ファンド定点観測 2013年6月:ひふみ投信2013年07月17日

レオス・キャピタルワークスが運用するひふみ投信の6月を振り返ります。
また、7月9日(火)に開催されたひふみアカデミーにも参加したのでそちらの内容も。(動画はこちら

■ 6月の運用と今後の見通し(ひふみアカデミーより)
6月はひふみ投信運用開始来で最も失敗した月と言えます。主因はひふみ投信の強みでもある中小型株が不調であったことと、現金比率を高めに設定していた中で月後半の上昇についていけませんでした。
結果については真摯に受け止めていますが、その中でも質の良かった点としては大きくブレることが無かった点で悪かった点としては現金の動かし方を失敗したこと。運もあるかもしれないが避けられたのかもしれません。

運用哲学において変わってはいけない点として、いい会社をアグレッシブに組入れるというのがあります。
今回はインデックスにクリンチしていたのを意図的に外して新規銘柄を組み入れた瞬間にインデックスが上昇していき、思い切った運用が裏目に出た結果になりました。

中国のリスクは終わったとは考えておらず、TOPIXが下落するのではないかと現金比率を高めのまま推移しています。

組入1位は三越伊勢丹HD。デパートの組み入れは初だと思う。足元の決算が良く、為替に反応しない銘柄。
サンマルクHDやコシダカHDについても同様に消費銘柄。組入4位の日本農薬はグローバルで農業が発達していく中でイモ虫を殺すが益虫は殺さない農薬を販売しており、地味ながらも下値が固く成長ストーリーが見込める銘柄と考えています。

他に話が出たことについて、各媒体で記事になっています。




2013年前半は以前のひふみ投信だったら苦手な相場と言っていてついていけなかった上昇相場だったと思いますが、政権交代によって相場の流れが変わったことに速やかに対応できた点は良かったと思います。確かに時々読み違いもしていますが、修正が早いのでそこは信頼して持ち続けています。

草快塾で一緒のグループにいた方がひふみ投信を積立しているが、あんなに銘柄を入れ替えて長期投資と呼べるんだろうか?と言っていました。

確かに藤野さんはセミナーなどではこれから成長が期待できる会社に投資しましょうと話していますが、一方でファンドの運用ではいい会社だからといってずっと保有し続けるのではなく、その時の相場にあった銘柄を中心にポートフォリオの組み替えを行なっています。

ひふみ投信は長期投資か?と言われれば自分はひふみ投信は長期投資ではないと思っていて、コモンズ30ファンドや結い2101のような銘柄の入れ替えが頻繁ではない(回転率の低い)ファンドが長期投資なファンドだと思っています。

ただ、ひふみ投信のフレキシブルなポートフォリオの組み替えがあるからこそキャッシュポジションの変更、リスク管理まで含めてお任せしていますし、ひふみ投信に対してポートフォリオのメインとして長期投資をしています。

■ ひふみ投信の日次リスク(250日)の推移
 :基準価額
 :リスク(250日)

5月末からの相場の乱高下を受けてさらにリスク=ボラティリティが上昇しています。
足元では東日本大震災の時に近いリスク水準です。

■ ひふみ投信の決定係数(250日)の推移
 :決定係数(JASDAQ指数)
 :決定係数(TOPIX)

インデックスとの感応度を表す決定係数の推移です。
東日本大震災の後下がりつつあったのが、今年に入って徐々に高まりつつあります。アベノミクスによるTOPIXの上昇についていく為にクリンチしていることがわかりますがインデックスと同じような動きをしているというレベルではありません。


■ ひふみ投信のアクティブ・リスク(250日)の推移
 :アクティブ・リスク(JASDAQ指数)
 :アクティブ・リスク(TOPIX)

インデックスとどれくらいズレて運用しているかを表すトラッキングエラーです。アクティブリスクとも呼び、アクティブファンドの場合はどの程度インデックスに対してアクティブに運用しているかの目安になります。

ひふみ投信はベンチマークを設定していませんが、概ね10%以上で推移しておりTOPIXとは異なる運用をしていることが確認できます。


■ ひふみ投信の資金流出入


6月は0.6億円の純流入でした。5月が9.0億円、4月が7.2億円の流入超だったことを考えるとだいぶ解約が目立った月でした。5.23の後も資金流入は続いていましたが6月に入ると一転して解約が進みました。


■ 2013年6月末時点での組入上位銘柄



■ 概要
 過去1ヶ月  -6.37%
 過去1年   43.19%(R&I騰落率ランキング 334位  R&I安定性ランキング 16位
 過去3年   63.19%(R&I騰落率ランキング 19位  R&I安定性ランキング 15位)
 純資産総額  72.19億円
 組入銘柄数  74(前月比-1)
 株式比率   75.12%
 現金比率   24.88%




コメント

_ いっさん ― 2013年07月17日 23:54

ひふみの運用手法は、長期投資ではないですね。投資家にはバイ・アンド・ホールドでじっとしてて欲しいという感じ。利益確定売りも、暴落局面での買いまくりも、キャッシュ比率を柔軟に変更して対応します、という投資家のキャッシュフローで見た場合の長期投資ですね。中小型株がそういうチョコチョコした運用手法にならざるを得ないのと、持ち株会社であるISホールディングからの要請で、運用成績は月次で厳しく追跡され、売上拡大も厳しく背負わされた結果、毎日のようにガンガン売買して成績を上げて行かないと投資家の金は集まらないという慌ただしいサイクルなんだと思います。5年を超えた分の信託報酬の値下げによるコストダウンはありますが、消費税値上げ幅の影響の方が大きくて、税込の場合、運用の際の売買手数料や信託報酬が実質値上げになる。その制約でもやっていけるか、試されそうです。

_ うねかずお ― 2013年07月18日 10:21

日本のマーケットは変動幅が大きいから機動的運用のファンドも選択肢の一つとしては大切です。鎌倉もコモンズも選択肢の一つ 投信購入者の年代や目的によって選択すればよいと思います。

_ m@ ― 2013年07月19日 22:44

>いっさん さん
ISホールディングスからの圧力についてはわかりませんが投資家がちょこちょこ動きたがる、もしくは動かないといけないと感じる局面でもじっとしていられるようにワンパッケージ化したファンドですよね。
あくまでも日本株ファンドとして見られる方が多いですが、もともとのコンセプトはバランスファンドのようなこれ一本にお任せというものでした。消費税増税の影響はゼロとは言えませんがそんなに目に見えて制約になるほどではない気がします。

>うねかずお さん
ですね。皆さんがそれぞれ自分に合うと感じる商品を選ばれればよいと思います。

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://shintoko.asablo.jp/blog/2013/07/15/6902505/tb