2013年6月末のポートフォリオ ― 2013年07月02日
鎌倉投信の結い2101が池内タオルへ投資 ― 2013年07月04日
結い2101の最新月次レポート、結いだより第40号に池内タオルの社債に投資した旨が書かれています。
いつもなら結い2101の定点観測レポートを書くところなのですが、嬉しすぎるので個別に記事にしちゃいます。
池内タオルは愛媛県今治市にあるタオル製造の会社です。
この会社ではとにかく環境にやさしいタオルを作ろうとこだわりぬいています。
タオルを織る際の環境負荷を抑えることも大事だけれども、なによりも大事なのはお客様が長くタオルを使っていただくこと。偉いのはオーガニックなコットンを栽培してくれる農家と高いのにも関わらず買ってくださるお客様と言っています。
タオルを織るのに必要な電力は全て風力発電でまかなっており、この度WWFから日本企業として初めてWindMade認証も取得しました。
池内タオルのタオルは環境にやさしいというのが売りなだけではなく、2002年にはニューヨークのテキスタイルショーでミラクルソフトネス!との評判からグランプリを受賞し、小泉首相の所信表明演説でもその事が取り上げられたりしていました。
その後、卸業者が倒産したことによる連鎖で民事再生を受けることになりましたが、「タオルを何枚買えば池内タオルは再生出来ますか?」というファンからのメールが届いたという程、ファンから愛されていた会社です。
私が池内タオルを知ったのは第一回の結い2101受益者総会でした。
そこでコットンがオーガニックだから何?って思っていた自分は実は農家が綿を育てるのに大量の農薬を使っていて健康被害があったり土壌汚染や水質汚染、肥料を毎年買うために多くのお金を使っているなどの社会問題を抱えていることを知りました。
コットンって農作物なんだというのを改めて認識してオーガニックコットンに興味を持つようになり、そして実際に池内タオルのタオルを使ってみてその肌触りにあっという間に惚れ込み、ミュージックセキュリティーズで募集された風で織るタオルファンドに出資するまでに至りました。
自分も製品を愛用していますし、会社も応援していたので結い2101を通じて池内タオルの社債に投資したというのは本当に嬉しいことです。「いい会社をふやしましょう」と言っている鎌倉投信がこの会社に投資しなくてどうする?って気持ちでいたので、ついにこの日がやって来たかという気持ちです。
ちなみに池内タオルさんは今年創立60年を迎え、「オーガニックな会社をつくりましょう」というスローガンのもと61年目をスタートしています。スローガンも似てるし、お互い目指す方向は一緒だと思います。
過去に池内タオルの池内社長の講演を何度か当ブログで紹介しているのでいくつか紹介します。
また、ソーシャルビジネスカレッジを受けて大和総研がソーシャルビジネスレポートを書いています。
最後に宣伝です。
7月5日(金)19:30〜19:55 NHK総合テレビで放送される特報首都圏という番組で池内タオルさんが取り上げられます。(少し古いコツコツ投資家の方には印象深い番組だと思います)
番組は「市民が作る夢のプロジェクト〜クラウドファンディングの可能性〜(仮)」というお題でインターネットを通じて幅広い人から小口の資金を集める仕組みの特集です。その中で池内タオルさんのミュージックセキュリティーズのファンドを通じたコットンヌーボープロジェクトが登場します。
私もクラウドファンディングの投資家として取材を受けました。
首都圏の方はお時間ありましたら是非御覧ください。
そうでない方はNHKオンデマンドでぜひ。
ドラゴンフラワーズから出資者特典の季節の寄せ植えが届きました ― 2013年07月07日
うちの奥さんが宮城県岩沼市のドラゴンフラワーズさんを被災地応援ファンドで応援しています。
津波によって営農施設は全壊し、ハウスを建て直して再建を目指したものの地下水の塩分濃度が上がってしまいせっかく植えた苗が枯れてしまうという事も起きてハラハラしましたが、その後水道水を混ぜることで花苗の栽培を再開しています。
そしてついに出資者特典の寄せ植えが届きました!
