『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』著者セミナー(3)パネルディスカッション2012年12月10日

『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』著者セミナーレポートの最後です。


パネルディスカッション
関わるすべての人がWinを感じ取れるビジネスモデル「Winの累乗」を実践するには?


パネルディスカッションではパネラーとして日本マイクロソフトの牧野さんと鎌倉投信の新井さんが最初にプレゼンをして、そのあとパネルという流れでした。

セミナー全体として、仕組みを小暮さん、NPOの立場から小沼さん、企業の立場から牧野さん、株主の立場から新井さんが話すという事で様々な立場の人の考えが聞けて良かったです。


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日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 牧野益巳 氏

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インドにおけるICT教育:

外資系ITベンダーがどういったWinを作ったかの実例を紹介

一つはインドの教育支援、もう一つは日本でどんなことをしているか


インドは人口12億人の国でITが盛んな一方で経済格差、教育格差が激しい国。

絶対貧困層が一番多いと言われていて、そこから抜け出すことができない。

教育も受けられず、国全体としては経済が伸びながらも二極化している。


そこで、ITを活用して教育と雇用のミスマッチを是正する取組を行った。


研修した教育者 20万人 

その教育者が教えた人数 1,000万人


PCを使った教育は面白いので子供の興味を惹く。

そこで学んだ子供がITの職を始める事でだんだんと社会からドロップアウトしなくなっていった。

子どもがITを習うと親も習い始めるようになった。


こうした取り組みはインド政府からも評価され、2008年には10年計画で世界規模で500億円かけて教育支援を行うことにした。


世界中で大人も参加できるITアカデミーを開いた。


研修した教育者 70万人 

その教育者が教えた人数 3,500万人


本業で社会的なベネフィットを起こした。


教育コミュニティへ支援を行い、教員のレベルアップを図った。

それにより全体的な経済発展シナリオへ。

就業機会が拡大し、第一次、第二次産業から第三次産業へ労働力のコンバートが促進された。


こうした取り組みが評価されてインドにおけるマイクロソフトは国に根ざした会社と思われるようになった。

特に政府と中小企業でそうした評価が高い。

一つのエコシステムを作り上げた。


日本での取り組み:

日本では5万人の教員へ支援している。

他にも元気なコンピューターおじいちゃん、おばあちゃんを作りたいと考えている。

ニートへの就労支援も。


一年に三カ所くらい集中的に取り組む地域活性化プロジェクトというものがある。

これまで40カ所くらいで行っており、今年は岩手県が対象。


若者が苦労している現実。

希望に乏しい世の中へ。

失業率やワーキングプアといった課題が若年層に表れている。


社会に求められていることをICTで支援する。

セーフティネットで自立支援

コミュニティーを作り、尖った人材を育成する

国際競争力の復活


2011年に小学校に入学した子どもが大学を卒業する時、世の中の仕事の約60%は今存在しない仕事になると言われている。


マイクロソフトの企業ミッション

「すべての人々の可能性を最大限に引き出すための支援」


マイクロソフトでは限界集落の復活や障害者の方就職、ニートの再就職を一緒になって取り組んできた。


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鎌倉投信株式会社 取締役 新井和宏 氏

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株主と企業のあり方について:

キーワードは「いい会社をふやしましょう」

営利企業だけではなくNPOも作った

小さな金融ベンチャー


会場内で投資信託で投資をしている人?あまりいない。

銀行や証券会社では売らず、口コミで直接販売している。


企業の持続可能性と投資


築85年の古民家を再生するところから始めた。

750坪のうち500坪を占める裏の畑や山林の手入れも行っている。

なぜ投信会社が古民家再生や畑や山林の手入れを?

 →自分たちがいい会社、日本が抱える課題解決の当事者であるため。


小さな会社の取組ではあるが、実際に鎌倉投信の考えに共感していい会社になると言ってくれた上場企業も存在する。

 →女性の雇用に真剣に取り組んだ総合臨床ホールディングス。


日本で将来に何を残したいか?という価値観。

投資は金儲けではない。


自己へのリターンの最大化→投機(儲かればよい)

社会性へのリターンの最大化→寄付(自分は損するが社会をよくする)

この中間が投資とすると、自己だけでなく社会へのリターンも受け取るのが投資


社会に"長く"何かをし続ける。

お金に関心をもってください。

お金を実際に企業に届ける必要がある。


こういう事を言うとSRI(社会的責任投資)だと言われるが違う。


SRIと鎌倉投信の違い

 アンケート ⇔ 直接

 客観的 ⇔ 主観的

 形式的、網羅的 ⇔ 実質的、持続的


SRIでは全体の社会貢献度のスコアが高い会社が投資対象となる。

鎌倉投信では本業で社会貢献してくださいと言っていて、そこを重視する。


投資先の事例
エフピコ:


障碍者雇用率16.3%

なぜこんなに障碍者雇用率が高いのか?

