ひふみ投信第四期運用報告会(2)レオスの運用哲学、ひふみ投信のサービス2012年11月03日

ひふみ投信運用報告会レポートの続きです。(→前回の記事


日時:2012年11月3日(土) 10時~12時

場所:レオス・キャピタルワークス


藤野さんがセミナーの予定終了時間の10分前まで熱弁を振るい、質疑応答が少なかったですがその分懇親会でレオスの皆さんと個別にお話させていただきました。(シニアファンドマネージャーの湯浅さんとお話できたのも貴重な機会でした。)


ひふみ投信は投資家も増え、成績もしっかり残して脂が乗ってきているなという印象を受けました。

藤野さんが話されていた絶対値でもTOPIXでもライバルファンドにも勝てるだけ勝ちたいという姿勢に強烈なプロ意識を感じましたし、運用の裏側についてもたっぷりお話を聞けて勉強になりました。

自分にとってのコアファンドとして安心して投資ができるなと再認識しました。


大学生のアルバイトに企業の決算説明会に行ってもらうというのは面白いアイデアですね。

シャーロック・ホームズとベイカーストリートボーイズや明智小五郎と少年探偵団といった関係を思い浮かべました。学生さんにとっても就職する前にいい勉強になりますよね。


※ひふみ投信の第四期運用報告書はこちら


【レオスの運用について】

運用プロセス

 1.定量スクリーニング・投資アイデア

 2.企業面談 

 3.定量・定性分析、調査レポート作成

 4.チームディスカッション

 5.ポートフォリオ構築・管理


運用における3つの基軸

 ・”足で稼ぐ” Rheos Field Work 【定性・ボトムアップ&トップダウン】

   対話・現場を重視する企業への徹底的な調査、世界・歴史の流れを踏まえた市場・社会への調査

    

 ・”魚群探知機” Rheos Scoring Model 【定量・ボトムアップ】

   全上場企業を独自の定量基準で常時モニタリング


 ・”気象観測器” Rheos Market Direction Indicator 【定量・トップダウン】

   主要経済告の景気や相場をモニタリング


運用を標準化、産業化しようとしている。
職人でなくても運用ができるように。

(トヨタは職人でなくても自動車を組み立てることができる)


TwitterやFacebookのコメントを元に株式投資をするモデルが開発されたが、今後IT出身の運用会社が登場するかもしれないと考えている。


FMの佐々木のアイデアでアルバイトの学生を大企業の決算説明会に行ってもらうというのを始めた。

ある会社では社長が原稿を棒読みでアナリストも眠そうだったと。またある会社では社長がイキイキと話していてアナリストとも信頼関係を感じたと報告していた。

どっちの会社に投資したくなるか?

それですぐに投資をすると結びつかないが、調査を始めるキッカケにはなる。

学生にとっても勉強の場に。


RSMでは全上場銘柄を定量的に分析している。

上場銘柄3,600社を10分位に。最上位ランクを見るとひふみ投信に似た値動き。

ここから企業調査を絡めて絞り込んでいく。

企業がアクセルを踏み込んだ瞬間を捉える。


着眼点

 「大きく割安で高い成長性がある」「業績に変化の兆しがある」「株価に変化の兆しがある」

投資収益の源泉

 「成長・株価上昇の初動を捉える」「市場の非効率性(バリュー株効果、モメンタム効果)」


RMDIでは大きな景気の動きをモデル化

7カ国の先進国と4カ国の新興国の鉱工業生産、長短金利差、新規住宅着工件数など景気先行指標から構成される。


着眼点

 「右肩上がりからレンジ相場へ」「日本株のリスクオン、リスクオフは世界経済に左右される」

投資収益の源泉

 「資産配分効果」「企業選択の精度向上(ディフェンシブ型成長企業⇔景気敏感型成長企業)」



【今後の運用について】


株価 = EPS × PER


EPS:個別企業の利益

PER:成長期待


ひふみ投信ではEPSが成長するような銘柄を選択する。

PERにはギャンブル要素が含まれる。また人気銘柄が不人気になると叩き売られる要因にも。



【長期投資の神話の誤解】


・長く持てば上がるわけではない

・長期的に業績のあがる会社に投資していたら株価は上がる

・長期的に業績の下がる会社に投資していたら株価は下がる


日本株はダメという印象があるが、株価は上昇している会社の方が多い。

東洋経済の方も最新の四季報で最も出てくる言葉は「最高益」と言っていた。これは四季報を実際に見てみるとわかる。

大きいから安心ではない。



【ひふみ投信の考える有望株】


・リーマンショック後にも増収増益を続けている会社(924社)

・オーナー経営者か非オーナー経営でも強烈なリーダーシップのある経営者が率いている会社


投資するなら成長力があってPERの低い、株価水準の低い会社。


企業業績と株価を10年で見てみると概ね株価と業績が連動していることが見て取れる。

ソフトバンクのように業績に関係なく跳ねたり、売り込まれたりすることもある。(=市場のギャンブル性)

