鎌倉投信・第4回「結い2101」受益者総会レポート(9)ベルグアース 山口一彦氏2013年09月14日

8月31日(土)、鎌倉投信 第4回「結い2101」受益者総会が京都で開催されました。
レポート第九弾はベルグアースの山口社長の講演です。

坂ノ途中は農業にこだわりをもって新規就農する人に出荷先を提供する事業でしたが、こちらはいかに限られた土地で収量をあげるかという観点で高品質の野菜苗を出荷しています。

農家でも上場できるという事を証明したい、めしを作っている農家がめしが食えないのをどうにかしたい、誇りが持てるような第一次産業にしたいと熱い夢を持ちながらも親近感溢れる話し方をされる方でした。

野菜の苗を育てて農家に売るというまさに第一次産業にどっぷりはまった業態ですが、坂ノ途中の考える持続可能な農業とはまた違ったアプローチで農業を持続可能なものにしようとしている面白い会社だと思いました。

話を聞くと確かにいい会社だし、いかにも鎌倉投信が投資しそうな会社だと思うのですが、よくこんな会社を見つけて来たな・・・と鎌倉投信のリサーチ力には驚きます。

こちらで山口社長のお話を動画で見られます。
受益者総会に参加されなかった方は是非ご覧下さい。

日時:2013年8月31日(土) 10:00〜16:50
場所:国立京都国際会館アネックスホール
〜そうだ、京都でやろう!〜
 伝統と革新が息吹く千年の古都で「投資」について考える

【講演】
 ベルグアース(株) 代表取締役 山口一彦氏

2001年に農業法人から株式会社になりました。農業法人のままでは上場することはできません。
それは百姓が軽んじられているという事なのではないかと思います。


百姓でもやれるんだと、上場するんやとやってきて2011年11月29日、株式市場が最悪の時についに上場しました。農業に革命を、夢が語れる農業へという事で野菜の苗の生産販売を主に行っています。

農業というのは食料を生産するという事です。めしを作るのが一次産業ですが、その農家が一方ではめしが食えんと言っています。それを消費者が「そうじゃな大変だな。くえんわいな。」という人が多いのも現実です。

農家の長男に生まれて農家を継ぎました。子供の頃から豆腐屋と農家の兼業農家だったのですが、百姓で食えない農業を変えてやろうと考えていました。消費者にも農業をやってもらわないと困るよねと言ってもらえる、そういう世の中にしたいと。

そこで、企業としての農業を取り入れました。

これがおもしろないのよ。種をまくだけの人、水だけの人、出荷の箱詰めだけの人。
でもそうしないと儲からないのも事実です。

別の植物の根に苗を接ぎ木をすると厳密には違う植物になりますが、両方の長所をいかした病気に強く収量も多い作物を育てることが出来るようになります。メリットだけではないのですが、そこをいかにうまくやるかの技術が必要になります。接ぎ木の技術を磨き、今では日本一の苗メーカーになりました。

親戚から出資をあつめて株式会社化しましたが、会社が拡大した背景には農業が弱くなったために需要が拡大した面があります。高齢化と農業の規模拡大でこれまでは種から育てていたのを苗は買うようになったのです。

苗にしても農家が自分でやりたい部分もあるので根なし、土なしの接ぎ木苗も開発しました。うちの奥さん(専務)はこれはヌード苗ね!と言ったのですが、恥ずかしかったのでヌードメイク苗と名づけました。

農業の弱体化がベルグアースの成長の要因でもあるのはかなりつらいことです。農業を延命しながら次の農業者を育ててないといけません。今日の登壇者は若い人が多いですが私も農業の中では若手です。

異業種からの農業参入にも期待しています。将来的には各地域に苗を育てる農場をつくっていきたいと考えています。家庭園芸向けの他、中国の苗市場にも進出していきます。

農家に誇りを取り戻したいのです。

農家がお客さん(消費者)に喜んでもらって良かったと思ってほしいのです。
誇りが持てるような一次産業をつくりたいと思います。

大久保:
農家に生まれ育ったと聞きましたが、農家を継ぐと明確に意識したのはいつぐらいですか?

山口:
昭和7年生まれで親父に絶対他にいくことは逃れられないと育てられたこともあり、脇目もふらず農業をやってきました。しかし、25歳のときに失敗をして借金まみれになり、その時はあれだけ農業以外ありえないと育てられた親から「頼むから農業をやめてくれ」と言われました。

1000万円も売り上げないのに3000万の借金を抱えたのです。家族会議をして親戚に農地を買ってもらったりいろいろやって35歳で借金を返済しました。

農業は本気でやっている人にやって欲しいと考えています。