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REMEIセミナー@国際フォーラムに行って来ました(1)パノコトレーディング&bioRe Tanzania ― 2012年05月11日
5月10日コットンの日に開催されたREMEI社の取り組みを紹介するセミナーに行って来ました。
REMEI社はインドやタンザニアでオーガニックコットンを生産しているスイスの会社で、池内タオルさんはほとんどをREMEI社のオーガニックコットンを使用しています。
また、コットンヌーボーで使っているオーガニックコットンもREMEIの子会社であるbioRe Tanzaniaの糸で、ここでの取り組みが素晴らしいというお話をこれまで聞いていました。
今回、このbioRe Tanzaniaのニランジャ・パトニ社長のお話を聞けるということで楽しみにしていました。
会場に着いてみると席には資料と一緒にお土産のREMEI社製タオルハンカチとポロシャツが。
すっごく得しました。
パノコトレーディング代表取締役 野倉 皇男氏
95年にアメリカとペルーのオーガニックコットンの取扱を開始して、2001年にスイスのREMEI社と知り合いました。
インドやタンザニアでの社会貢献活動を見て、REMEI社のサスティナブルな有機農法に対する取り組みは別格だと感じました。
できるだけ多くREMEI社の取り組みを知っていただく様にプロジェクトの内容を伝える様にしています。
3年前にはスイスのREMEI社から来ていただき、プロジェクト全体のお話を、一昨年はインドから二名お招きして一人は社会貢献活動について、そしてもう一人はインドでGMO(遺伝子組み換え作物)フリーの種子を集めるのがどんなに大変かというようなインドのGMOに関する実情をお聞きしました。
最近のまとめだとオーガニックコットンの収穫量は一昨年の24万tから15万tに激減しています。
タンザニアではほとんど変わっていないがインドでは半減しています。
要因はいくつかありますが、GMOフリーの種子を集める事が難しくなっているのと、GMOコットンでも良いという流れがうまれつつあります。
アフリカでオーガニックコットンを生産する国は増えているものの、一方でウガンダでは生産量が激減しています。
アフリカで一番の生産地であるタンザニアからbioRe Tanzaniaのニランジャさんを今年はお招きしました。
また、タンザニアコットンを使っている池内タオルの池内社長にもユーザとしての話をしていただきます。
これを機会に皆さんにREMEIの製品をたくさん使っていただくと現場で生産に携わる農家にとって励みになります。
bioRe Tanzania Ltd., ニランジャ・パトニ氏
タンザニアでは最近綿花の質が低下していたので、品質向上のために名前をつけました。”白い金”
タンザニアでは北西のレイクゾーンで80%の綿花が生産されています。
40万~50万の農家が生産に携わっており、ほどんどは8~10名程度の小規模農家です。
タンザニアでは灌漑設備が整っていないため、雨水を利用した天水栽培法が行われています。
かつて農家は自分たちが食べるトウモロコシやソルダムを栽培していましたが、綿花は大切な資金源となっています。
1994年、メアトゥ地区のひとつの村でオーガニック綿を扱う民間の繊維工場が誕生しました。
糸を扱うRemei AG(スイス本社)がそこの工場でできたオーガニックコットンを購入することで工場をサポートしました。
当初は45農家によるプロジェクトでしたが、2000年にRemei AGがプロジェクトを大きくするために買い取り、bioRe Tanzaniaが誕生しました。
タンザニアでは行政による農家へのサポートが望めないため、bioRe Tanzaniaでは実験農場とトレーニング施設を作りました。
また、遠方からも参加できるように宿泊施設も。
参加型トレーニングに各村の代表者が参加することで継続的な関係を築く様にしています。
2009年頃、bioRe Tanzaniaではきれいなコットンとそうでないコットンを混ぜてしまうことんで品質に問題がありましたが、紡績工場と裁製工場に見学に行ってみる事で彼らは学んでくれました。帰ってからこのことを他の農家に話してくれたおかげで今では100%ではないものの、品質問題は改善されています。
bioReは包括的なブランドで原綿栽培、綿繰り、紡績、裁製などの行程において「オーガニック」「公正性」「エコロジー」「品質」「透明性」を満たしています。Remeiでは総合的なマネジメントを行っており、タンザニアでは原綿栽培、綿繰り、紡績、加工までできるように準備をしています。
bioReでは生産過程で多くの監査や認証を受けています。
生産環境においても児童労働や過酷な労働をしいるような事をしていません。
タンザニアやインドでは農家個人を支援するだけでなく、コミュニティ全体への支援も行っています。
一つは有機農業の普及のための仕組みです。
・無料のトレーニングと必要な時に必要なものを提供(種子を配布する時期など)
・農機具の貸し出し
・無利子ローン(女性を優先)
・トレーニングしたことが施行されているかフィールドスタッフによる月一回の確認
オペレーションの公正さ
・五年契約
・過去5年の綿花の価格の平均値をベースにシーズン開始前に農家の代表者と価格を決める(15%のプレミアム)
・労働基準の順守
透明性とコミュニケーション
・信頼を深め、コミットメントを強化
品質
・リスクマネージメントを含めて最高品質のものを提供
農業以外の面でもコミュニティへの支援を行っています。
例えば女性の裁縫グループをつくり、自分のユニフォームや麺を取り込む袋の生産を行う事で収入が増えます。
煙のでないコンロでは二酸化炭素排出量の削減の他、使用する薪が減る事で森林資源の保全にもつながります。
また、タンザニアでは遠くまで水を汲みに行くのが当たり前で乾いている川を掘って水を探す姿も見られますが、井戸の提供により一つの井戸で35家族に恩恵があります。女性や子供が11~15km離れた井戸まで水汲みに行かなくてよくります。
