金融機関がぜったい教えたくない 年利15%でふやす資産運用術 ― 2013年01月23日
竹川美奈子さんから『金融機関がぜったい教えたくない 年利15%でふやす資産運用術』をいただきました。ありがとうございます!

確定拠出年金を使った節税による運用法
タイトルはアレですが、帯にも書いてあるとおり確定拠出年金を使うことによる節税メリットを生かした資産運用の本です。
個人型確定拠出年金(個人型DC)はサラリーマンでも企業年金のない会社に勤めている場合は加入ができます。サラリーマン3504万人のうち約半数の1822万人が対象なのですが、実際に加入しているのはわずか9万8千人。0.4%にすぎません。
自分も含めて中小企業に勤めている人は加入できる可能性が高そうです。
自分の場合は退職金制度が変わる時にコンサルが入って、企業型確定拠出年金は損をするかもしれないので中退共を薦めるというような説明をしていたのもあり、中退共を使っている会社の社員は個人型DCに加入できないものと思っていました。
最近になって中退共だけに加入している会社の会社員は個人型DCに加入できるという事を知り、だったら自分もやってみようかといくつか金融機関を調べてみましたが、資料請求が電話でないと出来なかったり、商品一覧が記載されていなかったりと途中で面倒になり、だったら普通に積立するからいいか・・・と一旦は見送りました。
この本を読んで改めて節税効果の高さに感心し、金融機関別コストや商品一覧などもあったので自分にとって良さそうな金融機関を選ぶことができ、まずは第一歩として資料請求まで済ませました。
正直、今はまだ対象の0.4%にしか利用されていない制度なので掛け金の全額が所得控除の対象となっていますが、国の財政がいよいよ厳しくなってきたり利用者が増えてきたら控除の範囲も小さくなるんだろうなとは思っています。(今は加入者が少なすぎて控除の幅を減らしても大して税収に結びつかないから大目に見られている?)
また、意外に維持コストがかかるのが個人型DCの欠点でもあるので、元本確保型商品で固めても節税メリットはあるにはあるのですが、ゆっくり年金方式で受け取ったりしていると維持コストでどんどん節税メリットが薄れてしまうという罠もありつつ、リスク商品で長期投資をするのであればまずは個人型DCで自分の老後資金を作るというのもいいのではないでしょうか?
なんとなくメリットは聞いていたけど自分で色々調べるのが面倒でまあいいか・・・と放置していた自分でもやってみようと思うくらいにわかりやすく書いてありましたので、企業年金制度のない会社に勤めている人には是非読んでみて欲しいと思いました。
ソーシャルファイナンス革命 ― 2012年07月13日
Living in Peaceの代表ででもある慎泰俊さんの新著『ソーシャルファイナンス革命』を読みました。
この本では発展途上国で起きている資金調達の新しい動きとしてマイクロファイナンスを、先進国で起きている資金調達の新しい動きとしてP2Pファイナンスを紹介しています。そして両者に共通するキーは人と人のつながり。それ故にソーシャルファイナンスと呼ばれています。
途上国においてはマイクロファイナンスのグループローンやみんなで集まってお金を借りたり、返済をすることで貸倒れが極力発生しないような仕組みを実現しています。これは地域のコミュニティが根強く残っているが故に実現できる方法です。
逆に先進国の都市部ではコミュニティと呼べるほど強い繋がりはないものの、SNSなどを通じて多くの人との繋がりを持っています。この、多くの人との繋がりを通じて自分の事業をアピールし、共感した人がお金を融通する仕組みがクラウドファンディングと呼ばれるものです。
お金を必要としている人がいて、もう一方でお金を出してもいいと思っている人がいる。両者をつなぐいでお金を必要としている人
融通するのが金融の元々の姿でした。
事業にはヒト・モノ・カネが必要ですが、間接金融が主流の今の日本では財務諸表(カネ)ばかり見て事業の主体であるヒト・モノを軽視した結果、銀行はリスクを避けるようになり、地域にお金を回すのではなく安全とみられる国債を購入することで、地元にいつお金を必要としている人にお金は届かなくなってしまいました。
先進国において人とのリアルなつながりという意味での地域のコミュニティは失われつつありますが、ネットなどを通じて多くの人に対してコストをかけずに自分の思いや事業をアピールができ、お金を集める仕組みが構成されたことにより、共感をベースにした資金調達が可能になったのです。
こういった資金調達が可能になると、ワクワクするような事業を行う人が出てきやすくなり、日本や世界が変わって行く原動力になるのではないでしょうか?
