ひふみサロン ジェイアイエヌ 田中 仁社長(2012.8.21)2012年08月22日

8月21日(火)にレオス・キャピタルワークスで開催されたひふみサロンに行って来ました。
この日のゲストはJINSブランドで有名なジェイアイエヌの田中 仁社長でした。

セミナーの模様をTwitter中継しましたので、それを元にレポートを書きました。

【感想】
 とても大きな夢を持っている人で、失敗した場合にどうするか?は計算するが、成功するための準備は惜しまないという姿勢が面白い会社だなと思いました。頭のいい人が計算して成功するのとは違った荒々しさがありますが、話す姿からはそういったギラギラ感を感じません。
 会社のビジョンを定めてから短期間で大きな成功を収めていますが、あくまでも田中社長にとっては想定内という事なんでしょうね。目が悪くない人にもかけてもらうメガネやアニメとのコラボレーションなど新しい事に次々とチャレンジしていますが、どうやっても真似はされるのでどんどん新しい事に取り組んでいく必要があるという事を仰られていて常に変化を求めている姿勢が素晴らしいと思いました。
 メガネ=目が悪い人がかけるもの という常識を打ち破ったのはすごいな〜と思いますし、色んな機能的なメガネやおしゃれでメガネをする文化をつくり上げると市場は膨れ上がると思います。
 ユニクロ式SPAをメガネ業界に持ち込むことで、大量仕入れによる高品質低価格製品を市場に投入することになり、時々は市場を読み誤って失敗することもあると思いますが、「あたらしい、あたりまえを。」というビジョンがブレない限りは面白いことをやってくれそうな会社だなと感じました。
 JINS PCは以前から興味があったので買ってみたいと思います。
 
【セミナーレポート】

はじめにレオス・キャピタルワークスの藤野さんから田中社長の紹介がありました。

 レオスでジェイアイエヌに投資するようになって2年程になるが、社内でもJINSのメガネの愛用者が多い。
最近ではPCメガネなどで成長をしているので、ぜひ田中社長の先見性とチャレンジを聞いて欲しい。
そして、今日は女性の参加者が多いが、ひふみアカデミー(ひふみ投信 の月次運用報告会)にも怖がらずに女性も来て欲しい。

ジェイアイエヌ 田中 仁社長

株価の話をすると、ジェイアイエヌの最安値は2009年の39円だった。
現在は1600円くらい。大証ヘラクレスに上場したばかりの頃はただ売上を増やしたい、利益を増やしたいという漠然とした目的での競争しか考えず、薄っぺらい事業で競争力を失っていた。

2008年12月24日にユニクロの柳井会長に人の紹介でお会いする機会を得た。
その時に御社はどんな事業価値を提供しているのか?と問われた。言外に将来へのビジョンが無いと言われてとてもショックを受けた。自分は何を成し遂げたいのか?
そこがしっかりしないと先は無いと危機感を持った。


あたらしい、あたりまえを。

2009年の正月に熱海で合宿を行い、そこで「メガネをかける全ての人にとってよく見えるメガネを新機能、新デザインで提供する」と事業価値を定めた。誰かの真似ではない価値あるものを創造する。

事業の根っこが定まると、その後の広告や仕入れも思い切ったことができるようになった。
根っこさえ決まれば枝葉や花は自ずと決まってくる。これから我々が繰り出すサービスはそこに根ざしたものになる。

2009年に事業価値を定めた後は急成長を遂げることができた。
現在の売上は225億円だが、これを近い将来に1000億円にしたいと考えている。
それが実現する際には、メガネの価格を下げたことにより、これまで3年毎の買い替えだったのがファッションや機能に応じて、また目が悪くない人も買うような世界になっている。

ロードサイト店などまだまだJINSの店舗を展開して利益も売上も伸ばせる余地があると考えている。


戦略その1 レンズの追加料金0円

メガネチェーンがいくつかあるが、きつい乱視や近視だと高付加価値のレンズを別料金で買うことになるのが主流。
あるお店ではフレームに高付加価値レンズをつけると4万円程になる。
3プライス制のある店では5000円から15000円に設定されているが、高付加価値レンズは別料金。
JINSは4990円〜 9990円の4プライス制でどんな乱視や近視の人でも追加料金は発生しない。

