『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』著者セミナー(1)小暮真久 氏2012年12月08日

ダイヤモンド社から出版された『社会をよくしてお金も稼げるしくみのつくりかた』の著者セミナーが開催されたので行って来ました。


日時:2012年12月6日(木) 19時〜21時

場所:ダイヤモンド社本社


講師:

NPO法人TABLE FOR TWO International 代表 小暮真久氏

NPO法人クロスフィールズ 小沼大地氏

日本マイクロソフト株式会社 牧野益巳氏

鎌倉投信株式会社 新井和宏氏


ダイヤモンド社 廣畑さん:

この本は書いていることがどんどん実現した。

新しい事例が起きたのが面白かった。

今日は本業で社会貢献という内容。


社会に何かしようというのを他人事でなく考え方や工夫によっては自分達もできると感じて欲しい。


基調スピーチ
 社会をよくしてお金も稼げる仕組み「Winの累乗」について
  TABLE FOR TWO INTERNATIONAL 代表理事 小暮真久氏


ダイヤモンド社の廣畑さんがTABLE FOR TWOはアップルと共通点があると話してきた。

最初は何を言っているんだろう?と思ったがよく考えてみたら自分もそういう気がしてきた。

そこでTFTが広がっている意味を考えて本にする意味があるのでは?と感じた。

マッキンゼーという企業とTFTというNPO両方やってきた事で見えてくるものがある。


世界の全人口70億人のうち10億人が肥満。一方で飢餓状態の人も10億人。

アメリカの平均的な家庭の一週間の食べ物はジャンクフードが中心で  $346

日本だと食べ物は良くなるが、かかっている費用はあまり変わらず $317

日本の食卓にのぼる食べ物の60-70%は輸入で、1/3は捨てている

アフリカのチャドという国では一週間の食費が$1.62で家族の数は多い


日本のカロリーオフをアフリカのカロリーオンに

日本でヘルシーメニューを食べると約500円のうち20円の寄付を上乗せする仕組み

この20円がアフリカで給食1食分に相当する


この活動を五カ国で展開

2007年に日本で始めて今までに1600万食を提供している。


『学校給食を支援する理由』

子供が学校にいかずに畑を手伝ったりしている。そして親は忙しいために食事を作っていられない。

マンゴー11個が食事という子どもも。

給食があると学校に行くようになる。

40%が学校に行けていない


学校給食にする事で栄養だけでなく教育の機会も得られる。

実際に子どもの成績も向上している。


活動地域はエチオピア ウガンダ ルワンダ タンザニアだがTFTは三人でやっている。

現地での活動はパートナーNPOに委託。

給食を作るのは子供の両親にお願いしている。

いずれ自分たちのプロジェクトが終わった後も継続出来るように。


親も最初は手伝うのを嫌がるがだんだん子供に変化が現れる。元気になり、笑顔になった子どもを見ると両親もだんだん変わる。

栄養についての知識を子供が知ると親も学ぶようになり、作物を持ってきたりするようになった。


開発援助の世界ではよく、魚を与えるのではなく魚の釣り方を教えなさいと言うが両方必要だと思う。

お腹がすいてると釣りにもいけないからTFTでは両方やっている。


ドライな環境でも育つ柑橘類の苗を配布する活動も。

苗木は110円未満だが、そのお金を出すのも大変な状態で苗木をもらえるのは非常に大きい。

出来上がった作物を食べたり出荷出来るようになる。


アフリカの角と呼ばれる地域にあるエチオピアという国。

干ばつで砂漠になったが、これで打撃を受けるのは農家。

原始的農法なので灌漑設備もない。

穴をほると水はでるが汲み上げるすべがない。

足踏みポンプもあるが大変な重労働な上によくこぼれてしまう。

テクノロジーがない。


干ばつ前は11枚食べていたものを干ばつ後は1枚を7-8人で食べて食いつないでいる。

そんな状態で暑い中30分歩いて学校にやってきた子ども達はぐったりと疲れてしまっている。

三食みんなが食べられるようにしたい。


『なぜ企業はTFTに協力するのか?』

この活動には530の企業が参加している

レストランやコンビニ、結婚式会場なども。

なぜ一緒にやれるのか?


社会の為が付加価値になるため。

TFTの寄付を付けると12%多く売れた

差別化できないコモディティ商品にとってマーケティングの購買要因になった。


コンビニで売る商品では寄付分をメーカーが値引きして卸す部分とした。最初はメーカーも嫌がったが結果的に普通に売るよりも売れて利益が出た。


この活動は世界に広がっている。


5Cの仕組みでWINを作っている。

Customer

 先進国:ヘルシーメニューで健康になる

 途上国:空腹が解消されて教育の機会が得られる

Community 

 地域の人が農業や栄養を学ぶ。また、次世代を担う子供が学ぶ。

   先進国では気軽に参加、学べる

Cooperator

 競合ではなく協業 アウトソーシング

 ルワンダでTFTと一緒にやっいるアメリカのNPOに別のファンドレイジングしてあげた

Contributor

 寄付者、理事会メンバーにとっては社会的にいいことしてると言われる

 TFT の弁護士は本当はサービスの価格が高い人。でもTFTは無償で法務サービスを受けている。

 弁護士はその事でクライアントから誉められる事がすごく嬉しいと言っている。

 無償での活動でもそれだけの価値がある。

Company

 学生や社会人ボランティア


他のCにも相互作用して広がっている

これが大事な点=「Win の累乗」


学生の取り組みも盛ん

イキイキとして活動を支えてくれている。

しかし、就職すると死んだ魚の目になってしまう。

なんで仕事してるのかわからないと。


NPOは雇用を創出できる性質のものではないと考えている。

企業でイキイキできるようにしなければ。

NPOだからできると言われるが、そうではないと思う

今日のパネラーはそれを実際にやっている人達。


『ユニクロの社会貢献活動』

ユニクロの全商品リサイクル

着なくなったユニクロの衣類を店舗で回収して難民に届けている

難民にとって衣類は貴重な資源


アフリカに行った時、一緒に行ったアメリカ人が履き古したパンツでも切ってオムツになるから欲しいと言われた。


衣類を送るのはすごくお金がかかること。

ただ、柳井さんはこれはチャリティーではなくビジネスだと言っている。

今はこうでもいずれユニクロの市場になるから。

古着を寄付すると言ってももらう側にも好みがある。文化的に着ない色、夜は寒いのでフリースが必要な気候などマーケティングの要素も。


10億円寄付する事も発表した。

柳井さん曰わく

「これからグローバルに活動しようとしたら社会貢献はビジネス以上に大事かもしれない」

柳井さんだからこそ見える景観があるかもしれない。


寄付金について震災で100億円寄付した孫さんは叩かれた。

日本のこのカルチャーをなんとか変えたい。


『伝えたいこと』

  若者たちを元気に、仕事に情熱をもってもらう
  企業であっても本業を通じて社会貢献できるということを訴えたい


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