ソーシャルインパクトボンドカンファレンスに参加しました2013年06月18日

6月11日に明治大学 非営利・公共経営研究所が主催でソーシャルインパクトボンドカンファレンスが開催されました。

ソーシャルインパクトボンドというのはイギリス発のソーシャルセクターへ向けた新たな資金調達の仕組みで一旦投資家からNPOなどの活動資金を調達した後、NPOなどによる社会問題の解決の成果に応じて政府が投資家に配当を支払うモデルです。

カンファレンスの講演者でもあるソーシャルインパクト・リサーチの熊沢さんが日本におけるソーシャルインパクトボンドの実現に向けてというスライドを作成されていますのでそちらを見るとわかりやすいと思います。

 『日本におけるSocial Impact Bondの実現に向けて』 株式会社ソーシャルインパクト・リサーチ

ソーシャルインパクトボンド(SIB)カンファレンス
ソーシャルセクター資金調達の新潮流
 ソーシャルインパクトボンド導入で日本のソーシャルセクターは活性化できる!?
日 時  :2013年6月11日(火) 18:00〜20:30
場 所  :明治大学駿河台キャンパス リバティタワー1094教室
主 催  :明治大学 非営利・公共経営研究所
内 容  :社会的価値評価と英国におけるSIBの新潮流 
       明治大学経営学部教授・(株)公社研代表取締役 塚本一郎氏
      日本におけるSIB導入のメリットと提言
       (株)ソーシャルインパクト・リサーチ 代表パートナー 熊沢拓氏
      パフォーマンスナンバーワン投信からみたインパクトインベストメント
       鎌倉投信(株)取締役 資産運用部長 新井和宏氏
      パネルディスカッション
      おわりに~共同提案

■ 社会的インパクト評価と英国におけるSIBの新潮流 明治大学経営学部教授 塚本一郎氏

ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは社会的問題を解決していくための活動に対して投資する政府と民間との契約。政府は成果に対して支払いを行い、当初は民間からの資金を使って活動する。成果をあげることで削減される費用から投資家へのリターンを支払うため、公共セクターとしては税負担を増やさずに革新的な公共サービスを提供できる。また、思うような成果があがらない場合は政府の負担はない。

イギリスのピーターボロウ刑務所のケース(世界初のSIB)
 ・2010年3月に契約、9月から開始
 ・ターゲットグループは18歳以上の男性服役者3000人。1000人で一つの集団を3つ形成
 ・服役中と出所後の支援費用として500万ポンド(約7億円)調達
 ・出所後1年以内の再犯率を全国平均(60%)と比較し、
  再犯率が10%以上低下する集団が一つ以上もしくは全体で7.5%低下したらリターンが発生
 ・リターンは-100%〜+13%までの非常にハイリスクな仕組み
 ・政府のリスクを民間投資家に転嫁する仕組みといえる
 ・社会的セクターにとっては新しい資金調達手段
 
エセックスのケース(自治体で最初に導入されたSIB)
 ・家庭を支援し、子育てと家族関係の改善にフォーカスをあてたプログラム
 ・380人の集団に対して8年間支援を実施
 ・過去30ヶ月のデータに基づいた650ケースのデータが比較対象となる
 ・投資家へのリターンは中間的なパフォーマンスで+8%
 ・最初のパフォーマンス公表 2013年末

社会的インパクト評価の事例 〜社会的投資収益分析(SROI)〜
 ・育て上げネットとマイクロソフトによる就労支援に対して第三者評価を実施
 ・評価にSROIを必ずしも使う必要はないが、SROIは成果を算出する一つの指標
 ・公的な若者就労支援政策を行っている地域若者サポートステーションでIT講習を
  マイクロソフトが実施したところ他のサポートステーションと比較して就労率に差が見られた
   全国平均39.6% IT講習あり45.5%
 ・IT講習を行ったグループと行っていないグループとの差異に注目すると費用に
  対して5.6倍の価値を生み出していた
 ・就労支援の社会的意義は本人の就労、賃金を得ることにより貨幣価値も生み出す
  (税金での支援から税金を支払う立場への転換)

この例では就労というわかりやすい結果だが、差異があることが重要。
ピーターボロウのケースではSIBがなかったら普通の再犯率と同程度であったと思われるが、SIBの利用により再犯率が低下したことが価値。成果を計測できることがSIBの成立には重要な要素。

