八木澤商店事業報告会に参加しました2013年05月19日

東日本大震災で被災した陸前高田市にある味噌・醤油醸造の八木澤商店さんにセキュリテ被災地応援ファンドを通じて出資をしています。先日、出資者向けの事業報告会が開催されましたので参加してきました。
ファンド募集時にすべてオープンにしますと言っていたので全て開示しますという言葉通り、業績や復興プランなども見せて頂きました。(出資者へ向けた報告でしたのでこのレポートではそれらの数字については触れません)

リクルートさんが節電で浮いたお金をセキュリテ被災地応援ファンドへ寄付することで被災地支援をしていたというのは初めて知りました。こういう何かと組み合わせた節電は節電する側のモチベーションにもつながりそうですね。

また、八木澤商店の河野社長から震災前から会社をどんな経営環境でも存続させるために自給自足可能な会社を目指していたというお話を聞いてすごい事を考える会社だなと思いました。とにかく、自社だけでなく一貫して地域全体のことを考えて行動されているのが素晴らしいですね。中小企業同友会の話も出ていましたが、素晴らしい仲間に囲まれて地域の復興に奔走している八木澤商店を今後も応援し続けようと思いました。

日 時:2013年5月15日(水) 19:00〜21:00
場 所:株式会社リクルートホールディングス本社 スカイルームB

八木澤商店さんの醤油工場再建を応援する『八木澤商店しょうゆ醸造ファンド』は現在も募集中です。
(5月19日現在で1,932名から74.2%の資金が集まっています)

■ リクルートの復興支援

最初に事業報告会の会場を提供されたリクルートホールディングスさんからリクルートの復興支援の取り組みについて説明がありました。

リクルートでは様々な東日本大震災への支援を行なっていますが、節電によって削減された電気代をセキュリテ被災地応援ファンドに寄付という取り組みも行なっています。


これまで半年ごとに500万円を寄付しており、被災地応援ファンドの特典は従業員へ抽選でプレゼントする企画を実施していて人気になっているそうです。

また、ボランティアツアーも2011年9月からのべ600名弱が参加しており、ボランティアで現地に行けない方向けに買う支援という事で社内で東北物産展を開催といった支援も行なっています。


■ 八木澤商店の歴史

創業206年目の会社で津波で流された社屋は築150年のものでした。
八木澤商店はもともと味噌・醤油ではなく、最初はお酒を作っていました。太平洋戦争の際に国の統制によって地域の8社が合併して酔仙酒造になりました。酔仙酒造さんも今回の震災で被災し、今では隣の大船渡市で再建しています。(酔仙酒造さんもセキュリテ被災地応援ファンドに参加しています)

戦後、八木澤商店では合併によって蔵が空いたため、醤油や味噌を醸造するようになりました。そのため、醤油業界では新参者で100年もたっていません。創業200年以上の会社は日本に3200社ありますが、これは世界で1位。2位のドイツが800社なので日本が群を抜いています。八木澤商店は社員数38名の小さな会社ですが、この中の1社です。

■ 自給自足できるような会社になろう

八木澤商店では震災前から「自給自足できるような会社になろう」と言っていました。
どんな経営環境になってもつぶれないように原料やエネルギーを自給自足できるように、小さくても良いものを作って続けていくという事に取り組みました。自社で農園を持ち、米や野菜を作っていましたが農業部門は赤字でした。詳しく調べてみると農業部門は時給150円換算になります。これは平均的な東北の中山間地域の実態でもあります。農業に携わっている人の平均年令は60歳を超えていて、伸びているのは80歳代。それ以下の世代ではみんな減っていました。

そこで八木澤商店では原価計算をして農家と契約栽培をしていました。
栽培方法や原価計算の方法を農家に教えることでいい品質のものをこれくらい作らないと続けていけないという事を理解してもらいました。日本で一番高く原料を買っている漬物の会社でしたが、そうしないといつか日本がだめになると思い、農家には品質の高いものを作っていただきました。
生鮮品はいい値段で売ってもらい、見た目の悪いものは漬物などの加工品に。

また、社員教育と呼べるものとしては地域の小学校や中学校にしょっちゅう出向いて行って農業体験や味噌づくり体験をしていました。田植えや収穫をこどもたちにやってもらって収穫したものは子供に家に持ち帰ってもらいます。そこで、美味しかったら家でも同じように作ってもらって八木澤商店が買うというサイクルです。