業績以上に株価が上がった場合は一旦売ってしまう。逆に業績以上に売り込まれたところで買い戻す。

ダイハツのようにリーマン・ショック後に業績が更に良くなった会社が良い。


株価と業績に関心のないサラリーマン社長は自分が会長になっても追い出されないように少し人間の小さな社長を後に据える。

→マトリョーシカ経営者


中国共産党ですら温家宝が隠し財産を築くくらいに資本主義。

日本の経営者は良くも悪くもクリーン。

収益をあげられない社長は悪。

住友化学は経団連の会長だが、株価は三分の一に。

三菱UFJフィナンシャルグループは株価が三分の一になってもまだ時価総額で見るとまだまだトップクラス。

まだまだ下げる余地はある。上がる余地ももちろんある。



【ひふみ投信のお客様】


藤野さんの熱弁で既に残り時間が10分というところで白水さんにバトンタッチ(笑)。


男性:80.9%

女性:19.1%


SNS上では漢の投信などと言われているが、セゾン投信も女性比率は30%程。決して男性向け投信というわけではない。

ひふみ投信という名前やパステルカラーを採用しているのも女性を意識したもの。

昨年よりも女性受益者が増え、運用報告会にも女性が来てくれるようになって嬉しい。(昨年の運用報告会は男性だけだった)


年代構成は30代、40代の資産形成層が中心。

資産形成ツールとして利用されている。


居住地


北海道・東北 6.28%

関東 55.6%

中部 10.42%

北陸 2.49%

関西 13.82%

中国 3.61%

四国 1.78%

九州・沖縄 6.00%


Facebookの利用率とも似ている。

福井県は0.05%と最も少ないので福井出身の方は地元の人に薦めて欲しい。


定期定額引落とし購入

自由つみたての導入で約60%のお客様がつみたてしていただくようになった。


初心者向けにひよこ塾というのをやっている。

ひよこ塾は自分(白水さん)が担当している。今日もひよこ塾の卒業生のお顔がちらほら。


ひふみの運用報告は月に2回行われて動画配信もしている。

運用レポート(隔週)とメールマガジン(ひふみ便り)でとにかく、毎週皆さんになんらかお伝えしている。



【質疑応答】

Q.TOPIX比でこのくらい勝ちたいというような目標はあるのか?


A.特にそういった目標はない。

 絶対値、TOPIX、ライバルファンド この3つにはとにかく勝ちたい。馬鹿みたいに勝ちたい。

  ライバルファンドA 弱気相場に強い

  ライバルファンドB 上昇相場に強い

  ライバルファンドC 円安局面に強い

 ひふみ投信は全天候型を目指している。ライバルファンドCとは弱いところを補完しあえる関係かも。



Q.IPO銘柄に市場で投資しているが、IPOには参加していないのか?


A.IPOに参加しているがなかなか割り当てが来ないので市場で追加購入している。

 初値がIPO価格よりも高くついても想定株価よりも安いと買っている。



Q.ファンドサイズが大きくなると影響があると聞いたが?


A.300億円くらいまでは今の体制でやれる。

 300億円~3000億円だと工夫が必要だが、その規模であれば運用体制も拡充できて経営も安定するので安心してもらえるのでは。


コメント

_ タカちゃん ― 2012年11月05日 18:38

>住友化学は経団連の会長だが、株価は三分の一に。
これは笑った!
ひふみ投信の考え方は面白く、日本株の銘柄研究に役立ちそうです。
でも、それなら「ひふみ投信」を買ってしまえば早そう。
鎌倉投信、ひふみ投信には期待しています。

_ m@ ― 2012年11月06日 23:13

>タカちゃん
個別株投資をする人にとってひふみ投信の銘柄は見ていて面白いと思いますよ。

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――当ブログに初めてお越しの方はコチラからご覧ください――連作です。前回は【ひふみ投信】について〜その一・基礎事項編〜 をご覧ください。また、このエントリはm@さん@"いい投資"探検日誌 from 新所沢(アーカイブ)の以下のエントリを参考にさせていただきました。ひふみ投信第四期運用報告会(2)レオスの運用哲学、ひふみ投信のサービス: "いい投資"探検日誌 from 新所沢 【ひふみ投信】の運用についてご興味のある方は上記も必読の内容となっています。−※−※−※−【ひふみ投信】の運用について語られる際に、特に取りざたされる内容として以下の三つの要素があると感じます。1.最高100%から最低50%まで、柔軟に変化させる(というルールを設けている)現金保有比率2.市場などの環境変化(トレンド変化)に対して、ダイナミックな銘柄入れ替え(及び組入れ業種の変更)3.中・小型株式主体の魅力的な個別銘柄選別どの要素も、定性的な判断・運用者のセンスの問われそうな内容です。『定性』『定量』については以下をご覧ください。ご参考:≪閑話休題≫『定性』と『定量』と つれづれ そして、上記三要素それぞれに対して運用者の定性的なセンス−主観を盛り込む一方で、その決断の土台となる情報、知恵は民主的に運用チームそれぞれの気付きから集めるという事は、前回確認した通りです。しかし、こうした『定性的』な部分というのは運用者の変更があったり、相場急変によって運用者の見立てが通用しなくなった場合、結果が悪くなる可能性が高くなります。(投信ブログ界隈のコトバにするならば『運用者の力量・センスに左右されうるリスク』とでもいいましょうか)結局のトコロ、この『定性的』な部分をどこまで『信用するか?』というのがアクティブファンドに投資できるかどうか?の境目なのかな?とも感じています。