彼らがいないと利益があがらないから。


日本における食品トレイの半分がエフピコ製。

そしてリサイクルトレイを作ることができるのはエフピコだけ。


スーパーなどで回収された食品トレイの分別を障碍者が担当している。

健常者がこの作業がやると単純作業の連続で集中力が落ち、生産効率下がってしまう。

しかし、障碍者は単純作業をずっと集中して出来るため生産効率が下がらない。


原油価格が上がれば上がるほどリサイクルトレーを作れるエフピコは原材料費で他者に対して優位に立てる。

こういう話をすると聞いた人が家に帰ってトレイの裏を見てエフピコ製か確認して子どもに自慢話をしたり。


いいことをしていて、それを利益に結びつけられる会社はある。

それを見せるのが鎌倉投信の仕事。


デジタルハーツ:

創立して半年でマイクロソフトに採用されたソフトウェアのバグ(不具合)を見つけ出す仕事をしている会社。


マイクロソフトに乗り込んで社員のデバッガと不具合を見つける競争をした。

日本人は細かいのでアメリカ人が感じない不具合に気が付く。デバッグすると差が明確に出る。

競争に圧倒的な差をつけて勝って採用された。


創業メンバーは全員フリーターで社員、登録社員6,000人の半数は元ニートやフリーター。

彼らは仕事をするのにも時間がかかるだけ。得意な分野ではやる気が違う。


フェリシモ:


社員全員がCSR担当者であり、専門の部署は不要と言っている。

何が大事が?

CSR担当を設置すると、あそこがやればいいと他人事になる。

自分事にして欲しい。



そのようなことをしていて企業として儲かるのか?


ヤマトHD:

荷物1個につき10円を東日本大震災関連に寄付すると発表した。

利益の1/3に相当する金額。それを聞いて人はどう選択するか?

宅配便のサービスはどこも似たようなサービスレベル。そんな中でどこを使おうとするか?


事業に共感できるかといった視点が選択肢の一つとなり、どんどん取扱いが増える。

特に東北地方でヤマト運輸が選ばれる結果となった。



トビムシ:

社債を鎌倉投信が全額購入した。

岡山県西粟倉村と岐阜県飛騨で活動している会社。


森林の間伐のコストにかかるコストを間伐材の商品化で稼ぎ出すというビジネス。

地域再生と林業再生に取り組んでいる。

この会社にできなければ日本の林業に未来はないという気持ちで投資した。



なかなか株主の理解が得られない活動ではあると思うが、こういう視点を持った所が増えて欲しい。



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パネルディスカッション

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小暮)

NPOと企業のかけあいについて小沼さんから


小沼)

コンペティターからコオペレーターへ変わりつつあると感じている。

これまでNPOは企業に対して公害問題や環境問題などで敵対する「北風」アプローチしていた。

今は「太陽」。NPOと企業が一緒になって取り組む方向へ。企業と組むことで大きな取組ができる。

小さいレベルではNPO同士の協業も生まれている。

社会の課題が解決できればいいという目的は同じ。

一緒に同じ方向に向かうようになった。


小暮)

企業とNPOではカルチャーや言語も違う。課題は?


小沼)

「留職」は一つのアプローチ。

企業もNPOも相互に理解しあう必要がある。

留職プログラムでは一定期間企業人が外に出る。

NPOと企業間での人材交流が大切ではないか?


小暮)

企業同士のコラボレーションで面白いと思うのは?


小沼)

留職プログラム採用企業同士をくっつける情報交換会を行った。

将来的に何か出来ないか?と考えている。

チームになって複数社で共同でなにかやって欲しい。


海外の事例ではIBMはFeDexと組んでいたりする。

つなぎ役になって敵同士と思われている会社同士をお見合いさせる。

NPOはつなぎ合わせるのが得意。


【地域とコミュニティーについて】


小暮)なぜ企業は社会のことまで考える必要があるのか?


牧野)

日々の仕事は大変で短期的な利益も大事だが、それだけではない中長期的に正しいことをする必要を感じている。

「ソーシャルバリュー」

企業市民としてどうなのか?