八木澤商店では赤字続きの農業部門を続けるかという事を含め、すべてを社員にオープンにして議論をしてきました。

土蔵の壁は分厚いのですが、ねずみにやられてしまった事がありました。
古い建物なので修繕には相当なお金がかかるだろうなと近所の左官屋さんに相談したら、土さえあれば何回でも直せると言われました。結局、左官屋さんが2日かけて直したので2万円。作る時には相当な時間をかけてしっかりと作っていますが、直すのは土壁を塗り直すだけ。
持続可能な形にするためにいいものを作るというのが日本の伝統技術でした。

■ 被災時の状況

八木澤商店のあった今泉という集落は800戸ありましたが家が残ったのはわずかに7戸だけでした。
それでも救いだったのは病気で休んでいた保育園児1名を除く園児、小学生、中学生が全員無事だったことです。八木澤商店の社員も裏山の神社で地域の人100人以上と一夜を過ごしました。

八木澤商店では様々な取り組みを真剣に行なっていて、過去の文献から地震の発生から津波が来るまでに18分というのを調べていたため、近所からは笑われたり、そこは指定の避難場所じゃないよと言われたりしながらも18分でケガをした人を運びながら高台へ避難する避難訓練を行なっていました。
陸前高田の悲惨なのは避難できなかったのではなく、指定の避難場所になっていた小学校、公民館のいずれもが津波に飲み込まれたことでした。

震災当日、社員に対して必ず経営再建するからと約束をしました。半分はみんなを安心させるためでしたが、残りの半分は頭の中にあるバランスシートを見て現預金がこれくらいあるからしばらくは持つな、そこで再建の糸口は見えるだろうという計算もしていました。

4日かけて社員を家族と引きあわせた後、陸前高田ドライビングスクールの田村社長に会って教室を使わせてもらえることになりました。そこで、届いた救援物資を自動車学校に集めて避難所などへ配送したりしました。岐阜のある食品会社さんは10tトラック一杯にうちの商品は無添加で日持ちするしお湯さえあれば食べられるからとインスタント食品を持ってきてくださったり。

■ 復興へ向けた取り組み

陸前高田にある中小企業は80%が壊滅しました。そこで、ハローワークに行くと全員解雇してくれれば失業保険で対応できると言われました。そこをなんとか雇用調整助成金という形で受け付けてくれないか?と頼みましたが今の体制では出来ないと言われましたが、最終的には八木澤商店が取りまとめてくれればハンコを押すと言ってくれました。やれる人がやれることを何でもやらないと8割の会社が一斉に従業員を解雇してしまうと街がなくなってしまいます。

地元の金融機関も流されましたが絶対につぶさないからと言ってくれたのでこちらも絶対に潰さないからという事で動きました。白旗を上げそうだが絶対いい会社だからなんとかしたいと金融機関の人が泣きながら説得をお願いしてきたりもしました。田村社長と一緒に赤の他人のところを訪ねて説得してきました。

中小企業同友会では震災前からスローガンとしていたのが「一社もつぶすな」でした。
また、1名でもいいから雇用を生み出そうという取り組みをしていました。
決算書をお互いに見せ合って赤字の会社や債務超過をどう解決するか話しあったり、経営再建策を仲間で真剣に考えてだんだんと形になってきたら金融機関にこの会社はいい会社になったから協力して欲しいと話をつけたり。

いい会社が生まれてそこで働く人が幸せになれば自然といい街になると腹を割って話していました。

そんなことがあったのでまさか自分が白旗をあげるわけにはいきませんでした。
4月1日に入社予定だった新入社員2名も生きているということがわかったので入社してもいいと言ってもらいました。また、しばらく本業はできないので遺体を捜索したりボランティアをしたりといった事もすべて会社の事業として認めるので辞めないで下さいとお願いをしました。

4月13日に中小企業基盤整備機構の方と中小企業庁の方が陸前高田に来て説明会を開催しました。
国が無償で建物を建てて仮設の店舗や事務所を作るのでそこで再建して欲しいという内容で、まだ法案も成立していない状況でしたが役人と呼ばれる人が現場に来て声を震わせながら私のクビをかけてでも成立させますから信じて下さいと訴えている姿を見て、それではと名刺をいただいて、その名刺を持って自動車学校で説明会を開きました。現時点では仮設の工場や店舗は90%が完成しています。

