ネット証券4社による証券税制の軽減税率延長を求めるキャンペーンについて ― 2012年06月30日
ネット証券4社(SBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券)が2013年末で証券税制優遇が終了することに伴い、延長を求める署名活動を行なっています。
自分はこの署名に参加しませんでした。理由は・・・
□ 期間限定の税制ではなく、恒久的でシンプルな税制にして欲しい
□ 優遇するのであれば日本版ISAなど長期投資による資産形成層を支援する税制にして欲しい
というのが主な理由です。
金融庁さんに投資家の声をヒアリングする会で伺った際にもそのように回答しています。
税率は低ければ低いほどよいのは払う側としてはありがたいものではありますが、利益を出したのであれば、その一部は社会全体に還元することで世の中全体をいい方向に動かす力として欲しいという思いもあります。
確定申告をしていて思うのは日本には例外が多すぎるという点です。住宅ローン減税など特例税制があるせいで税制は複雑化し、結果として確定申告のハードルをあげています。そういった意味でも、期間限定の特例処置はむやみに期間を延長するのではなく、恒久的な税制にして欲しいと思います。
確定拠出年金の特別法人税なんかも、じわじわと何回も凍結してないで廃止して欲しいのですが・・・。
21世紀をつくる人を幸せにする会社 ― 2012年06月30日
「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズの著者 法政大学大学院の坂本光司教授の研究室と鎌倉投信の共同研究の結果が本になりました。
日本には500万社を超える中小企業があって、日本の会社の99.7%を占めています。そして、中小企業で働く人は全体の70%。日本は多くの中小企業で成り立っています。
共同研究では4500社にアンケートを送付し、712社からの回答を基に価値ある企業の特徴について研究を行いました。その結果、売上高経常利益率が安定的に高い企業にある共通する項目がありました。
【この本のポイント】
□ CS(顧客満足度)は高いES(従業員満足度)から生まれる
□ 利益を生み出す源泉は「ヒト・モノ・カネ・情報」から「共感資本力」へ
□ 感動や共感を生み出すビジネスには口コミによる広がりが生まれる
□ 価値ある企業に共通するのは「経営理念の浸透」、「人財育成」、「関係者との信頼形成」
□ 共感資本を媒体にした価値のらせん的発展
社員一人あたりの教育費が4万円を超える企業とそうでない企業との差は利益率で1.6倍、社員満足度調査を行い、改善策を講じている会社は行なっていない会社と比較して利益率で1.4倍の差が生じるなど、一部研究結果のデータも書かれていますが、データの紹介はわずかで文章で実例を交えて好業績を残している”いい会社”が紹介されています。
個人的には今回紹介されなかったデータにも興味があったのですが、各社の取り組みが文章で紹介されたことにより、データでは見えない共感が生まれる理由などについては逆に見えやすくなっていると感じました。
この本では12社を紹介していますが、共通しているのは社員がイキイキと働くために経営が力を注いでいるという点です。坂本先生は企業経営が一番大切にしないといけないのは「社員とその家族」と言っています。
顧客が第一という企業が多いのですが、まずは社員の幸せを第一に考える経営が結果的に顧客へ感動や共感を与える仕事につながるという点が今の日本に一番欠けている視点だと思いました。
日本に蔓延するうつ病や年間3万人もの人が命を落とす自殺問題に関しても社員を大切にする経営が解決への糸口なのではないかと思います。(20代〜30代の死因のトップが自殺で、20代の死因の半数が自殺というのは異常すぎます
)
「いい取り組みをしている会社は好業績」これが一般化していくと、経済的には豊かになったものの、心の貧困を招いてしまった日本という国が、経済的だけではなく心も豊かな未来に向かって進んでいけるのではないでしょうか?
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