SIB成立の要件
・介入することによる成果が明確な社会問題か?
・官民パートナーシップの存在
・社会的マインドをもって一緒になって解決したいという投資家の存在
・サービス実施団体の存在
・ファイナンスモデルとしてリスクとリターンのバランス
・成果に対して客観的、公正な測定方法が設定されていること

これだけやりましたという取組ベースからこれだけ改善されましたという成果ベースへの転換を目指す


■ 日本におけるSIB導入のメリットと提言 ソーシャルインパクト・リサーチ 熊沢拓氏

SIBは世界に広まりつつある資本主義のパラダイムシフト

新しい資本主義のパラダイムシフトで起きていること
・官主導から様々なプレイヤーによる協力
・活動に費用がかかっていたのが成果に応じて費用がかかるモデルへ
・活動が目標だったのから成果が目標に
・単年度主義から複数年度主義へ
・政権に左右される仕組みから政権に中立なしくみへ

先進国共通の現象として社会課題の解決に多額の税金を投入しているものの解決されていない
解決すべき社会問題が山積みで債務残高比率も高い中、行政介入コストが不透明なものへお金を使えない

ソーシャルインパクトボンド(SIB)
 =市場の失敗を資本市場のメカニズムで解決しようとする仕組み

投資においてもパラダイムシフトも必要
→インパクト投資

SIBは債券なのか?
 償還期限切れがあり投資収益率の上限が固定という意味では債券に近い
 元本が補償されない、社会的成果に応じてリターンが変わるという意味で株式に近い面もある

ピーターバロウ型
 成功確率91%でないと元本確保しない=非常にハイリスク

ニューヨーク市型
 ブルームバーグ財団の補償により成功確率71%で元本が確保できる

NPOバンクでは最大でも元本までの払い戻しとなるがSIBにすると投資元本+利息の支払いが見込める

利用できると想定される分野
・犯罪問題
・こどもの貧困
・薬物リハビリテーション

早期の予防的サービスで用いられ、義務的なサービスには向かない


■ インパクト投資の事例 鎌倉投信 新井和宏氏

投資理論の中で答えが出ない国が日本。
投資理論に則った答えを出すためには社会的課題を解決しないと長期的に厳しいだろうという仮定に基づき、社会的課題を解決する会社に投資する。

鎌倉投信の考える社会的責任投資は形式性や網羅性を重視しない。行き過ぎた客観性は無責任になる。そこで、主観的に本質を判断する。実質的・持続的なものを見分けるポイントは赤字になっても続けられるかどうか。

インパクトを与える投資
社会・いい会社・鎌倉投信の関係性について

社会 と 鎌倉投信
 リターンの概念を変える 一番大事!
 資産形成×社会形成×心の形成=投資の果実

社会 と いい会社
 課題先進国である日本が課題解決を輸出する時代へ

いい会社 と 鎌倉投信
 さらにいい会社になってもらえるように提言する

経済合理性と経営は違う

SIBはすべてのセクターが枠を越えて役割をクロスオーバーしていくもの
期待リターンの水準を満たしながらも投資家の枠を拡大して財団NPOの立ち位置に寄っていくもの
公共セクターだけでなく、民間セクターでもこの仕組みを応用できないか?


■ 感想

ソーシャルセクターにとっては活動を支える資金を寄付や助成金ではなく、投資という形にすることで大きな金額を呼び込みやすい仕組みなのだと思います。実際アメリカではゴールドマンサックスによる投資も始まっています。そして、政府にとっては成果があった場合だけお金を支払えばいいので財政が厳しい中で効果的なお金の使い方が出来そうです。また、成果があった場合でも民間のソーシャルセクターに事業を委託することによりコストは押さえられます。この二つのセクターにとってはほぼメリットしかありません。

問題なのは投資家です。ソーシャルセクターが思うような成果を出せなかった場合はリターンがなく、成果を出したとしても大きなリターンは望めません。あくまでもソーシャルなインパクトが起きることを望んである程度のリスクを負った上でお金を出す投資家の存在が必要です。イギリスやアメリカでは財団がその役目を担っているようですが日本の財団ってそういうお金の使い方をするのかな?という点で疑問を持ちました。

また、NPOにとっては成果が出るかどうかに関わらず先に資金が入ってくるのと、いくら頑張ったところでこの案件ではプラスの面はないため最善を尽くしてくれないと困りますが、金銭的なリターンを生み出すための成果を残すという観点からはインセンティブが薄そうです。