■ ミュージックセキュリティーズと被災地応援ファンド

4月10日にミュージックセキュリティーズの人がファンドの仕組みを考えたので話を聞いて欲しいとやってきました。当時は他にも怪しいファンドの話がたくさんありましたし、田舎の中小企業はファンドなんか使った事がありません。
宮城県庁の山田さんが一緒にいたので話を聞きましたが、先ほどミュージックセキュリティーズの方にも話しましたが最初は冷たい対応だったと思います。話を聞いてみてミュージックセキュリティーズがミュージシャンが才能があってもつぶれているのを救いたいという目的に立ち上がったベンチャーだというのを初めて知りました。でも、自分たちはミュージシャンじゃないしなと思いましたが、日本酒を救えという取り組みをしていると聞いて日本酒は同じ醸造で近いぞと。
その後も何回も通っていただいて一緒に売上計画を作りました。初年度の計画ノートが残っていたので見てみましたがその通りになっていました。

4月25日に被災地応援ファンドの最初の6社が気仙沼に集まってファンドが始まりましたが、前日に他のみんなから大丈夫だよなと電話がありました。ファンドの組成にあたっては八木澤商店の全てを話しました。2億円以上の特別損失や雇用を守りながらも新入社員も雇用するという計画もあります。お金が集まってもつぶれてしまったらそれは取り込み詐欺と一緒なのでは?と断ったらミュージックセキュリティーズさんはそのリスクを全て公開しましょう。それでもお金を出してくれる方からだけお金を集めましょうと言って下さいました。

そこまでリスクを開示した状態で集まるわけがないと思っていた5000万円が3ヶ月で集まりました。その後は金融機関の担当者が休日にやってきて経営再建計画書を一緒になって作ってくれました。計画の段階で数年赤字が続くにも関わらずその金融機関は融資をしてくださり、さらにはそこで作った計画書を他の金融機関での融資申込の資料として使ってもいいし、何か指摘されたら一緒に考えましょうとまで言ってくれました。

2本目の醤油工場のファンドでは11月に金融庁がファンドのお金を劣後ローンとみなすというものすごい後押しもしてくれました。ファンドで調達した資金が自己資本に認められると債務超過でお金を貸すことができなかった金融機関が変わりました。

醤油工場も出来上がり、初めて醤油が絞られるのは今年の後半になります。新工場は陸前高田から30分の距離にある廃校になった小学校の跡地に建設されました。社員にとっても通いやすくなって4〜5年先のことだろうと思っていたことが現実になって夢の様な状態です。

■ 様々なコラボレーション

糸井重里さんも震災直後から毎月来てくださって気仙沼にほぼ日の事務所も作られました。
工場は一関に移りましたが本社は陸前高田にないとだめだと社員が言うので廃業して20年近い旅館をリノベーションして本社兼店舗としています。このリノベーションにも糸井重里さんつながりで三角屋の三浦さんが携わって下さいました。地元の人が元気になるようにと以前の本社にあったなまこ壁をイメージしたデザインで側面は漆喰でなまこ壁を再現しています。

5月2日、八木澤商店ではまず同業者に委託製造することで事業を再開しました。
しばらくは製造ができないので全員が営業マンになり、必ず復活するのでお付き合いを継続して下さいとお願いしてまわりました。4アイテムで事業を再開しましたが、震災前の200アイテムの時の15%を売り上げました。その後、欠品が続いた為なんとか自分たちでも作れないか?と花泉に工場を借りてつゆ・たれ製造を再開することになりました。

直近ではコラボ商品を増やしていこうということでスイーツを販売しています。
もともと売上の大部分は地元の水産加工メーカーへ原料として販売していたものでしたが、お客様の半分は撤退してしまっています。回復したお客様と一緒に商品開発して一緒に売っていくのが復興の本業になります。

震災で残念ながら弱い方から順に解雇されてしまうという現実がありました。これまで研修して働きに出ていた障碍者が授産施設に戻ってきていてキャパシティを超えていたため、障碍者授産施設あすなろホームさんでチーズケーキを作っていただくことにしました。週に10個から始めましょうという事で始めましたが、売上も好調で今では無理のない範囲で多く作っていただくよう頑張っていただいています。