新井)

「三方よし」という考えは日本において古い時代からあったが、その後西洋化の流れの中で収益性を第一に問われるようになった。

今は持続可能的でない短期的な利益重視から中長期的な利益への過渡期だと考え、それを解決するのにベットしている。


小沼)

行政がやっていた部分を他が担当するようになりつつある。

企業だけではできない部分を相互補完する。行政、企業、NPOの三者が共に取り組む。


牧野)

日本が置き去りにした問題があちこちで起きている。

世の中を変える時に一つの力ではできない。個人でも行政でもNPOでも。

これまで以上にNPOの重要性が増してくる。



小暮)

Q.こういった取り組みは働いている会社の人にとってどういう反応、感触があるのか?


牧野)

先ほどの話でもあったがCSR部門ができるとそこがやるようになってしまう。

全社で社員を巻き込みながら取り組む。短期、長期混ぜたアプローチ。

それらを数値化して確認してみる。

コミュニティーにおいていいコーポレートか?という質問を社員にするとそのポイントが年々向上している。

役員は全員強く感じると回答し、一般社員含めると90%以上がいい会社だと考えている。


新井)

いい会社になりたいといって変わった会社がある。

また、アメニティというグリーンシート公開会社では鎌倉投信が投資したことによりWBSが取材に来たと言っていた。

地方で知名度のない会社が「テレビでいい会社と言っていた」と地元の人に言われたと喜ばれたケースも。


小沼)

個人が社会を変えるのは何か?そういった取り組みは目が輝き出す。

青年海外協力隊から帰って来て大学の同期と話したら「相変わらず熱いな。早く会社に入って現実を知れ。」と言われたのがNPOへ向かったきっかけ。

日本の元気をもう一度。採用面接でそういえば自分はこんな事を話したなとを思い出すように。



【会場からの質問】


Q  働くことについてどう考えているか?


小沼)

自分の志を体現すること。

今が人生で一番楽しい。こういうことをやったら自分の周りが変わったと考えている。


新井)

人の役にたつことをやる。

実感があればそれでいいと考えている。


牧野)

会社の力を使って世の中に何か起こしたい。

NPOと組んで喜んでもらえると嬉しい。


Q 実現したい未来。感じている壁、不安などについて聞かせて欲しい。


牧野)

不安なのは格差。先進国とそうでない国の格差が色々な問題を起こしている。

この解決には時間がかかる。

かかる時間をいかにして短くすることができるかわからないのが不安。


新井)

日本は課題先進国。裏返すとこれを最もチャレンジできる国でもある。

そんな社長がたくさん活躍することが望ましい。

不安はまだ知名度のない会社なのでたくさんの人に鎌倉投信を知って欲しいという事。


小沼)

課題解決先進国へ。

目を輝かせて取り組むことをソリューションとして提供する。

解決が楽しいメンタリティを生み出したい。


Q 5Cを生かした事業は学生からの起業で出来るか?


小沼)

できる。自分はマッキンゼーを三年で辞めたので社会人経験はほとんどない。

一生懸命やっているとできない部分は誰かサポートしてくれる。

面白い未来を描けていれば。


小暮)

何をしたいのかによる。

企業経験がないと大変。特に企業とつなげること。

企業の力を100%引き出したいと考えた時に企業経験がないと難しい。

できるが、難しい。



Q 優先順位を「株主」「社員」「社会」「消費者」でつけるとすると?


牧野)

優先順位はつけられない。全部大事。全体のバランスが崩れるのがいけないと本社からも言われている。

すべて大事だが、その中でできる・できないを考え抜く。


新井)

あえて言うなら「社員」「お客様」「社会」「株主」の順。

社員が元気で働くことでお客様が喜ぶ。そうして一緒に社会を形成している。株主はそういった活動の縁の下の力持ち。


Q なぜこのように話せるのか?


