松井証券から独立系投信会社への強烈なラブコール?2013年02月04日

今日の日経オンラインの記事『松井証券「究極の値下げ」の真意(金融日本)』の中で、松井証券の松井道夫社長が独立系投信会社のための販売ネットワークの構想をぶち上げています。

「考えているのは直販システムの整備です。販売網を持たない独立系の投信会社のためにネットワークを提供し、松井証券は投資家から販売手数料をとらずに投信会社から一定の手数料をもらいます。投資家への運用内容の説明は投信会社の責任でやってもらう。松井は導管になるだけです。徹底的に無色透明になる。投資家にバイアスをかけない存在になります。」

直販投信と呼ばれる独立系運用会社は今のところ自社での直販を中心にいくつかの会社がネット銀行やネット証券での販売を行なっている程度で、基本的には買いたいと思ったらその会社に口座を開設する必要があります。

確かに10年前なら欲しい投資信託を取り扱っている証券会社に新たに口座を開くというのもやむなしという状況でしたが、今ではネット証券でかなり投資信託の取扱が手厚くなっています。

そのような状況で投信を買いたいと思ったらわざわざ口座を開くというのは面倒です。
自分もコモンズ投信はいいと思っていたけれども口座を開くまで1年躊躇していましたし、セゾン投信もずっと横目で見ていながらも口座開設したのは5年後の昨年でした。(セゾンの場合は達人ファンドがまともな姿になったのでようやく口座開設できたという理由もありますが)

なぜ直販だったのか?
直販投信がなぜ直販という道を選んだのか?というと、市場の動向に応じて売れ筋ファンドを次々と営業していくのではなく、しっかりと投資哲学に納得してもらった上で長期投資をしてもらうには既存の販売会社(銀行や証券会社)には出来ないと考えていたからでした。

また、販売会社を通してしまうと運用会社の顧客ではなく販売会社の顧客になってしまい、顧客リストをもらえないため受益者向けのセミナーなどを開催したくても受益者かどうか確認できないという点もありました。

コモンズ投信ではコモンズ投信の受益者向けには無料、そうでない人には有料といったセミナーを開催していますが、同じコモンズ30ファンドを購入していてもソニー銀行で購入している人はコモンズ投信が受益者かどうかの確認が出来ないため、有料という事になっています。

また、ひふみ投信を運用するレオス・キャピタルワークスでもひふみ投信の受益者向けのひふみアカデミーは開催出来ても、SBI証券でひふみプラスを購入した人は確認する顧客リストがないために投信を保有していない人と同じ扱いになってしまいます。

しかし、今回の松井社長の発言は顧客リストの提出も期待できる内容です。

株価が低迷している時にセミナーをしたいと言っても開催させてくれず、株価が上昇してくると今こそセミナーを開催しましょうと言ってくるというような事もなさそうです。

直販投信が掲げる長期投資という志もこの方法ならしっかりと運用会社から投資家へ伝えることができるのではないでしょうか?

販売体制の強化と投資家へのメリット
直販投信各社は販売も行う運用会社という意識があり、販売会社として見ると弱いところがあります。

入金したら自動的に買い付けされる会社もあれば、Webで更に買い付けをしないといけない会社もあったりします。更に言うと預かり金という事ができないため、事前にお金を入れておいて好きな時に買うという事もできません。
売却は電話が必要だったりするのもなかなか面倒です。(心理的に売りにくいという面もありますが)

販売を松井証券のようなネット証券に委託すると預かり金も使えますし、買付や売却もネットで好きな時に行えるようになります。
また、各種書類の郵送代金や積立の際の引落手数料などが販売会社の負担となる為(積立をするかどうかはわかりませんが)、直販投信会社から見るとコストの削減にもつながります。

外販することにより直販投信会社が手にする収入は減りますが、投資家にとってもネットで買いやすくなってあちこちに口座を開設しなくて済むというのはメリットになりますので、これまで口座開設が面倒という事で購入を見送っていた顧客による購入も見込めます。

本当はこのような事は直販投信の中心的存在のさわかみ投信にこそやって欲しかった事なのですが、意外なところからアプローチがありました。

今回の構想は直販投信会社にとっては願ってもない申し入れのように見えます。
細かい条件など詰めるべき点はありますが、直販各社はこの件について真剣に検討をして欲しいと思います。

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