無農薬で小麦を作ったりしている館ケ森アーク牧場さんとは色は命の源だという理念に共感して昔から仲が良かったので生カステラのパンデロウに味噌を使っていただいています。

葛飾にある富士見堂さんの工場も見学させていただきましたが、職人さんがせんべいを手作業で作っていて自分たちに近いと感じました。普通、煎餅の原料となる米粉を買ってきますが富士見堂さんでは米を契約栽培していて煎餅を作る直前に挽いて米粉にしています。富士見堂さんでも八木澤商店の醤油を使って合わせ技せんべいを作っていただいています

みそチーズケーキやみそパンデロウ、合わせ技せんべいはオンラインショップでも購入することができます。

陸前高田市の就労人口は震災前の1.6万人から1.2万人に減りました。しかし、逆に言うと震災で80%会社が壊滅してもこれだけ残ったとも言えます。中小企業同友会の会社は社長も流されてしまった1社を除いてまだ存続しています。昨年末の就労人口は1.5万人で今年に入って震災前よりも増えている状態。もちろん重機運転などの震災特需もありますが、求人しても人が足りない状況になっています。

特需だけではなく5年後、10年後に雇用を生み出すためになつかしい未来創造株式会社という会社を作りました。そうしないと時間差で街が壊滅してしまうためです。新しい会社を作るのを目的に10年で解散する会社ですが、昨年は40社起業しました。

■ 座右の銘
岩手県出身の3名より

宮沢賢治 『農業芸術概論』より
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」

石川啄木 『一握の砂』より
「こころよく 我れにはたらく仕事あれ それを仕遂げて死なむと思う」

新渡戸稲造 『武士道』より
「いかに苦しいことがあってもヤケになるのは短慮の極みである。逆境にある人は常にもう少しだと言って進むといい。やがて必ず前途に光がさしてくる」

ブランドをビジネスにどう生かすか? ライフネット生命 中田華寿子氏2013年05月19日

一般社団法人バトンが開催している横浜サカエ塾、東京開催の二回目はライフネット生命の常務取締役中田華寿子さんでした。マーケティングを担当されていて『10万人に愛されるブランドを作る!』という本も書かれています。

中田さんはスターバックスの日本進出に携わったり、英会話のGABAのマーケティングを得てライフネット生命のマーケティングを担当されています。これらの会社に共通しているのは顧客をファンにしているという点。ブランドとは流行や廃りがないもので企業と消費者の間に心地よい関係が確立されている状態という事でした。

保険というのは不思議な商品で必要に迫られて入るものの入った後はどんな商品だったか気にならないという特殊なもので、どうやって顧客に良さを感じてもらうのかライフネット生命では苦心したと言います。

■ 戦略その1 他社がやれないこと、やらないこと、やりたくないことをする

ベンチャーの三重苦と呼ばれるのは
 ・知られていない
 ・信頼がない
 ・現状に満足していてニーズに気づいていない

開業前に言われていたのは保険というものは複雑でわかりにくいので営業員が説明して売れるもの。インターネットでは売れないというものでした。

開業当初はセミナーに参加する人もまばらで理念に共感したと言ってくれてもなかなか契約に繋がらず、出資者をやきもきさせる日々が続きましたが、徐々に認知度も上がり5年たった現在では10万人が17万件の保険契約をしています。

マザーズ上場の際には契約者とその子供と一緒に東証の鐘を鳴らしました。一般的には出資者などが勢揃いして鐘を鳴らしますが、こうすることでお金をかけずに契約者の方の満足度も高まり応援してもらえます。このように同じ事でも工夫して少しでも応援してもらえるような仕組みを考えます。
昨年行った株主総会もフロアは別ですが契約者の方やマスコミの方も読んでオープンなものとしました。

他にも様々なアワードで受賞をしていますが、これは自分達でも積極的に応募をしています。
とにかく聞いたこともない会社では保険を契約していただけないので第三者に評価をしてもらうことも重要なことです。

■ 戦略その2 認知度×信頼度(共感度)をあげていく

ライフネット生命の場合は認知度をあげると契約数に効果があることが分析からわかりました。
そこで、認知度が上がるような仕組みを考え、色々なことを行いました。

■ 戦略その3理念からぶれないこと トップの顔が見えること 正直であること

この3項目は会社の人格。理念=軸がぶれないことが重要です。
社長と副社長は年間200回以上講演で全国を行脚しています。とにかく、10名集めていただければどこにでも行くと。少ない人数でも社長が来てくれたとそこから感動が生まれます。ネットで販売するからこそ顔の見える体温を感じるリアルなコミュニケーションを大切にしています。そこからブログに書いていただけたりといったソーシャルメディアを通じた口コミが生まれます。