小暮)

好きだから自信を持ってできる。


新井)

使命感。誰かがやらないといけない。みんなが磨いてくれる。


牧野)

誰かの為になりたい。それを実行できるポジションにいるのがモチベーション。他人のためにしたことは返ってくる。


小沼)

応援するという立場。やりたい人と一緒になってする。説得ではない。


『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』著者セミナー(2)小沼大地 氏2012年12月09日

ダイヤモンド社から出版された『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』の著者セミナーが開催されたので行って来ました。


日時:2012年12月6日(木) 19時〜21時

場所:ダイヤモンド社本社


ゲストスピーチ「留職プログラム」事例紹介

 NPO法人クロスフィールズ

 代表理事 小沼大地氏


新興国「留職」プログラム

NPOが社会を変えるという事をいう人もいるが、自分はそうではないと考えている。企業の力も使わないと変わらない。


クロスフィールズでは企業にいる人に新興国のNPOに行ってもらい、自らのスキルを使って現地に貢献するという活動を行っている。


メリット

 ・グローバル人材の育成

 ・新興国の中所得層の考えを知り、開拓できる

 ・本業の力を使うことによる組織風土の活性化


この三つをつなげる


大学時代に青年海外協力隊で開発途上国に行った。

こちらは数年かけたプロジェクトだった。留職は期間が数ヶ月なので事前に研修して、どんな事をするか作り込んでいる。また、それをどう企業にフィードバックするか?という点に力を入れている。



パナソニックの事例

プロダクトデザインを担当している入社10年目の社員が留職した。

もともと途上国の仕事に興味があった方。


ベトナムのダランでソーラークッカーを作っている会社が留職先。

無電化村でも調理器具をというコンセプトの商品。


難民が灯りや料理のために薪や灯油を使っており、煙から喉の病気を発症したり、薪をとるために木を切るので環境破壊につながるという課題に対してインターネットでソーラークッカーを見つけて自分で工夫して作ったもの。

社員8人でやりくりしているが、月産15個。

この生産性を上げるのがミッション。


低所得層にアプローチ、無電化というのが電化製品メーカーのパナソニックとしても無電化時代に何が出来るのか?という課題ともなる。


社内で5人のチームを組織し、実際に現地に行くのはそのうちの一人。

他のメンバーはインターネットを通じて日本からサポートする。

サポートチームを作ることでコミュニティが出来、会社を挙げて応援するプロジェクトに。


参加したメンバーの言った言葉

「初めて『ものづくり』をした。」

「パナソニックが創業した時の景色がダランにありました。」

松下幸之助の三方よしがベトナムで実現できた。


刺激がありすぎて辞めないか?という心配もあったが、チームで原体験を共有することで仲間になることができた。

どうしても煮詰まってしまった時、あるメンバーの部署にいる伝説のベテランエンジニアに金曜の21時に相談したところ、普段は怖い人がどれと、目をキラキラしながら仲間を連れてやってきた。

そして色々試作して、こうすればよいと紙でモデルを作って行った。

それを見て若手社員がすごい!と尊敬することに。


成果

形状を変えたことで20%のコストダウンにつながった。

最後は改良型ソーラークッカーで肉じゃがを作って現地の人に振舞ったというのをFacebookグループにアップすると社内でもやった!と盛り上がりをみせた。


社会の未来、企業の未来は一緒のもの。

課題を解決すること。

それを企業の中に作りたい。


留職プログラム採用企業

 パナソニック  NEC  テルモ  ベネッセ  日立


本業の力を使って現地に貢献する。この動きに踏み出して欲しい。


【関連記事】

『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』著者セミナー(1)小暮真久 氏2012年12月08日

ダイヤモンド社から出版された『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』の著者セミナーが開催されたので行って来ました。


日時:2012年12月6日(木) 19時〜21時

場所:ダイヤモンド社本社


講師:

NPO法人TABLE FOR TWO International 代表 小暮真久氏

NPO法人クロスフィールズ 小沼大地氏

日本マイクロソフト株式会社 牧野益巳氏

鎌倉投信株式会社 新井和宏氏


ダイヤモンド社 廣畑さん:

