第五回インデックス投資ナイトレポート(2) ファンドマネージャー座談会(後編) ― 2013年01月14日
土曜日に開催されたインデックス投資ナイトの座談会レポートの後編です。
日 時:2013年1月11日(土) 18:00〜21:00
場 所:東京カルチャーカルチャー
主 催:インデックス投資交流会 (→ 公式HP )
プログラム:
18:00 投信ブロガーが選ぶ Fund of the year 2012授賞式
18:20 休憩
18:30 第1部 I-1グランプリ2013お台場大会
19:10 休憩
19:20 第2部 座談会 ファンドマネジャーがホンネで語る運用業界
20:20 休憩
20:30 質疑応答
21:00 閉会
21:30 交流会(有志のみ、別料金: 飲み放題1500円軽食つき)
22:30 交流会終了
イベントの模様の写真は当ページのFBページにアップしました。(→ こちら )
カン:
個人投資家を見て羨ましいと感じるところはなにか?
丸山:
運用という観点だと自由だということ。何をしてもいい。説明責任という点では自分と家族まででよい。
我々はお客様に信頼していただいてこそなので、方針とやっていることが一致しないといけない。
新井:
選ぶ権利があること。たくさん厳しい目で選んでもらえればと思う。
ファンドマネージャーはつらい立場。サラリーマンだと隣の会社よりちょっと良ければいいと。
私は独立したので好きなようにやらせていただいている。
先ほど、お客様から宗教は強烈すぎると言われまして・・・。
信じていただくということは宗教とニアリーイコールなのでそういう風にお伝えしたが。
20年間クオンツでアクティブはインデックスに勝てないとやってきて、鎌倉投信でどうアクティブをしようかという時にインデックスから乖離することだと。
それしかないと日本のインデックスは上がると思っていないから。インデックスの方々すいません。
それを信じているので、信じている方に集まっていただければ。
丸山:
サラリーマンファンドマネージャーという言葉が出たが最近はすごく減った。
我が社には一人もいません。
ファンドマネージャーを辞めても他部署へ行くのではなく他社に移ろうとする。
山崎:
よっぽど不向きな人でも自分から辞めようとする人はめったにいない
丸山:
それはそうです
山崎:
いい仕事なんですよね
丸山:
そんなことはない。
ベンチマークを下回ったらアクティブ運用の存在意義はない。
1日ではそれはあり得る。1週間でもある。
しかし5年、10年ではあり得ない。
実績として力が出せないのか、本人の力によるものなのか?相場つきが悪いのか?投資方針が悪いのか?
日本株はビジネス的にも厳しい状況が続いたのでサラリーマンファンドマネージャーがほとんど残っていないのでは。
内藤:
ファンドマネージャーは長くやっていると経験年数が増える。
運用経験1年と25年のファンドマネージャーがいたら長い方を選ぶ。
年金基金には我々は平均何年とセールストークする。長くやればやるほど生き残りやすい。
そこそこのパフォーマンスで長くいるとそれ自体がステータスになる。
カン:
長い経験ということはいいことなんですか?
山崎:
別にそうでもないと思う。
年金運用業界では有利だが。
内藤:
証券アナリストを何人とっているかなど
山崎:
年金基金はパフォーマンスについて加入者に言い訳しないといけない。
言い訳の材料を集める必要がある。
カン:
丸山さんが何かいいたいようです
丸山:
A社の方がB社よりも証券アナリストの数が多いとか、運用経験が長いからといってああそうかといって決裁しますか?
新井:
独立系から言わせていただくとその感覚はすごくあります。
丸山:
そんな時代ではない
内藤:
それだけで決めているのではなく数あるなかの一つのファクターとして。
山崎:
年金の運用コンサルタントみたいなものがあまり付加価値はないが自分たちの価値を作っている。
運用成績には関係ないが定性評価とか言ってインチキな商売をしている
リターンを増やさないFPのような商売をする人がいる
カン:
個人投資家が投資信託を見る時にここを見てというものを。アドバイスを。
丸山:
どういうアセットクラスに投資するべきなのかという自分の考えをもつこと。
これからどういう世の中になりそうか?だから何に投資したらいいのか自分なりの考えを持った上で投信
ならびに運用会社を選ぶ
儲かりそう、面白そうな話に乗っかってそういう話をした人をけしからんといっても自己責任なので
まずは自分で考えること。
新井:
鎌倉投信の説明会に来てください(笑)
冗談はともかく、2つ。
まず一つ目は投資哲学を大事にして下さい。
山崎&内藤:
教義、教義(笑)
教典ともいう。
教祖も大事?