復興に向けた苦労を出資者として見守って来ただけにこういった形で復興に向けた”形”が届くと良かったな〜と思います。
花の売れ行きも弾みがついてきたようです。
これからも応援していきます。
鎌倉投信いい会社訪問ツアー サクセスホールディングスに参加しました ― 2013年07月10日
6月30日(日)に鎌倉投信主催のサクセスホールディングスさんへのいい会社訪問がありました。
当初25名の募集に対して40名が申込み、当日欠席者なしで遠くは関西からの参加者もいました。
自由が丘にじいろ保育園へ訪問し、岡山県西粟倉村の間伐材を使った床や遊具などを見学した後に柴野社長のお話をお聞きしました。当日の模様は7月3日(水)の日経新聞朝刊でも紹介されました。
また、結いだより第40号でも紹介されています。
床やテーブルなどふんだんに間伐材が利用されていてあたたかい雰囲気です。
園児が遊ぶおもちゃも間伐材が使われています。
柔らかい針葉樹を使っていて厚みがあるのを逆にずんぐりとかわいらしいデザインに仕上げてます。
子ども用の椅子でしたが、大人が2時間座って話を聞いていても大丈夫でした。
サクセスホールディングス 柴野社長
2010年11月サクセスアカデミーの持ち株会社としてサクセスホールディングスが誕生し、2012年8月にジャスダックへ上場、2013年4月には東証二部へ上場することができました。ちなみにジャスダックから東証二部への指定替えの最短記録で、純粋に保育事業から上場したのはサクセスホールディングスが初めてになります。
事業所内での受託保育事業を中心に展開しており、受託保育事業は弊社がオリジナルという事で業界最多です。事業所内保育というのは病院や大学、企業の福利厚生施設としての保育園で女医さんなどの子供を預かります。2000年の小泉改革で保育園に株式会社の参入が解禁されましたので他に認可保育園や学童施設もやっています。
ここ、自由が丘のにじいろ保育園は亀屋万年堂さんの土地でしたが、地域のために保育園を作ろうと場所を提供してくださいました。
当社では医療現場のみなさまと保育所がもう一つの家庭になれるように待機児童問題には貢献してきた自負があります。24時間365日の仕事をしている方の為にも事業所内保育に対しても助成金が欲しいと個人的には思っています。
入社式で必ず言っている言葉が二つあります。一つは「会社は世のため、人のために存在している」ということ。もう一つは「常に相手の立場にたって」ということです。そしてグループ理念は『人から”ありがとう”と言われるサービスを提供』です。
創業以来言っている言葉もサクセスグループ4つの約束に含まれます。
”相手の立場にたって”努力します
”お互いを認め合い”向上していきます
”前向きで誠実な”仕事を誓います
”世のため・人のため”に働きます
保育事業の前は学習塾をやっていましたが、それも「ありがとう」と言われる仕事でした。これからも「ありがとう」と言われるような仕事をしていきます。
1989年、学習塾を株式会社にする際にいい名前をつけようということでサクセスアカデミーと命名しました。翌年、神奈川県の高校入試制度が変更されて神奈川方式がなくなるということで塾に逆風が吹き始めました。そんな時、保護者の方からバイリンガルのベビーシッターを紹介してほしいと相談を受けました。その方は帰国子女で「アメリカ、イギリスではベビーシッターは当たり前です。やってみたらどうですか?」とアドバイスを受けました。
ベビーシッターを個人向けにやる場合、今日利用して下さった方が明日も継続して利用して下さるかわからないリスクがあるため、安定して利用者を確保するために企業向けにできないかと考えました。
学習塾はフランチャイズでやっており、オーナーの持ち家で塾をやっていただく代わりに25%をオーナーさんにバックしていました。この仕組みを事業所内保育に使えないか?と考え、病院などに保育を利用した分だけお金を支払っていただければよいという従量制の事業所内保育の営業をかけました。開設準備金でいただく100万円は施設の補修などにあて環境を整備した結果、当時はまだバブルの頃で看護師さんが転職しやすく、病院が優秀な看護師さんを確保するための福利厚生として当社と契約してくれました。
