社にしないと大変な老後を迎えてしまいます。上場企業は勝ち抜いたたったの0.3%の存在。
そこにはいい人が集まります。

最近は学生の大企業志向が戻ってきています。そのため中小企業はなかなか採用できなくなっていますが、その前の景気の悪い時にも採用をしていませんでした。
即戦力が欲しいとよく言いますが、人はキャピタル(資本)です。
また、会社の中核となる商品開発や戦略を練る人材は中途採用では出て来ません。
転職する場合は一つの会社で伝説をつくるまでは独立するなと言っています。

人材育成にはしっかりとした下積みの期間が必要です。
10年間は学習の期間。そこで限界突破の回数が多いほど、失敗すればするほど伸びることができます。
よい会社は経験を積ませるキャパシティがあります。これができるという事は先輩が相当稼いでいるということです。そこで、人事戦略が最上位に来るわけです。

黄金率で考えています。望む通りのことをその通りにやるとうまくいきます。
相手の立場にたって考えますが、究極は社会です。
いじめ、差別のない明るい社会を作りたい。
そのためには指導者の育成という予防策が必要です。

地域社会と共存共栄を目指します。
日本の国に対しても感謝の気持ちを持って。日本の国を捨てるキャピタルフライトを選択する会社も多いがみんなが逃げてしまっては日本という国がつぶれてしまいます。
「徳は本なり。なり財は末なり。」
徳に人は集まり、人が稼いで財をなす。

俺が辞めたら困るだろうという人が辞めていくが困らない。
本当に辞めたら困る人というのはそういう事を言わない人。理念の共感者であり、具現者。
本質に生きている人でいつでも社長の代弁をする人。
会社は箱ではありません。教会も建物が教会なのではなく、そこに集まる信者をふくめての教会。
そこには何があるのか?共通の価値観です。

人に求める強さというのは人に協力してもらいながら成功していく知恵です。
鎌田さんには無形の資産があります。人柄だったり考え方だったり。
他にも人を紹介してくれたり、お金ではなく人のために何かしてあげたいというところです。

何のためにクオリティカンパニーをつくる必要があるのか?
社員から見て理想の会社をつくることが自分にとっても経済的に安定するから。
相手を勝たせることが自分が勝つこと。相手を負かしてはいけません。

シンプルに対象となる人の幸せを求めましょう。

◯◯はなにを求めているのか?私は◯◯に奥さんの名前を入れて考えます。

◯◯が本当に求めているものはなにか?
そのために今、何をしているか?
その行動は◯◯の求めているものを手に入れるのに効果的か?
もっとよい方法はないかを考え出し実行してみよう

社長は社員の幸せを望み、社員は自分たちの成長を社長が喜ぶことを知っています。
朝早くから出勤しますが、残業代を稼ぐための行動ではありません。
一日も早くまともになるためです。経営者が邪だと社員も邪になります。

不満足な人間関係を元とするものを無くしたい。
そのためには教育が大事です。そして共感型の採用を行います。
社長が学生の前に始めから出てこないような会社はダメ。

経営の目的がどこにセットアップされているかで施策が変わってきます。
利益は人を幸せにした結果得られる果実である。

人を勝たせていく過程で果実がどんどん増えます。これは木を育てるのに似ています。
クオリティを追求するということ。
逆に言うと人が育つ分しか成長しないためにブレーキを踏む必要があります。
負荷が大きすぎるとひとは辞めてしまいます。
最適目標勾配を超える時は経営者の欲か社会の要求のどちらかが原因です。

社会のニーズがあって成長した後におかしくなるのは自動車のレースでブレーキを踏まずに曲がってしまうのと一緒です。人づくりが組織づくり。それが国づくりにもつながります。

いい企業は採用に対して投資をしています。
成長がキーワード。目的から日々の実践管理に落としこみをしています。ダメな会社はここがありません。

上質の追求。企業は人なり。思考を言語化する。

世の中にいろいろ理屈はあるが、長期的に繁栄している会社は原理原則を大事にしています。
お客様の喜ぶことを日々積み重ねていきます。
毎朝セルフカウンセリングをするのをお薦めします。
真理に従順なのが素直ということ。素直になる努力をしましょう。

後継者を誰にするかというのは難しい問題です。
プライベートカンパニーの場合は創業者の思想が続く可能性がありますが、上場企業の場合は難しい。
そのためにも文化が必要になってきます。

武田信玄の言葉「人は石垣、人は城」

世界にある100年企業4万社の半分は日本にあります。
人を大切にする会社でありたい。