この本は書いていることがどんどん実現した。

新しい事例が起きたのが面白かった。

今日は本業で社会貢献という内容。


社会に何かしようというのを他人事でなく考え方や工夫によっては自分達もできると感じて欲しい。


基調スピーチ
 社会をよくしてお金も稼げる仕組み「Winの累乗」について
  TABLE FOR TWO INTERNATIONAL 代表理事 小暮真久氏


ダイヤモンド社の廣畑さんがTABLE FOR TWOはアップルと共通点があると話してきた。

最初は何を言っているんだろう?と思ったがよく考えてみたら自分もそういう気がしてきた。

そこでTFTが広がっている意味を考えて本にする意味があるのでは?と感じた。

マッキンゼーという企業とTFTというNPO両方やってきた事で見えてくるものがある。


世界の全人口70億人のうち10億人が肥満。一方で飢餓状態の人も10億人。

アメリカの平均的な家庭の一週間の食べ物はジャンクフードが中心で  $346

日本だと食べ物は良くなるが、かかっている費用はあまり変わらず $317

日本の食卓にのぼる食べ物の60-70%は輸入で、1/3は捨てている

アフリカのチャドという国では一週間の食費が$1.62で家族の数は多い


日本のカロリーオフをアフリカのカロリーオンに

日本でヘルシーメニューを食べると約500円のうち20円の寄付を上乗せする仕組み

この20円がアフリカで給食1食分に相当する


この活動を五カ国で展開

2007年に日本で始めて今までに1600万食を提供している。


『学校給食を支援する理由』

子供が学校にいかずに畑を手伝ったりしている。そして親は忙しいために食事を作っていられない。

マンゴー11個が食事という子どもも。

給食があると学校に行くようになる。

40%が学校に行けていない


学校給食にする事で栄養だけでなく教育の機会も得られる。

実際に子どもの成績も向上している。


活動地域はエチオピア ウガンダ ルワンダ タンザニアだがTFTは三人でやっている。

現地での活動はパートナーNPOに委託。

給食を作るのは子供の両親にお願いしている。

いずれ自分たちのプロジェクトが終わった後も継続出来るように。


親も最初は手伝うのを嫌がるがだんだん子供に変化が現れる。元気になり、笑顔になった子どもを見ると両親もだんだん変わる。

栄養についての知識を子供が知ると親も学ぶようになり、作物を持ってきたりするようになった。


開発援助の世界ではよく、魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えなさいと言うが両方必要だと思う。

お腹がすいてると釣りにもいけないからTFTでは両方やっている。


ドライな環境でも育つ柑橘類の苗を配布する活動も。

苗木は110円未満だが、そのお金を出すのも大変な状態で苗木をもらえるのは非常に大きい。

出来上がった作物を食べたり出荷出来るようになる。


アフリカの角と呼ばれる地域にあるエチオピアという国。

干ばつで砂漠になったが、これで打撃を受けるのは農家。

原始的農法なので灌漑設備もない。

穴をほると水はでるが汲み上げるすべがない。

足踏みポンプもあるが大変な重労働な上によくこぼれてしまう。

テクノロジーがない。


干ばつ前は11枚食べていたものを干ばつ後は1枚を7-8人で食べて食いつないでいる。

そんな状態で暑い中30分歩いて学校にやってきた子ども達はぐったりと疲れてしまっている。

三食みんなが食べられるようにしたい。


『なぜ企業はTFTに協力するのか?』

この活動には530の企業が参加している

レストランやコンビニ、結婚式会場なども。

なぜ一緒にやれるのか?