当時の看護師さんは4週6休で2交代というような勤務体系でいつ保育士を使うかわからないところがありましたが、最大限の保育士と契約して保育事業にあたりました。最初に地元の有力病院でやらせていただいた事で口コミで徐々に広がりをみせました。
当時は株式会社が保育事業を行うことが出来ませんでしたので、病院が設置した保育所に運営の手伝いをする請負契約という形で2000年までやっていました。主なお客様は国立大学病院、市立大学病院 医療法人 大学や企業の研究所、自治体などです。
これまで事業所内保育が表に出ることはあまりなかったのですが、上場することで皆さんに存在を知っていただけるようになりました。現在全国に施設は224(受託保育162、公的保育施設62)あり、東京と大阪に支店があります。地域別では関東178、中部27、西日本17です。
当社の保育については”のびやかに育て大地の芽”という事でクラスの名前も大地などをつけています。こども、保護者、地域との関わりを大事にしています。
こども向けには自然共育と食育に取り組んでいます。自然共育では間伐材のおもちゃやテーブル、いすを使って感性を育んだり草木や虫とふれあうといった夢中になれる体験、やってみたいという体験の積み重ねで人としてのの根っこを育てます。食育では楽しく食べる事に取り組み、園庭で栽培された大根を切り干し大根にしたり魚の解体を見るといった体験をしています。その他に親御さんには家族と食卓を囲んで食べてくださいとお願いしています。
保護者の方に対しては保育のプロとして子育て相談員がおり、育児の相談を受けるようにしています。また、こどもの情報を保護者と共有して今日はどうやって過ごしていたのかお話するようにしています。
地域との連携では中学校や小学校の体育大会に参加したり地域の人のオーボエを保育園で演奏していただいたり、子どもを持つ親御さん向けにベビーマッサージ講習などを開催しています。
保育の質とは環境と保育の内容、保育者の三位一体で担保されるのではないかと考えています。
他に特徴としてITを使って保育士が保育に専念できる環境を整備しています。まだ売上が1億円の頃に1000万円かけて作ったシステムがあり、3年前に1億円かけて作り直しました。保育者シフトやヒヤリハット、感染症の案内、楽しい遊びや行事、請求書など様々なものがシステム化されていて保育士さんの負担を減らせるようにしています。これらは他社には例をみないシステムであり、ASP化して他社にも展開が出来るといいのですが、それぞれの保育園で独自なものが多くなかなか共通化は難しい状況です。
他にも本部SVが日々保育園を巡回して問題などを解決するようにしています。1園だけの運営ではないので
社内イントラや内部監査を通じて1年に30〜40園を訪問するようにしています。
保育士のモチベーションの維持向上も重要です。保育士は向学心があるので、園内研修や外部研修を組み合わせて試行錯誤しながらできる限りの研修を行なっています。
また、保育士から園長先生というだけでなく、本部への転属もできるようなキャリアパスも用意しています。
柴野社長の講演の後、質疑応答も1時間たっぷりと対応していただきました。その中から一部を紹介します。
Q.鎌倉投信の投資先でもあるトビムシとの関係について
A.元々は間伐材を使った遊具なども地元の神奈川県で調達を考えていたものの、森林管理から伐採、最終商品まで一貫してやっているような業者がなく、西粟倉の間伐材を3年前から使っています。今年の4月に開園した5ヶ所の保育園ではほぼ同じく間伐材をふんだんに使った仕様になっており、認可保育園に関しては基本的にこの仕様を続けていく方針です。今年はテニスコート10面分の木材を利用しましたが、来年に向けて早めに発注することで夏の安い時期に木材を用意しておくなど計画的に準備を進めることができます。山主さんにとっても東京の保育園のためにと話すと喜ばれているそうです。
Q.事業所内保育で病院ではなく一般企業向けにはできないのか?
