第三回鎌倉投信受益者総会レポート(7)ユーシン精機 小谷社長 ― 2012年10月03日
受益者総会レポート第七弾は午後の部のいい社長講演 ユーシン精機の小谷 眞由美社長です。
最初に新井さんから「ロボットの会社で上場以来赤字になったことがない珍しい会社。その心髄を聞いて欲しい。」という紹介がありました。
□ 日時:2012年9月29日 9:30~12:15(第一部) 13:15~16:00(第二部)
□ 場所:建長寺
小谷 眞由美社長
昨年も講演を依頼されたが出席できず、またお声がけして欲しいと言っていたら今年もお声掛けいただいた。
先代が一から始めた会社で売上142億円、従業員数は連結で571名
大証二部から東証一部の一号事案だった。当時は大証二部→大証一部→東証二部→東証一部と徐々にステップアップしていくのが当たり前の時代で、都度費用もかかるので一気に指定替え出来たのは幸運だった。オリエンタルランドと同一日に東証一部に上場した。
関連会社はインドネシアが増えて11社
1973年に株式会社化。
ガス灯の誤差が10%程度だったのを1%程度にする技術を開発して多く売った。これが創業者のとった唯一の特許。
ユーシン精機の由来は「有信」信用のある会社でありたいという創業者の思いを表したもの。
自分は先代と婚約した時から会社に入り、管理、総務から営業まで技術以外のことは何でもやってきた。
社訓
「今日も1日よりよくユーザーに尽くし、より多くの信用を得ましょう」
創業者語録
「できない、無理だは出発点」
「一つのテーマに7つの解決法を考える」
「品質は社運を決める」
2002年に創業者が亡くなり、社長になった。
直交ロボットが得意。
金型から取り出すロボット。携帯やCD、DVDなどの取り出し機。
他に半導体、ボンドを塗る、下敷きのサファイアを削るといった特注機も。
弊社の機械は24時間休まず稼働し続ける。
シェア50%なので、皆さんの使っているものもユーシンの機械で取り出されたものかも。狂わず5年間動き続ける。DVD 、Blu-rayディスクを0.069秒で取り出すことができる。
カナダや韓国、中国などにも進出している。
タイから昨日戻ってきた。タイは水害の後どこかへ工場が移動するのではないか?と言われていたが復興が早い。1月に訪問した際は水が濁っていたが、今回は戻っていた。日系の工場は既にキレイになっている。
フィリピンは人口9500万人。アジアで日本に次ぐ市場希望。
新しい設備はほとんどが海外へ輸出されている。
新しく、速い機械が求められていて、製造業は休まず働き続けるロボットが速いと利益率が高まる仕組みになっている。海外売上中心でこの分野では最後発だったがシェア一位になった。
納期は厳守する。
震災の時は逆にお客様に持って帰ってくれといわれた。
無借金経営で創業の心を忘れずに。
日本機械学会賞を受賞したロボットがあるが、それが300機売れたら驚かれた。
業界のトップクラスの企業をターゲットにグローバル展開している。人財もグローバルに採用。海外の人も日本人並の給与で働いてもらっている。試験をすると日本が負けることもある。結果が給与に反映されるため。
第三回鎌倉投信受益者総会レポート(8)デジタルハーツ 宮澤社長 ― 2012年10月03日
受益者総会レポート第八弾は午後の部のいい社長講演 デジタルハーツの宮澤 栄一社長です。
最初に新井さんから「これからの時代の匠はこれだと感じた。宮澤社長はあまり講演しないが、今日はなんとか来ていただいた。鎌田が宮澤社長の話を聞いた時は泣き出していた。」という紹介がありました。
□ 日時:2012年9月29日 9:30~12:15(第一部) 13:15~16:00(第二部)
□ 場所:建長寺
宮澤 栄一社長
株主総会でも話しているが、投資していただいている皆様を応援だと思って、仲間だと思っている
テレビや雑誌は嫌いであまり話すことはない。鎌倉に来たのは遠足ぶり。今日はありのままを話す。
社名のデジタルハーツはデシタル社会でもハートを持ってという意味。外人にはすごい名前と褒められた。
不具合を発見する作業をデハッグというが、ゲーム機や携帯のバグをユーザー目線で探しだす。
いわゆるプログラムコードを読んでバグを見つけるデバッグではない。