どちらかというと絶対に元本確保までは頑張れという類のお金ではなく、社会的に価値を生み出す活動の資金を提供して成功したら自分にも金銭的なリターンが返ってくるという程度の温かみのある資金を集める必要がありそうですね。

政府が成果型の助成金をNPOに出すという仕組みでもいいんじゃないか?とも思いましたが、それだと成果が出なかった場合にNPOが返金するなどの負担が生まれるんですよね。やっぱり政府が負っていたリスクを誰かに負わせるモデルなのかな・・・。

他にも欧米にはソーシャルインパクトを評価したデータの蓄積が多いのに比べて日本はまだ十分に計測されていないという現実もあります。まずは日本においてもソーシャルインパクトを計測してデータとして蓄積していく事が必要そうです。

SIF-Japanの定例勉強会 SRI事情・初級編 水口剛氏2013年05月10日

NPO法人 社会的責任投資フォーラムの第46回定例勉強会に行って来ました。

日 時:2013年5月9日(木) 18:30〜20:30
場 所:東京ウィメンズプラザ
講 師:水口剛氏(高崎経済大学経済学部教授・経済学部長 SIF-Japan(共同)代表理事)

■ 現在の投資が抱える2つの問題
一つはショートターミズム。短期間で利益をあげようとする傾向。市場に流動性をもたらすという見方もあるが、人間は合理的に行動できないので一方向に突っ込み過ぎる傾向がある。また、本来出資したお金がビジネスで使われて利益を生み出したものから投資家に利益が還元されるものではないのか?

もう一つは投資と投機の外部性。ある経済活動が当事者以外にも影響を及ぼしてしまう。
世界人口は70億人になり、2050年には90億人とも言われているが、中国やインドの新興国がこのまま人口が増えながら経済成長していくと地球の環境容量の限界を超えてしまうのではないか?

そこで地球環境の器の中で経済活動を行うようにすべての意思決定において持続可能性に配慮した「責任ある経済」への転換が求められている。

■ SRIファンドから「責任ある投資」へ
第一世代のSRI
 1920年代にアメリカやイギリスの教会が教義に反する酒・タバコ・アルコール系企業を除外した投資

第二世代のSRI
 1970年代のアメリカで反戦・人権・環境保護運動などと連携した投資
 株主総会へ議案を提出したり、よい企業を選ぶという特徴

第三世代のSRI
 1990年代以降、アメリカやヨーロッパの大手金融機関が環境・社会の要素を加味した投資先の選別を行うことでよりよい投資利益を生み出すことを主張した

責任投資原則(PRI)
 2006年に国連が機関投資家のすべての運用にESG問題を投資の分析と意思決定のプロセスに組み込むことを求める責任投資原則を策定。世界中の機関投資家に呼びかけた。

■ 責任ある投資の方法
スクリーニング
 悪い企業を排除もしくは良い企業を選別する

インテグレーション
 アナリストがESG項目も調査し、統合的に評価する

エンゲージメント
 投資先に改善を要求する。アメリカは対決性が強く、ヨーロッパでは経営陣との対話を重視。

■ 世界のSRI市場規模
2012年、世界全体で13.6兆ドルの資金がESGに配慮されて投資されている。これは機関投資家の運用の20%を占める。しかし、内訳はヨーロッパが65%、アメリカが25%とここだけで世界中の90%。
東京証券取引所は世界第三位の証券取引所だが、日本のSRI市場はわずかに0.1%。

日本でも選択肢は広まりつつあるが、なぜ諸外国と比較して残高が少ないのか?

ヨーロッパやアメリカでは公的年金や政府系年金といった巨大な機関投資家が積極的に国連PRIに署名している。日本では保険会社と企業年金のみ。(運用会社の署名は多い)

■ なぜ、責任ある投資をすべきなのか?
学術論文20本中、ESGが投資成果にネガティブ3本、ポジティブ7本、中立10本。
UNEP-FIではESG要因を投資判断に組み込むことはマイナスに働く証拠はないと結論づけている。

年金はユニバーサル・オーナー。ほとんどすべての企業に投資し、投資成果は市場全体を反映するため、目先の利益よりも持続可能な社会に投資した方が合理的である。(例.環境に配慮しない投資をした結果地球温暖化が進みタイで洪水が起きて投資先の会社に工場に被害が起きるなど)

サッカーでは「ピッチを壊すようなことはするな」と呼ばれる。

ユニバーサル・オーナーとしてではなく、例えば電車には並んで乗るなどと言った行動における一種の規範があることが合理的な結果につながる。(例.電車にみんなが割り込みで乗ろうとすると結局乗り切れない)

しかし、「倫理」に訴えるのは機関投資家に受けが悪い

倫理は組織で行うことではないという考えと、倫理は利益と対決するものと見なされ、受託者責任を果たさないと見られてしまう。

■ 提言:責任ある投資を日本でも広めるために
機関投資家の投資行動に規範を組み込むために制度的な裏付けをつけてはどうか?
国民年金法・厚生年金保険法を改正し、「持続可能な社会の実現に配慮しつつ」の文言を追加する。
そうすれば公的年金も責任ある投資をするようになるのでは?