A.現行制度では1法人あたり助成金が出るのが1ヶ所だけという制限があるため、例えば本社に導入しても地方拠点には助成金が下りないなどの問題があります。上場したことで一般企業からも引き合いは来るようになったのですが、病院と違って不景気になると工場を閉鎖したりすることもあり、助成金の件と含めて難しい面があります。
Q.配当は認可保育園からの収益も含まれているのか?
A.今年度から25円の配当を予定しているが認可保育園も受託保育園も合わせた利益から持株会社を通じて配当をします。上場審査の際、受託保育だけの利益で配当という事も検討したのですが当局からNGが出て、持株会社として認可保育園と受託保育園の利益を合算した上での利益分配という形になっています。
Q.障碍者の雇用について今後の見通しについて
A.色々検討をしていますが保育の現場では難しいという事で本社で働いていただいています。企業としての責任もあるのでもっと採用したいと考えており、本当は現場で採用できると良いのですが・・・。企業としてできなくても他の形でできないかと個人的な取り組みとしてダウン症の方の就労支援を友人と一緒に行なっています。
新井(鎌倉投信).柴野社長との話で一番多いのは障碍者に関する話。就労支援している方を柴野社長に紹介した時に既にその方の本を読んでいらして、引き合わせた後はすっかり意気投合してました。こういう形でも鎌倉投信は関わっています。
柴野社長は1時間にわたって数多くの質問に真摯に答えて下さりました。将来への不安についてもあえて言うなら経営陣が変わって会社の方針が変わってしまうことがないようにという事を話されており、とにかくありがとうと言われる仕事をしていくんだという強い意思を感じました。それは個人的にやっていると話されていたダウン症の患者さんへの就労支援の話でも感じたことです。
あとは、認可保育園からの収益を配当することに対してどうなんだ?という考えがあるというのも今回の件で初めて知りました。税金から助成金をもらっておいて儲けたお金を投資家に還元するのはけしからんというのは同意はできないけれども、そう考える人がいてもおかしくないですよね。
休日にも関わらず対応して下さった柴野社長をはじめサクセスホールディングスの社員の方々、そしてツアーを企画して下さった鎌倉投信の方々、本当にありがとうございました。
公募投信でも年金向けのような情報開示をして欲しい ― 2013年07月12日
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用受託機関公募の資料を読んでみて感じたことです。
運用会社が年金基金にファンドを売り込みに行く際、このファンドはこういう運用体制でこういうベンチマークでどのくらいアクティブに運用するのか(トラッキングエラー)やリスク水準など事細かに伝えています。
年金基金ではそれらの情報を元に投資先を決定しているわけですが、翻って公募投信の投資家の場合これらの情報のうちほんの一部しかもらえてません。
目論見書にも「ベンチマークを上回ることを目指します」という定性的な事が書いてある程度で、正直言うと「で?」って聞き返したくなるレベルです。リスクやアクティブリスク(トラッキングエラー)、ベンチマーク(隠れたのでも)、想定リターン、運用体制(ファンドマネージャーやアナリストの人数や経験年数)などなど定量的な面で知りたいことはたくさんあります。
GPIF並の情報開示までは言いませんが、もっと投資家に必要な情報は伝えてもいいのではないでしょうか?証券会社や銀行へ取扱の営業をかける時には伝えているのかもしれませんが・・・
少なくとも、ベンチマークからどれくらい離れるつもりなのかを表す想定アクティブリスク(ここがアクティブファンド選びのキモだと思ってます)や想定リスク、想定リターンは欲しいな〜。
鎌倉投信さんは想定リスクと想定リターンを話してくれているのでそのまま鵜呑みにはしていないながらも将来の姿をイメージしやすいのですが、他のファンドの場合は運用哲学や過去実績からこのくらいを狙ってるのかな?と想像するしかありません。
運用会社の人が公募投信でアクティブファンドを買おうとする時に情報少なすぎ!とか思わないんでしょうか?
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