社会の為が付加価値になるため。

TFTの寄付を付けると12%多く売れた

差別化できないコモディティ商品にとってマーケティングの購買要因になった。


コンビニで売る商品では寄付分をメーカーが値引きして卸す部分とした。最初はメーカーも嫌がったが結果的に普通に売るよりも売れて利益が出た。


この活動は世界に広がっている。


5Cの仕組みでWINを作っている。

Customer

 先進国:ヘルシーメニューで健康になる

 途上国:空腹が解消されて教育の機会が得られる

Community 

 地域の人が農業や栄養を学ぶ。また、次世代を担う子供が学ぶ。

   先進国では気軽に参加、学べる

Cooperator

 競合ではなく協業 アウトソーシング

 ルワンダでTFTと一緒にやっいるアメリカのNPOに別のファンドレイジングしてあげた

Contributor

 寄付者、理事会メンバーにとっては社会的にいいことしてると言われる

 TFT の弁護士は本当はサービスの価格が高い人。でもTFTは無償で法務サービスを受けている。

 弁護士はその事でクライアントから誉められる事がすごく嬉しいと言っている。

 無償での活動でもそれだけの価値がある。

Company

 学生や社会人ボランティア


他のCにも相互作用して広がっている

これが大事な点=「Win の累乗」


学生の取り組みも盛ん

イキイキとして活動を支えてくれている。

しかし、就職すると死んだ魚の目になってしまう。

なんで仕事してるのかわからないと。


NPOは雇用を創出できる性質のものではないと考えている。

企業でイキイキできるようにしなければ。

NPOだからできると言われるが、そうではないと思う

今日のパネラーはそれを実際にやっている人達。


『ユニクロの社会貢献活動』

ユニクロの全商品リサイクル

着なくなったユニクロの衣類を店舗で回収して難民に届けている

難民にとって衣類は貴重な資源


アフリカに行った時、一緒に行ったアメリカ人が履き古したパンツでも切ってオムツになるから欲しいと言われた。


衣類を送るのはすごくお金がかかること。

ただ、柳井さんはこれはチャリティーではなくビジネスだと言っている。

今はこうでもいずれユニクロの市場になるから。

古着を寄付すると言ってももらう側にも好みがある。文化的に着ない色、夜は寒いのでフリースが必要な気候などマーケティングの要素も。


10億円寄付する事も発表した。

柳井さん曰わく

「これからグローバルに活動しようとしたら社会貢献はビジネス以上に大事かもしれない」

柳井さんだからこそ見える景観があるかもしれない。


寄付金について震災で100億円寄付した孫さんは叩かれた。

日本のこのカルチャーをなんとか変えたい。


『伝えたいこと』

  若者たちを元気に、仕事に情熱をもってもらう
  企業であっても本業を通じて社会貢献できるということを訴えたい


【関連記事】

社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた2012年11月24日

1ヶ月くらい前に小暮 真久さんの『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』という本を読みました。(→ブクログに載せた感想はこちら

社会貢献=NPOがボランティアでやるものと思っている人が多いと感じているのですが、自分は社会貢献はビジネスの世界でも行えると考えています。

そもそも、ビジネスとして継続していくためには何らかの社会貢献的要素がないといけないものですし、どんなビジネスでも多かれ少なかれ社会貢献という要素を含んでいるはずです。

社会貢献の要素がビジネスに占める割合がどの程度なのかは企業によってマチマチですが、この本は元コンサルタントで、その後NPOを立ち上げた著者が社会貢献ではメシは食えないという現状を変えようと、社会貢献をしながらもしっかり稼ぐ仕組み作りについて書かれています。

社会を良くする活動に出資するインパクト・インベストメントについても触れており、この中で大事なこととして下記の2点をあげています。

「出資するからには自分の出したお金がどのようなベネフィットやインパクトを生み出したのか見たい」
「この団体を応援したい。出資するのは 楽しい、カッコいい」というブランド作り

まさにこれこそが自分が出資者側の立場で求めている事で、NPOへの寄付にしても、ミュージックセキュリティーズのマイクロファンドへの投資にしても、鎌倉投信の結い2101への投資においても重要視している点です。

金銭的リターンにおいて寄付 、マイクロファンド、ファンドそれぞれ違いはありますが、そこに社会的リターンと自分の満足度をプラスするとそれぞれ高いものを自分は選択しています。

この本でしくみづくりにおいて重要なことはなんでも自分たちだけでやろうとするのではなく、得意分野ごとに協業することとあります。

ビジョンを共有できる団体(企業やNPO)に得意分野は任せて、自分たちも得意分野で貢献することで実際に現状に即した形での社会貢献のカタチが出来上がっていくものだと思います。

本で書かれているエッセンスに関してはダイヤモンド社の書籍オンラインで5回の連載で紹介されていますので、ぜひ一読をおすすめします。(→こちら

12月6日(木)19時からダイヤモンド社本社ビルにおいて著者セミナーが緊急開催されることになりました。
著者の小暮さんのお話を聞けるだけでなく、本の中でも実例として登場した鎌倉投信の新井さんがパネルディスカッションにも登壇します。

セミナー概要
日時:12月6日(木) 19時〜20時30分
場所:東京都渋谷区神宮前6-12-17 ダイヤモンド社本社ビル9Fセミナールーム
参加費:入場無料(事前登録制)
定員:60名
詳細・申込は→こちら

第一部:社会をよくしてお金も稼げる仕組み「WInの累乗」について
    NPO法人TABLE FOR TWO international 代表 小暮真久氏
第二部:「留職プログラム」事例紹介
    NPO法事にクロスフィールズ 小沼大地氏
第三部:パネルディスカッション
 テーマ:関わるすべての人がWinを感じ取れるビジネスモデル「Winの累乗」を実践するには?
 ゲスト:日本マイクロソフト株式会社 業務執行役委員 牧野 益巳氏
     鎌倉投信株式会社 取締役 新井和宏氏

ソーシャルビジネスカレッジ ミュージックセキュリティーズ(2012.09.20)2012年09月23日

ソーシャルビジネスに関する勉強会「ソーシャルビジネスカレッジ」の最終回はミュージックセキュリティーズの小松 真実氏の講演でした。


日時:2012年9月20日(木)