新井:
教祖は・・・教典があれば大丈夫。
2つ目はちゃんと運用会社が運用哲学どおりにやってるか?
そこをちゃんと評価してください
内藤:
インデックス投資ナイトに来ている人はコストをすごく興味あると思うが、コスト競争はほとんど終わりに近づいていてそれより安倍さんが今日何を言ったのか?とかそういう方が圧倒的に影響力がある。
アセットアロケーションやどこに張るか考えた方がインデックスはバンガードがいいとかそういう話よりも。もちろんコストの安いいいファンドを買うのは大事だが日本株の比率を上げるか下げるかの方がどのファンドを買うかよりもパフォーマンスに影響が出る。
山崎:
サラリーマンファンドマネージャーという話があったが、それはだめじゃなく外資系運用会社でパフォーマンスで評価されてボーナスたくさんのファンドがいいと思っている人がいたら金融マーケットにおけるどん百姓。そういう人がカモ。
何に投資しているのか?というのが大事。少ない金額では宗教を味わうのも醍醐味だったりするが、何に投資するのか考えた方がいい。
最近相場が上がってきたから儲かってきたので気楽に売れるという気分の人は、そういう人がたくさんいるとネット証券はありがたいが。そもそも少し上がったくらいで売らないといけないポートフォリオはアセットアロケーションの出来が悪い。
自分で判断できるように。
【質疑応答】
質問:
今日来なかった人をまきこめるようなムーブメントを起こせないか? リテラシーをあげるのに必要なことは。
山崎:
内藤さんが。たまには協力しないと。
内藤:
資産デザイン研究所を作ったがもう一つ社団法人も作っている。海外資産運用教育協会という社団法人。
いろんな人に教える人を養成する協会。語り部を育てる協会を作ったので活動を春からしていく。
質問:
怪しいファンドを身内が買ってしまった場合に一発で覚醒させる一言を
カン:
これは山崎さんしか答えられない・・・
山崎:
相談されることがある。お母さんが退職金を毎月分配型に全額入れちゃったなど。
とにかく一回出てくださいというしかない。
他に移してもダメなので理論的ではないが一回お金を休ませましょうと。
個人年金保険のように解約ペナルティがあったとしても。
失敗したら改めようと誠意をもって訴えるしかない。
新井:
僕が改宗させますんで、言って下さい(笑)
内藤:
いい宗教と悪い宗教が
質問:
アクティブファンドのほうが信託報酬が高いのはなぜ?
信託報酬を安くする方法とは?
山崎:
宗教だからですよ
新井:
事業を始める時にこのくらいという話をしたらドン引きされたことも・・・。
今は1.05%。
内藤:
さわかみと一緒ですね。
山崎:
宗教レートですね(笑)
新井:
唯一言えることはある種機械的に多くの金額をまとめて運用することができるので信託報酬を下げることができる。アクティブは個別のリサーチに依存するのでその分コストがかかる。
山崎:
下げられると思うな〜
新井:
下げたいですよ
内藤:
グロソブは下げられますよね
山崎:
なくなる方がもっといいけど
内藤:
楽天で売ってるじゃないですか(笑)
カン:
アクティブはやっぱり継続コストがかかってしまう性質のもの
内藤:
鎌倉さんなんかは信託報酬下げちゃうと会社がなくなっちゃうので続けることが大事。
サスティナブルに。
山崎:
サスティナブルな社会、サスティナブルな投信会社
丸山:
フィーは安いに越したことはないが、適正なフィーはいただかないと続かない。
その意味でパッシブはものすごい多額のお金を同時に預かれる。
預かり資産×フィーレベルが運用会社のビジネスなので預かり資産が増えればフィーは下げられる。
カン:
残高が増えると信託報酬を下げるというのは可能?