正確には自分たちの仕事に名前がついていないので便宜上デバッグと呼んでいる。
栃木県の田舎で育った。
父親は銀行員を止めて中華食堂を企業した。色んなことをやって何度も倒産したのを見てきたので自分は社長をやりたくなかったそれで東京に出てきた。
8歳の時が実家が一回目の倒産。3億5千万円の負債を抱えた。これまで可愛がってくれていた人が来たので、いつものように寄って行くと「どけこのクソガキ」といわれ、何かが起きたと子供心に感じた。
父親は山奥に逃げ、自分たち家族も隠れ部屋にいた。
当時は夜中でも取り立てにやってきたので、それを玄関で止めるのが自分の仕事だった。
家で勉強してはいけないという環境だったが模試では東大にAクラスとなっていた。
だが、父親に東大で一番偉い先生は一番稼いでいるのか?商売人の息子は商売をしろと言われ、実家で働くことに。しかし、5年後に8億7千万の借金を抱えて二度目の倒産をした。
この時は従業員に一ヶ月分の給与を払うことはできたが。
家が取り壊される前の日が1月1日の正月で塩おにぎりが出てきて、中身がないおにぎりを食べたのが初めてだったのがなぜか面白かったというのを覚えている。
東京に出るとき絶対経営者やらないと決めていた。
そこで、役者や音楽の道へ進んだ。作詞家として活動している時に父親が倒れて手術費用50万円と言われたがそのお金を用意できず、それまでお金なんて関係ないという歌を作っていたが、人の命は50万円だと思った。お金に色はある。
それまでもパチンコ屋を経営していた時は負けた人のお金で生活していた。
自分は一体何をしてきたのか?
父親に何かを見せたい。生き方を見せたいと思い、三年の間、人のためだけに生きてみようと考えた。
人のためという対象はゲーム会社で働いてたオタク。
いい子だったので、その人達のために。東京で住むために15万円稼ぐ環境を。
ゲームしかできないが、その姿を見て技術者だと思った。
どうしてバグが見つけられるのか聞いてみたら「なんか匂う」、「感じる」といわれた。
社長から逃げるのも人のためでないと思って6畳一間で起業した。
理想のままにやっていきたい
匂う、感じるとされていたものを67万件のデータベース化した
テスト業界はまだ浸透していない
試算ではこの市場は約1兆円あると言われているが、弊社の売上は65億円。
まだまだ多くの会社がデバッグを社内でやっている。
マイクロソフトのXBOXがリリースされる時に乗り込んでいって、あなた達の優秀な人達と勝負させて欲しいと言ってデバッグの勝負をしたら10倍以上勝つことが出来た。
その頃は名刺もA4の紙を手で切って作ってた時代。実力が認められて仕事をすることになったので200人を一ヶ月半で集めることになった。場所もないのでマイクロソフトの倉庫を掃除して空きスペースを作った。人集めはフロムAで世界一のゲーマー求むと広告を売ったら公民館に600人のゲーマーが列をなした。
その後会社を買いたいと言われたが断った。
全て自社で実施している。
7000名でデハッグする
オタクは行儀がわるい、怠け者というイメージがあるが情けで事業をやっているわけではない。
学校で礼儀などを教えてもらってないだけ。最初に集まった人たちはみんなバンダナをしていたので取ってと言っても、なんで取る必要があるの?と聞かれる。
挨拶はなぜ必要なの?、お金ってなに?仕事ってなに?というのに丁寧に答えていった。
そこは作詞家の要素が生きたのではないか。
ニートも社会の役に立ちたいと思っている子がほとんど。
政府がニートフリーター対策として山奥に連れて行って叫ばせたが6人就職しただけだった。
CSRは嘘っぱち
みんな幸せなのは当たり前
その中で利益をだす必要がある
教育しないと
自分たちがしっかりすれば結果はついてくる
できる範囲で。
ちゃんと世の中で認めてもらいたい
技術が素晴らしい、名前が素晴らしい、バグ0にしたい
海外ではちょっとは仕方ないと見過ごされてしまうのも発見できるのは日本独自の血から生まれてくるものものづくり日本は細やかさではないか?
例えば雑誌は上から三番目を買ったり、ベビーカーの箱はきれいなまま店に陳列されていたり。
インド、ドイツ、ベトナム、中国ともまた違う。彼らはプライドはあるが、細かいことが気にならない。
日本人はデバッガだから総理大臣の細かいことが気になってすぐに変えてしまうのでは?