■ 統合報告
統合はなぜ必要か?それは投資のあり方が変わりつつあるから
投資家向けの情報開示に環境・社会の要素を統合したものであり、アニュアルレポートにCSR報告書を統合するという事ではない。
財務的資本だけでなく自然資本、ソーシャル・キャピタルをいかに使って価値を生み出すのかビジネスモデルを説明するもの。

□ 参加した感想
勉強会の題名にSRI事情・初級編と銘打っていますが、中級者以上向けの話もあって基礎から結構深いところまで一気に勉強することができました。

第三世代のSRIと責任ある投資(PRI)では実際に投資するポートフォリオにどのような違いが生まれるのかについて質問しましたが、第三世代まではSRIかそうでないか?というものであったが、PRIは全ての投資行動にESGを組み入れるという事でポートフォリオではなく、コンセプトが異なるという事でした。

昨年、SIF-Japanの勉強会で講師としてお話させていただいた際、今のSRIファンドのポートフォリオは時価総額の大きな企業群で構成されていてわざわざスクリーニングをした意味がわからないという点を話しました。ですので、機関投資家が投資の全てでESGを意識したところで結局投資される対象に対して差が出るとは思えません。(補足すると現行のSRIやESGでは各種ESGの指標についてポイント付けして総合的に判断するため、まんべんなく様々な取り組みをしている大きな会社に有利になり、小型株をそぎ落とすだけのスクリーニングになってしまっていると思います)

確かにGPIFなどがPRIに署名すると日本のSRI残高は増えるのでしょうが、じゃあポートフォリオの中身はどう変わったのか?というところを見るとさして変化がないのでは何のためにやったのか意味がわかりません。法制化して機関投資家に対して責任ある投資を促すよりも前に、責任ある投資とはこういうものだというのを運用会社がしっかりと実態として示す必要があるのではないでしょうか?

例えば自然食品の店に行ったのに店頭に並んでいる商品が普通のスーパーと代わり映えしなかったら、自然食品の店という看板に何の意味があるの?って感じると思います。
それと同じような胡散臭さが今のSRIやESGにはあると思っています。

また、森林の世界だとFSC森林認証というのがありますが、これは森林の環境保全に配慮しながらも地域の社会的な利益にかない、経済的にも持続可能な森林を認証する制度です。この制度だと適切に森林に手入れをしながら利益も生み出すという事ができているのか検証することもできると思いますが、責任ある投資やESG投資の場合、「責任ある」「ESGに配慮」と言いながらもそうやって投資した結果が本当に持続可能な社会づくりに寄与したのかどうか評価しているようには思えません。なぜか、金融リターンがどうだったのか?という研究や検証に終始しています。

ソーシャルなインパクトを求めてESG投資しているわけではないというのが背景にあるのかもしれませんが、マイクロファイナンスが本当に貧困解決に有効なのか?というのを検証する開発経済学に相当するような経済学も必要なのではないでしょうか?

最後に国連PRIの機関投資家向けガイダンスを紹介してレポートを終わりにします。

東洋経済のCSRランキングに感じる違和感2013年03月26日

今年も東洋経済社がCSRランキングを発表しています。
信頼される会社をデータから見つけるCSRランキングという事ですが2013年版は以下のようなランキングでした。(→CSR総合ランキング 東洋経済オンライン

 1位 トヨタ自動車
 2位 富士フィルムホールディングス
 3位 NTTドコモ
 4位 ソニー
 5位 日産自動車
 6位 富士通
 7位 東芝
 8位 デンソー
 9位 NEC
 10位 富士ゼロックス

確かに大きな会社でそれなりにCSR活動もしている会社ですが、これらの会社のCSRが特に優れているとも感じられません。

違和感の原因はランキングを決めている得点にあります。
総合ポイントは最高600点なのですが、そのうち半分の300点は財務に割り当てられています。
信頼される会社という意味で財務も大事な要素ではありますが半分はいくらなんでも多すぎではないでしょうか?また、この調査では銀行、証券、保険、その他金融は除外されているのにも違和感を感じます。