丸山:
運用会社全体が増えたからといってあまねくファンドを下げるということはできないが、戦略的にそういう事はできるのでは?
内藤:
直販投信は頑張ってると思うが、どんどん脱落している現状がある
さわかみ、セゾン、ありがとう以外は経営が厳しそう。
信託報酬下げるよりもまずは残高を増やさないと会社が続かない。
鎌倉さんは例えばどれくらいでブレークイーブンに。
セゾンですらまだブレークイーブンに達していない。
新井:
内藤さん優しいですね〜
短期的に100億いかないとブレークイーブンしない。
お客様の力で成長していくしかない。
経営と運用が分離していることが大事。
経営は一番最初に残高が増えると楽だが、それではちゃんとした運用はできない。
丸山:
非常に重要な点。運用者が預かり資産を増やすことを考えると成績が変わってきます。
内藤:
社長がファンドマネージャーやっちゃだめってことですね。
新井:
間違いなくダメです。
内藤:
宗教戦争ですかそれは?
新井:
批判しているつもりはありません。
質問:
いま買っているものの他に新しいものが出ている中でどうやって選んでいけばいいか?
新井:
これだけ言わせて下さい。
販売する人にあなたは買っていますか?って聞いて下さい。
山崎:
それは簡単には信じない方がいい。
ヘッジファンドを売っているような人は私も買ってるとか言って釣る。
端的に言うと新しい商品というのは99%不要です。時間と手間を考えると新しい運用商品は考えなくてもいい。
内藤:
誰かとつきあってて、新しいいい女はこない。
新しくできたものは実績もないしわからない。ある程度こなれてきて実績など見えてからでも遅くない。
あまり過剰に情報にぶらされないこと。
投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2012の詳細分析 ― 2013年01月14日
投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2012の全順位が発表になりました。(→ こちら )
そこで今年も、このアワードを別の角度から分析してみたいと思います。
【ファンド別・投票人数順】
投票人数順では外国株式インデックスeがトップに立ちました。
VWOやセゾンバンガードといった今年ランク外だったファンドも10位以内に復活しています。
ランク外とはいえ、幅広い人から支持を集めていたことがわかります。
【ファンド別・支持率順】※投票者1名のファンド除く
獲得ポイントを投票人数で割った支持率順です。
どれだけそのファンドを熱烈に支持したかがこの値でわかります。
こちらではVTがトップ。3位にひふみ投信、4位に年金積立インデックスファンド新興国株式がランクアップしている他、10位に野村の外国REITファンドもランクインしてます。
【運用会社別・ポイント順】
運用会社別の獲得ポイントです。
SMTシリーズと旧CMAMシリーズで合計13本!がポイント獲得した三井住友トラストが圧勝です。
【運用会社別・人数順】
投票人数順だと2位が三菱UFJ投信になりました。
国内ETFとeMAXISシリーズが幅広く支持を集めています。
【運用会社別・支持率順】※投票者1名のファンド除く
今年はバンガードが支持率トップになりました。
以下はレオス、鎌倉と直販2社が続きました。
三井住友トラストはSMTシリーズなど幅広く支持を集めた反面、支持率は低くなっています。
全般的に支持率は昨年より低調で、分散して投票した方が多かったようです。
【インデックス・アクティブ比率(ファンド分類別)】
全投票ポイントに占める比率ではアクティブファンドの比率が昨年の27%から22%に減少しました。
インデックスファンドが48%から51%へと過半数を超えた他、海外ETFが10%から16%へと増加しました。
来年はどうなるのでしょうか?楽しみです。
今年のインデックス投資ナイトはI-1グランプリや座談会が過去最高に盛り上がっていましたし、このアワードは別開催にした方がいいのではというのが、かねてからの自分の考えです。
今は時間の関係で発表と表彰だけで終わっていますが、例えば発表した後にゲストやブロガーがトークするなど、このアワードも単体で十分盛り上げられる素質を持っていると思います。
また、別開催にすることでインデックスファンドやETFへのアワードだというよくある勘違いも避けられるのではないでしょうか?
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