タンザニアの田舎では学校の問題もあり、600~700人規模の学校でも寄宿舎がないため教員が来ない場合が多い。
そこで、教員向けの寄宿舎を作って学校教育の支援も行っています。
セミナー後半の池内タオル編はこちらに続きます
REMEIセミナー@国際フォーラムに行って来ました(2)池内タオル ― 2012年05月11日
コットンの日に行われたREMEIセミナーの後半です。(前半の記事はこちら)
後半では『使用者側から見た"bioReコットン" 』と題して池内タオル(株)の池内 計司社長と池内タオルのコットンヌーボープロジェクトのデザイナー佐藤 利樹氏が話されました。
コットンヌーボー プロダクトデザイナー 佐藤 利樹氏
オーガニックコットンの問題点として自然に近い製品であるために品質に差が出るというものがありました。
均一な品質を求める工業製品には向かないという弱点を逆に個性を楽しむという事に方向転換できないか?そう考えました。
コットンは腐る訳でもないため、年度毎に区切る意識が紡績工場などにありませんでした。
そこで、年度毎に区切って糸を作って欲しいと言ってもまだ始まってもいない小さなプロジェクトでは大きな産地では要望に応えてくれなかったが、日本進出を目指すタンザニアという小さな産地が協力をしてくれました。
昨年、タンザニアの農地を訪ねて来ました。
出来上がったタオルを持って行ってこんなにいいものになったよというのを見せに行ったものの、タオルを使っていないような生活で自分は奢っていたなと勉強になりました。
話を聞くと労働環境もよく、周りの家庭の何倍もの収入を得ているという事でした。
オーガニックコットンは手摘みのため重労働だという事が実際にやってみてわかった。
それを牛車に乗せて買い取り場所まで持って行くと見本があって、品質ごとの値段がわかるようになっていました。
紡績工場ではオーガニックコットン専用のラインが作られていて、オーガニックコットンがない時期はそのラインは停止しているというのも見せてもらいました。スモークレスストーブも見て来たが家は清潔で快適な環境でした。
工業製品で同じものを揃えるのではなく、毎年の違いを楽しむという文化を日本でつくりたい。
池内タオル 代表取締役 池内 計司氏
99年にiktというブランドを立ち上げたが、最初にノウハウを教えてもらったのがノボテックという会社で、オーガニックコットンを扱うならヨーロッパ規格にしないと技術は教えないと言われた。
現在池内タオルが使っている糸はパノコさんから購入しているが、ほとんどがREMEI社のもの。多くはインド産でコットンヌーボーのみタンザニア産。
他にはペルー産が若干。
織り屋の自負として綿畑には行かないというポリシーだったがbioRe Tanzaniaに行って来た。
オーガニックコットンはフェアトレードだと言われているが、現実には違うことも多いのを知っていたが、タンザニアで農家の人に話を聞いたらちゃんとフェアトレードになっていて安心した。
何が望みか聞いてみたら毎年買って欲しいというのが答えだった。
札束攻撃で買ったり買わなかったりの商社はフェアトレードではないというのを肝に銘じた。
REIMEI社は素晴らしいことをやっているが、中小企業。
中小企業が淡々と五年契約やフェアトレードなどをやっているのが素晴らしい所。
大企業がちょっとお金をかけていい事をしているソーシャルビジネスと呼ばれるものとは違うと感じた。
紡績工場もオーガニックとそうでないものは壁で仕切られていて世界一ピュアなコットンを生産していた。
一年中オーガニックコットンがあるわけではないので、ない時はラインを動かさないという一見非合理的なことをしてしまうのが素晴らしい。
あまりに感動してしまったので秋にはインドのbioReにも行って来ました。
こちらでは小学校を作ったり無料検診車による巡回などの社会貢献活動にも驚いた。
bioRe Tanzaniaでは40本くらいの井戸を既に寄付しています。
パノコさんも毎年寄付されているが、池内タオルも見てしまったので一本寄付をしました。
4,000~5,000ドルで一本の井戸が掘られ、30家族くらいが遠くまで水汲みに行く事から開放されます。
コットンヌーボーは年度を付けているので売れ残ってしまうと困る。
デザイナーはヴィンテージだなんて言っているが・・・
昨年4月に2011を発売した時は3.11の後で店頭に置いて販売するような雰囲気ではなかったが、皆さんのおかげで12月には全て売り切れました。
今年はヨーロッパが不景気なのもあって昨年よりも多くの糸を仕入れることができました。
デザイナーは先ほど年度毎の風合いを愉しむなど言っていたが、今年は出来が悪いと言ったら売れないのでは?
タオル生産における綿花の影響は30%程度なので、織り方を工夫してよりよいものにしていきたい。
2012は二年目ということでタンザニアコットンの性質に慣れて昨年より良いものになっていると思う。
今年はカラー展開も行っていて、パステルですねと言われる。
色はタンザニアの風景をイメージしたもの。
アフリカ=原色というイメージがあるが、タンザニアはもっとスモーキーな色だった。
空の色も抜けるような青空ではない。
コットンヌーボータオルを1枚織るのに20坪の綿畑が必要。
それを考えるとジーンズが980円というのは本当に地球に良いことなのだろうか?
インドの綿畑は灌漑設備があるためタンザニアよりも規模が大きい。
年収もタンザニアの30万円の倍の65万円と聞いた。
ただ、インドは買うものもたくさんあるのでタンザニアの方がより豊かだと思う。
農家の人がみんな幸せそうな顔をしていたのが印象的でした。
タンザニアはもともと農薬がばらまかれていなかったので土地が痛んでいないのがインドとの違い。
ただ、お店もろくにないような場所でもオーガニックコットンの比率はわずかに1%。
種子屋さんが農薬も販売していてこんなところでも!と驚いた。
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