場所:グラントウキョウノースタワー 大和スカイホール

主催:大和証券グループ、ミュージックセキュリティーズ


少し遅れての参加になりましたが、講演のメモをアップします。



創業からのあゆみ


音楽ファンドを作りたいという想いから創業した。

メジャーレーベルから出さないと売れない、インディペンデントになれない。

経済的にもインディペンデントになって欲しいとの思いで「いいね」をインターネットを通じて集める仕組みを構築した。


2006年にレストラン、2007年に酒蔵ファンドを設定


2011年 当社に出資していたVCが償還を迎え、事業会社からの出資へ転換している。

電通、リクルート、地銀グループ、三井住友など



作り手のための金融


当社はミュージシャンや事業者など作り手のためになる金融を目指している。

これまではインターネットを通じた直接販売だったが今後は金融機関での販売も目指す。

今現在11社と交渉中。


ファンドを組成するのはストーリーのある会社。

アンケートでも事業者に共感したという理由が多い。

儲かりそうではなく、被災地の方のために被災地応援ファンドを設定した。

もしも、被災地に資金ニーズがなければやらなかった。


広義でのマイクロファイナンスだが、マイクロな個人が投資する仕組み。


クラウドファンディングとは違う

あれは金融ではない。


第二種免許を持った金融機関として

似ているが違う事業


日本各地の事業者にこの仕組を広めたい

面白ければ資金が集まる

収益性よりも


ソーシャルビジネスとは社会的問題解決+ビジネスの両立だと考えている。

他人から言われるのがカッコいい。

これからも他人からソーシャルビジネスと言われるように。



<コメント>


大和総研 河口 真理子氏)

大和総研ではCSR活動としてサスティナビリティカレッジというのを開催していた。

社内へフィードバックできるものをということで開催したのがソーシャルビジネスの勉強会


株式会社が資金調達するのは利益の成長が前提になっている

既に地球資源の1.3倍もの資源を一年で利用している現状がサスティナビリティなのか?


拡大思考ではない社会的ビジネス

CSR 活動はその第一歩では?

海から陸に生物が上がったように

利益から社会性に価値観が変わっていくのでは?


河口)

ミュージシャンから金融ビジネスにとはなかなか行かないと思うがなぜ?


小松)

メジャーレーベル全盛の頃で若いミュージシャンが若い人からボコボコに言われる

お金がないと何も出来ないと思った。軽いトラウマに。

金融ビジネスを始めてからも銀行やVCにはやられる事もあったので、ファイナンスを勉強した


インディペンデントな事業者に武器を供給するのが当社の役割


河口)

重視するものは


小松)

デューデリジェンスでキャッシュフローや事業計画は公認会計士が確認しているが、事業者のこだわりを重視している。


酒蔵のように共感性のある方が事前にこちらで収益性ありそうと思っていたものよりもお金の集まりが良かったり、結果も良かったりする。


ストーリーを共有したい。

これは他ではやっていない。


事業者にとっても集めたお金への責任感が生じる


 ・ストーリーのある経営
 ・ミッションがしっかりしている


この二点が共通点


河口)

ソーシャルビジネスには強烈な想いがあり、それが周りを巻き込む力になる
協力したくなってしまう


マザーハウスは広告をしていないし、内装も自分達で行うのであまりお金がかからない

アダンセも一人でビジネスしているが、カッコいいパッケージデザインはプロが無償で提供している。


おかげでノウハウが安く手に入ったり、協力する事で協力者が満足したりする。

関わりを持つことにリターンを感じ、喜びを感じる


これはバブル後だから感じられる今だからこその価値観


志をお金にという想いがある

ちゃんと儲ける仕組みをベースに探してくると想いがなくなってしまう


したたかに活動している

ビジネス的にも戦略的にも




<パネルディスカッション>


Q.ソーシャルビジネスとは?


小松)

 ”生き様”プラスビジネス以上

猪尾)

 事業の継続性を高める手法

株主がトライ&エラーを何回我慢できるか

また、この手法をどの程度組み入れているか?でビジネスとソーシャルビジネスの意味合いが変わる?


河口)

両方を組み合わせたのがソーシャルビジネス

21世紀型ビジネスの担い手

20世紀に資本主義(お金)と共産主義(公共性)という対立があり、資本主義が勝ったが、その資本主義も綻び始めている

自己利益から公共利益への流れ


アメリカでは株式会社の新しい形態としてベネフィットコーポレーションというのがある。

株主利益だけを追求しないソーシャルビジネスを行う形で7つの州で導入されている。

日本にも展開しているパタゴニアはベネフィットコーポレーション


小松)

形態はどうでもいい

資金調達をどのように行うか?