アナログからデジタルは不確定になる
不具合を見つける地道なベースは変わらない
世界でナンバーワン
バグを見つけて一個一円を積み重ねる
メイドインジャパンからチェックドバイジャパン
いい表現だと思ったが外人に聞いたら上から目線だと言われた。
マルニ木工から出資特典なべ敷きが届きました ― 2012年10月06日
2012年9月末のポートフォリオ ― 2012年10月07日
受益者から意思を持った投資家へ ― 2012年10月18日
昨日は社会的責任投資フォーラム(SIF-Japan)さん主催の勉強会でお話させていただきました。
「個人投資家が金融商品やSRIに期待すること」
日時:2012年10月17日 19:00〜21:00
場所:JICA地球ひろば
あいにくの雨模様の中、46名もの方に参加いただきました。
ありがとうございました!
最初にこの勉強会を企画された「投資を楽しむ♪」の吉田さんのお話。
投資信託の本質を忘れた金融機関
個人にとって資産形成の選択肢は
・インデックスファンドへのコツコツ投資
・会計や経済の知識があれば個別株投資
以前はこれ以上話すことがなかったが変化の兆しが・・・
金融商品にも共感を
本当の投資信託、本当のSRIはこれから始まる
吉田さんのお話をうけて自分が鎌倉投信の受益者総会の報告をさせていただきました。
当日のスライドはこちらです。(SRIファンドのポートフォリオ紹介だけ少し修正しています)
ソーシャルビジネスによく見られる共感による巻き込みというのを意識してお話させていただきました。
また、実際にトビムシの子会社ワリバシカンパニーで作っている間伐材割り箸を参加者に配布することで実際にモノも手にとって感じてもらうことを意識してみました。(ちなみにあの割り箸は昨年モデルのもので、今年はもっと質のいいのが出来てます)
続いてrennyさんが「新しい」投信文化のキーワードという事でコラボ投資について話されました。
若い世代でも毎月分配型を購入する人が多くいるのは
「手っ取り早くリターンが欲しい」「成功モデルを知らない」「株式投資への不信」があるのでは?
「未来への投資」を運用会社と投資家が一緒にマジメに信じてみること。それが「コラボ投資」
勉強会の後半は1時間たっぷりと質疑応答コーナー。
参加者アンケートの感想を見せていただきましたが、質疑応答のコーナーの満足度が高かったのが嬉しかったです。
自分も他人の講演を聞いていて一番面白いと思うのが質疑応答なので。
アンケートでもほとんどの方から良かったと評価していただき、このような場で話すのは初めてだったのですが良かったです。
(うちの奥さんにも言われましたが吉田さんの名司会によるものが大きかったと思います)
【この勉強会で私が伝えたかったこと】
投資信託の場合、登場人物は「受益者(投資家)」「販売者(販売会社)」「委託者(運用会社)」「受託者(受託銀行)」。
投資家は受益者と呼ばれてお金を運用会社にあずけて任せて結果だけ受け取る受動的(パッシブ)な存在とされているけれども、もっと積極的に投資家として存在感を出してもいいんじゃないか?という事。
受益ではなく、自分が運用を委託しているんだという姿勢。
何に投資したいのか意思を持った投資家であろうという事。
その観点で言うと、昨年の受益者総会でアニコムHDの小森社長が「ケガや病気が起きてからお金を払えばいいパッシブなものから、ケガや病気を避けるためのアクティブな保険への転換を目指す」と話されていましたが、投資信託においても運用会社から投資家へアクティブなアプローチがあってもいいと思うんです。
通常運用会社や販売会社は投資家(受益者)に対してあまり積極的に情報開示していないけれども、鎌倉投信の場合は逆になんとか知って欲しい。投資先ですらない会社ですらいい会社は知ってほしいという他の運用会社とは真逆な姿勢が面白いと思っています。
そうする事で単に「どの投資信託が儲かりそうか?」というだけではない、「自分は何に投資したいのか」という意思を持った投資家が集まりやすいのではないかと思います。
他にはさわかみ投信の澤上さんの「かっこいいお金の使い方をしよう」という言葉や竹田和平さんの「旦那道」、ウォーレン・バフェットさんのお金の使い方などが自分の投資観を単純にお金を増やすだけのものから方向転換するキッカケという事もお話させていただきました。
【私の反省点】
やっぱり時間をオーバーした
SRIのNPOの勉強会だったのでもう少しSRIについて踏み込んでも良かったのかも
またお声がけいただくような機会があれば、違ったテーマでも話してみたいと思います。
【自分のコマで紹介したぜひ見て欲しいサイト】
ミュージックセキュリティーズ(セキュリテ) ユカハリ・プロジェクトへの投資も募集中!
【参加された方のセミナーレポート】
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