また、取材はメディアに取り上げられるために本業以外の何でも受けるようにしています。他にも様々な調査を行なうことでその結果をマスコミが利用して報道する際にライフネット生命がデータの出典元として露出するようなことも狙いました。ライフネットジャーナルもマスコミ向けにヒマネタでも取り扱ってもらえるようにとあえて社員が記事を書いてマスコミ向けに送付しています。以前ライフネットジャーナルのダメ出しを募集したところマスコミのプロから真剣にたくさんの指摘をいただき、そういったところでも良い関係づくりに取り組んでいます。

デイリーポータルZやはてななど異色のコラボも多数行なっていてソーシャル上の認知度では大手に引けをとらないところまで来ています。


テレビCMについて投資家から反対の声もいただきましたが認知度を高めるためにまずは小さくやってみようと。出口社長はなんでもまずはやってみようと言ってくださる。だめだったら変えればいいと。
こう言っていただけるので様々なことに取り組んでみる事ができるのです。
実際に福岡限定でやってみるとTVCMをやっていない他地域と比較して契約数が大きく伸びたので今度は他の地域でもやってみるとそこでも効果がありました。そこで大都市圏では効果が認められるということでTVCMを積極的に行うようにしました。


□ 感想

「若い世代が安心して子供を生み、育てることができるように保険料を半額にします。」というシンプルな理念に共感した人達がファンになってソーシャルメディアを通じて口コミを生み出していくという手法はベンチャーが大手にはない認知度を高めていくために有効な手法だと思いました。

ここまでは他社でもやっているところがありますが、ライフネット生命が徹底していたのはそれをとにかく様々なところで次々と行った行動力に尽きると思います。とにかく身軽で全員がマーケティング担当という意識でソーシャルメディアを活用した点が初期にしっかりとファンを獲得できたことに繋がったと思います。

あとは10名集まれば全国どこでも講演に行きますというのも実際に来てくだされば感激しますよね。
インターネットを通じた契約という事で無機質になりがちな中でもしっかりとリアルなコミュニケーションを重要視していて、ファンはまず「ヒト」につくというのも印象的でした。

元リッツカールトン日本代表の高野登さんも大手が嫌がることを積極的に行うことで逆にリッツカールトンのブランドとしたというホスピタリティについて話されていましたが、ライフネット生命も形は違えど同じようなホスピタリティを生み出したのだと思います。

ベンチャーたるもの世の中との接点を増やしてなんぼです。いかにいい理念や商品をもっていても知られないことには埋没してしまいます。広告はしない。口コミマーケティングを生かしたいと武士は食わねど高楊枝のような事を言うベンチャー企業は広告はしない代わりにいかにして自分たちを世の中に露出させるかを考えぬいて次々実行していかないといけません。いい事をしているからと待っているだけは時間だけが過ぎていきます。

ライフネット生命は生命保険という業態から黒字化には時間がかかるようですが理念に共感した若い契約者に支えられて今後も楽しみな会社だと思いました。生命保険会社にとって加入者の多くが30代以下というのは大きなアドバンテージですよね。しかも共感ベースで加入しているので単純に保険料が他より多少高かったとしても乗り換えのリスクは低そうです。

資本主義3.0として時価総額からソーシャル・キャピタルへのパラダイムシフトが提唱されていますがライフネット生命はまさにそこを目指して邁進している会社といえるのではないでしょうか?

□ 横浜サカエ塾の紹介

「大人だからこそいま学びたい」テーマについて低価格で様々な講師によるセミナーを受講することができる場です。人間が生きていく上で避けては通れないツールでありながらきちんと学ぶ場がなかった「お金」についてのテーマが多いですが、他にも食育や今回のマーケティングのようなテーマもあります。

6月19日にはまさにライフネット生命流のマーケティング手法を使って起業したココナラの南社長がオトナの起業について講演されます。

自分の視野をぐぐいと拡げてくれる大人の寺子屋のような横浜サカエ塾のセミナーをぜひチェックしてみてください。