他にもアンケートによる加点方式であるために、多くの項目(人材活用35項目、環境26項目、企業統治28項目、社会性25項目)に満遍なく取り組んでいる会社が高得点を獲得する仕組みになっていることも大企業が軒並み上位に連なる原因にもなっています。(→ 評価項目については こちら に記載があります)

純粋にCSR評価点だけみるとソニー、東芝、シャープ、NEC、日立製作所といった電機メーカーが軒並み人材活用、環境、企業統治+社会性のいずれも90ポイント以上を獲得というのは調査方法に偏りがあると見ていいのではないでしょうか?

多くの項目に取り組んでいることも評価すべきですが、項目は少なくともやっている内容は素晴らしい会社もあるのでそういった事も勘案されるといいのにと思います。

世界におけるSRIの市場シェアは22%に2013年02月11日


このコラムによると世界におけるSRIのシェアは22%を占めるものの地域ごとに大きなばらつきがあるそうで内訳としては欧州49%、アフリカ35.2%、カナダ20.2%、豪州・ニュージーランド18%、米国11.2%、アジア(日本除く)2.9%で日本は0.2%に過ぎないそうです。

アフリカが意外に高いのに驚きましたが、これは南アフリカが年金基金に大してESG配慮を義務付けしたり、ヨハネスブルグ証券取引所は財務とESG情報を統合した報告書の提出を上場の要件とするなど国策としてSRIに取り組んでいるためだそうで、思わぬところで熱心な国があったんだなと思いました。

日本においてSRI投資の比率が低い要因に海外では主要な投資家である年金基金による取り組みがほとんどされていない事が指摘されていますが、そもそも日本のSRIはほとんどがポジティブスクリーニングによるもので結局大企業は割りと選ばれやすく、わざわざ追加の費用を出してまで選ぶ価値があるかどうか?というのもありそうです。

このコラムでも書かれていますが、例えば武器製造企業を除外するなど何らかの特徴をもたせたネガティブスクリーニングの運用手法をいくつか用意すれば選択しやすくはなると思います。(最大のシェアを持つ欧州においても武器関連を排除するものが全運用資金の半分を占めるそうです)

アメリカでも銃乱射事件が続く中で公的資金の運用に際して武器関連企業への投資を控えた方がいいか検討を始める動きが出ています。

SRIってTOPIXなどの市場平均を上回るパフォーマンスを出すための投資手法として研究されることが多い様に感じますが、そういう目的だと他にもバリュー、グロースやセクターへの投資など様々なものが既にあるわけです。それよりも、投資家側が市場との接し方について何らかの想いを持った時にそれを実現する投資手法だと思うんですよね。

そういう意味で日本でも部分的ネガティブスクリーニングを実現した(もしくは含めた)SRIファンドが登場すれば投資家側も投資しやすくなるのではないでしょうか?

セキュリテ被災地応援ファンドが環境goo大賞に選ばれました2012年12月15日

環境保全および社会貢献活動に取り組む企業、行政機関、団体または個人のインターネットを通じた適切かつ効果的な情報発信を審査表彰する 環境goo大賞 というものがあります。

今年で12回目になる、その環境goo大賞に今年はミュージックセキュリティーズの セキュリテ被災地応援ファンド が選ばれました。

寄付+投資という形で被災地域の中小企業の復興を応援する新しい仕組み、ファンドの募集内容がひと目でわかりやすいのと被災地からの積極的なレポートが受賞の理由だったそうです。

震災からもうすぐ2年。
徐々に被災地に向けられる目は少なくなっていますが、被災地ではまさにこれから様々な企業が復興しようとしています。

人が生きていくための営みとして企業というものは欠かせないものですが、その復興に自分も一緒になって関わり、応援できるセキュリテ被災地応援ファンドという仕組みは本当にいいものだなと、先日被災地へのツアーに参加して感じました。

被災地応援ファンドで募集をしているというだけでも金融機関の信用もぐんと上がって資金調達もしやすくなるそうです。

昨年と比べて被災地への寄付は少なくなっている方も多いと思いますが、これを機会にこの仕組みを知っていただき、自分が応援したいと思える会社があったら1口でも出資をしてくれたり、商品を買ってみてもらえると嬉しいです。