辺境から世界を変える ― 2012年07月13日
この本の「はじめに」で灯りがないことを正しく想像できるだろうか?という問いがあります。
灯りがないという事は、夜になると何もできなくなる事を意味します。
日が落ちる前に夕食の準備をする必要があるので、働く時間は2時間短くなり、少ない収入から灯油を買うお金も必要になり、灯油を買うために往復3時間の道のりを月に6回行き来する必要があります。
日が落ちる前に夕食の準備をする必要があるので、働く時間は2時間短くなり、少ない収入から灯油を買うお金も必要になり、灯油を買うために往復3時間の道のりを月に6回行き来する必要があります。
これを読んだ時に電気(灯り)ってすごいなと改めて思いました。日本に住んでいると灯りは当たり前のものだけれど、当たり前ではない場所にとっては生活のために働く時間を削ってまでも確保する贅沢品なのです。また、灯油からでる煙で健康を害することがあるのも問題です。
この問題の解決策となったのが太陽光発電のランプです。送電網がない僻地や送電網があっても電気代を支払えない層にとって、送電網が必要のない太陽光発電ランプは革命的なものでした。
灯りがあれば、日が落ちる前に夕食のしたくをしなくて済むし、灯油を買いに出かける必要もなくなり、働く時間が増えます。そして、灯油を買うお金も浮くので貧しい人にとってはかなりのインパクトを生み出します。
このように、先進国ではなんという事のないテクノロジーが貧困層の生活改善のためにイノベーションを生み出す事例が徐々に増えています。
営利と非営利、寄付とビジネスを組み合わせることでも貧困層の生活向上にむけた事業が誕生しています。共通するのは当事者意識をもって持続可能な姿を目指してどうにかしようと粘り強く続けたこと。
貧困層を相手にしたソーシャルビジネスにも色んな取り組みがあるんだなと知り
、どうせ寄付するならこういうところにお金を出したいという気持ちが強くなりました。
21世紀をつくる人を幸せにする会社 ― 2012年06月30日
「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズの著者 法政大学大学院の坂本光司教授の研究室と鎌倉投信の共同研究の結果が本になりました。
日本には500万社を超える中小企業があって、日本の会社の99.7%を占めています。そして、中小企業で働く人は全体の70%。日本は多くの中小企業で成り立っています。
共同研究では4500社にアンケートを送付し、712社からの回答を基に価値ある企業の特徴について研究を行いました。その結果、売上高経常利益率が安定的に高い企業にある共通する項目がありました。
【この本のポイント】
□ CS(顧客満足度)は高いES(従業員満足度)から生まれる
□ 利益を生み出す源泉は「ヒト・モノ・カネ・情報」から「共感資本力」へ
□ 感動や共感を生み出すビジネスには口コミによる広がりが生まれる
□ 価値ある企業に共通するのは「経営理念の浸透」、「人財育成」、「関係者との信頼形成」
□ 共感資本を媒体にした価値のらせん的発展
社員一人あたりの教育費が4万円を超える企業とそうでない企業との差は利益率で1.6倍、社員満足度調査を行い、改善策を講じている会社は行なっていない会社と比較して利益率で1.4倍の差が生じるなど、一部研究結果のデータも書かれていますが、データの紹介はわずかで文章で実例を交えて好業績を残している”いい会社”が紹介されています。
個人的には今回紹介されなかったデータにも興味があったのですが、各社の取り組みが文章で紹介されたことにより、データでは見えない共感が生まれる理由などについては逆に見えやすくなっていると感じました。
この本では12社を紹介していますが、共通しているのは社員がイキイキと働くために経営が力を注いでいるという点です。坂本先生は企業経営が一番大切にしないといけないのは「社員とその家族」と言っています。
顧客が第一という企業が多いのですが、まずは社員の幸せを第一に考える経営が結果的に顧客へ感動や共感を与える仕事につながるという点が今の日本に一番欠けている視点だと思いました。
日本に蔓延するうつ病や年間3万人もの人が命を落とす自殺問題に関しても社員を大切にする経営が解決への糸口なのではないかと思います。(20代〜30代の死因のトップが自殺で、20代の死因の半数が自殺というのは異常すぎます
)
「いい取り組みをしている会社は好業績」これが一般化していくと、経済的には豊かになったものの、心の貧困を招いてしまった日本という国が、経済的だけではなく心も豊かな未来に向かって進んでいけるのではないでしょうか?
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