また、JINSは標準で非球面レンズを採用している。非球面レンズは球面レンズに比べて見やすい。
他者では非球面レンズをつけることができるが、球面レンズ用のフレームにつけるとフレームが歪んでしまう。JINSでは最初から非球面レンズ用のフレームと非球面レンズの組み合わせ。

どれだけフレームがその人にフィットするかもかけ心地に影響する。
JINSは日本人であれば90%の人がかけ心地がいいと感じるフレームを開発した。


戦略その2 機能性アイウェアの開発

これまで、メガネは視力の悪い人がかけるものというのが常識だった。
新しい当たり前を生み出そうと考えた結果、その常識を疑い新しい製品を生み出した。
パソコンを長く使うと目がつかれるが、そのため多くの人は少し目が悪くなるメガネを使っている。
これは眼科医に行っても同じ。少し見えにくいメガネを作ることになる。
絶対に他の方法があるはずと考え、産学共同で研究を行った結果、原因の一つにブルーライトがあるという事に行き着いた。眼科医では世界的に常識な話ではあったが、誰も調べたことが無かった。
最近のパソコンではブルーライト光源が強くなっているのでこれをカットするレンズを世界中から探してきた。普通は色が濃いレンズになってしまうものの、色が変わらずにカットできるレンズを見つけてきたのでそこは他者との違い。

世界で一番発注するからと大量発注し、価格を抑えた結果3990円という値段で提供できる。
他者の場合はサングラス用のレンズを使っているので質が違う。
JINSのPCメガネはPTAでも推奨されているし、学校への導入も進んでいく。
また、マイクロソフトなどの企業への全社提供なども行なっていく。


戦略その3 エアフレーム

軽量メガネの市場もJINSが作った。スイステクノロジーの超軽量弾力素材を日本で加工できるようにした。
日本で加工することできめ細やかな加工ができ、素早い対応が可能になった。
日本のある携帯電話メーカーと協力して作ったメガネが今年の秋に5990円で販売される。


今後の戦略

出店戦略について
JINSが出店するような1500平米以上のショッピングセンターは全国に650店舗ある。
JINSが出店していない店舗があと600店舗くらい残っている。
また、ロードサイト店を含めると1000店舗はいけるのではないか?と考えている。

商品戦略について
電話は黒電話からコードレスホン、そして携帯電話、スマートフォンと進化した。
任天堂は花札からファミコン、ゲームボーイ、3DSと進化した。
メガネはフランシスコ・ザビエルが日本に持ち込んだが、その頃と比較してレンズを耳にかけるようになった程度の変化しか起こっていない。我々はイノベーションを起こしたい。

JINS PCはまだまだ将棋で言えば「歩」程度。これから「金」や「銀」を出していく。
メガネをかけている人のほとんどがJINSにシフトしたくなるようなイノベーションを起こしたい。
そのくらいやると売上も数千億円〜一兆円が見えてくる。

欧米では視力が弱いと国が補助金を出している。そのため、メガネの価格を安く提供する必要がない。
そんな市場だったが最近不景気になって補助金を打ち切る国も現れ始め、自由競争が始まった。
日本は既に自由競争のまっただ中で世界で一番進んだ市場と考えている。

ウォールマートやマクドナルド、スターバックスなどは店舗オペレーションが素晴らしい。
多民族の混ざった国で教育を受けていない人でも店舗スタッフとして働けるように徹底したマニュアル化が行われている。日本は属人化したオペレーションが多い。
メガネ業界は検査やフィッティングなど属人化した技術が必要だが、これをどうやって自動化していくか?
高速道路もETCが登場してお客さんも便利になった。
同じような考えでJINS PCの自動販売機を始めた。度なしだからできたという面もあるが、今後は更に発展させていく。

世界に通用するサービス業を目指している。海外展開では中国に進出している。
上海では日本と同じように売れている。上海から北京のラインに進出すべく役員を中国に常駐させて展開をはかっている。

夢を見ることは重要なこと。
想像できるということは、半分実現したようなもの。
自分はビジョンを固めた2009年には現在のような姿を想像できていた。想像 できるのであれば、あとはどう実現、到達していくか?チャレンジするか?

皆さんには、今日話したことを数年後に思い出して比較してみて欲しい。

失敗もあるし、ずっと右肩上がりではないと思うが長期的には伸びていくと考えている。
コカ・コーラとペプシ、スターバックスとタリーズ、ナイキとアディダス。ライバル社を比較すると想いの強い会社が強い。JINSも長い目で見て応援して欲しい。