必要な額を必要なタイミングで調達する


猪尾)

出資の動機が多様化している

被災地応援ファンドでは半分のお金は寄付で、なくなってもいいという性質のお金

日本酒のファンドでは5年間は寝かしていてもいいというお金



<会場からの質疑応答>

Q.この仕組をまちおこしにも利用できないか?

Q.シーズをどう発見していくのか?

Q.シーズがあってニーズのないものをどう扱うか?


小松)

まちおこしもたぶん使えると思う

ただ、誰が当事者になるのかが大切

町内会で資金を集めるというのとは違う


例として黒壁 事業単位での募集ではあるが、若手作家を支援する仕組みでまちおこしにもつながる


ニーズからシーズを探していない。

先ほども話したが、そういったものよりも強烈な想いを持った事業者の方がうまくいく。

シーズからニーズをファンドを通じて作り上げていくことはある。


河口)

共感の目利きはどうしているのか?


小松)

担当者がすごくいいと思うかどうか?

事業者の熱量をインターネットを通じてどのように伝えていくか?

直接会うことによって感化されるものはあると思う。


周りに伝導して行かないといけない


猪尾)

ソーシャルビジネスは巻き込む力が重要


Q.

未達のファンドがあるが

銀行でMSのファンドを販売する計画についてもう少し聞きたい


小松)

当社の認知度、信頼度を高めていきたい

ファンドを償還して実績を残すことで信頼を高める

金融機関で売ることでも


Q.行政との関わり方は?


小松)

一緒にやっていきたい。

県庁や金融庁とも協力してやっている


河口)

プラットフォームをまずはしっかりすることが大事。

総務省の緑の分権改革という地方再生策があるが、地方では年金が入るが使い途がない。

食べ物は自分たちで作っているし買うものもない。

そこで地銀や信用金庫に預金が貯まるが、銀行も融資先が地元になく、結局国債を買っている。

それがいずれ遺産となって東京にいる息子にわたって住宅ローンの返済にまわされたり。

地方でお金をまわす流れが必要


Q.応援団といい事業者はどのように出会うのか?


猪尾)

自然と事業者の想いに吸い込まれる

発信が多いのが特徴


河口)

小松さん自身の経験から考えてみてどうか?


小松)

素直であること。

どうしてもやりたいという事を素直にお願いしていく姿勢で協力が得られる


河口)

ご縁。

マインドがある人を引き寄せ、タイミングで人との出会いがある


Q.再生可能エネルギーでのこの仕組の利用は?


猪尾)

いまはたまたまやっていない。

誰がやるかが大切。

事業者の想いがあるか


河口)

この仕組は市民風車でもあるが、志をどこに見るのか?

地域をどのように絡めるかが大切。


小松)

地域も利益を得られる形で。


Q.規制、管理コストについて


小松)

例えば本人確認などもやり方がある

外注できることは外注して、ネットで完結出来るようにすることでコストを抑えている

大きくこのビジネスを伸ばすためには外販も必要

それによって関係性がどのように変わって行くのかは気をつけている


河口)

想いをシェアする仕組みで今まではプロボノ的な働き方もあったと思う。

創業から12年ということで今は小学生。これを中学、高校と大人へのステップを歩んでいくことが大事。


Q.クラウドファンディングという新しい仕組みと既存の金融機関との関係


小松)

既存の金融機関を巻き込む形で推進していく。

既存金融機関は当社の倒すべき敵ではない。


よく一緒にされることがあるが、クラウドファンディングは金融ではなく、当社は第二種登録された金融機関。

当社は規制を作る側の人たちとも協力して事業者にとって後押しする制度作りにも関わっている。


尖っている、感応度の高い人と一緒に。


猪尾)

根は地域の会社が元気になること

補完しあう関係になりたい


河口)

ブランディングが必要だと感じた。

今の事業を表現するのにクラウドファンディングのような・・・と話すのが最も通りがよいが、違うのであればそこをもっとアピールする必要がある。


Q.まとめとして今後について一言


小松)

ソーシャルビジネスは利他の考え方で生き様


猪尾)

リソースの限られている中で事業者と投資家をつなぎファンを作っていく


杉山)

マイクロファイナンスのファンドを組成したくて転職してきた。

世の中には少しのお金がないために困っている人が多くいる。

日本中から少しのお金を集めて届けていきたい。