NPO法人いい会社をふやしましょう創立記念シンポジウム 森と畑に『いい会社』(2)トビムシ 竹本吉輝氏2012年12月26日

12月15日(土)に開催されたNPO法人いい会社をふやしましょうの創立記念シンポジウム 森と畑に『いい会社』のレポートです。

日 時:2012年12月15日(土) 14:00〜16:30
場 所:国立大学法人 東京工業大学蔵前会館
主 催:NPO法人いい会社をふやしましょう (→公式HP
プログラム:
 基調講演  人と経営研究所 所長 大久保寛司氏
 講演    株式会社トビムシ 代表取締役 竹本吉輝氏 (→HP
       株式会社マイファーム 創業者 西辻一真氏 (→HP
 パネルディスカッション
  コーディネーター 鎌田恭幸氏(NPO法人いい会社をふやしましょう 理事) 
  パネリスト    大久保寛司氏、竹本吉輝氏、西辻一真氏

ワリバシ(的なモノ)の可能性とこれからの林業
 株式会社トビムシ 代表取締役 竹本吉輝氏


わざとらしくここに来てから着けますが(笑)、このモクタイは無垢の本物の木で作られているのでヒノキの香りが残っている。

杉はあたたかみがある。ヒノキは覚醒作用がある。
ヒノキでできたモクタイは勝負ネクタイ。

日本の森の現状とアプローチについて話をする。
ワリバシ(的なもの)の可能性について。

横浜生まれ横浜育ちと言っているが本当は旗の台で生まれた。
祖父母のやさしさを感じたのが大井町線沿線。

このあたりは一人暮らしした甘酸っぱい記憶がある。
たくさん引っ越しをしていて、結婚してからでも8回している。
横浜で暮らしながら、今では島根県の海士町に住んでいる。

「都市は物質的に豊かで地域は寂しい。自然はあるが」
とよく言われるが、都市と森とは同期している。

都市が厳しく寂しいと、地域も厳しく寂しい。
この後に西辻さんが耕作放棄地の話をするが、それとシャッター街は同期しているのでは?

人工林を天然林、原生林にもどせ?という議論がある。
しかし、人が手を入れたものから離れると心象風景として寂しく悲しいものになる。
原生林は荘厳な美しさがある。別質のもの。

都市の期待に応えられなかった人が離れていく寂しい風景とさびしい森はリンクしている。
都市空間が豊かなら森も豊か。

鎌倉投信のオフィスは建物の中も外も美しい。

我々が百年の森と呼んでいる森。
人工林も美しい。

杉は全部伐採して広葉樹という話もあるが心象風景としてどうか?
都市と森とで同期しているのではないか?

岡山県西粟倉村。
いい会社ツアーで訪問していただいている。
土は色々と堆積しているのでスポンジのようにふかふか。
その中に必ずいるのがトビムシ。
人知れず美しい森を支える存在に。

企業理念(ミッション)
地域の眠れる資産を顕在化し、森への期待を換気し、人々の連綿たる思いをつなぎ
世の流れを創造する。

地方の田舎への水平の思い
積極的に関わって行きたい

50年の森
小径・中経の森
樹齢55~50年の木が多い
もう少し成長させると柱や床材になる
12齢級(1齢級は年)以前がないのは戦前、戦中のエネルギーとして木を使っていたため。
戦後、禿山をもとに戻そうと拡大造林が20年にわたって丁寧に行われた。
しかし、いい木が出てくるフローがなかったからだめだと言われている。

先達が植えた木がストックしてあるラストワンマイルの状態。
柱材として市場に出てくる手前でエネルギー革命やプラスチック、非鉄が登場した。

木は反れるし割れるので工業製品として扱いにくいという流れで徐々に使われなくなってきた
このまま10年たつとどうなるか?
木は暗いと上にしか育たない。そのため、幹が細いまま上に伸びるので倒れてしまう。
今は森が放置されている状態。

コスト割れしないように皆伐すると生態系含めて全て変えてしまう。
いい木だけ間伐すると劣性木のみ残ってしまい、事実上のハゲ山となる。

日本の国土は70%が森でそのうち40%が人工林。
ふつうに農村にあった家畜の餌場がトラクターの発明で家畜が不要になり、草地に植林した。
中世以来もっとも森林があるのが現代。

資源がないといわれている中でもっとも森林資源があり、これから資源がでてくる状態。
このままダメにしてしまうか?有効活用するか?

今は日本の木を使うのではなく、今しかない悪い木を間引くことで空間が広がり、今あるいい木がもっといい木になる。

世界中で森林資源が減っている中で輸入する必要がなくなる。
日本の風景をとりもどすだけでなく世界の森林の伐採を止められる。

百年の森へ
都市空間も無垢な豊かな空間になっているはず
そこで劣性木の活用を

50cm×50cmでどこでも敷ける
分譲マンションだけでなく賃貸の方でも使える
都市空間を豊かをするだけでなく、50cmまっすぐな板なら材料になるため、森も元気に。
通常は板にするなら2mまっすぐである必要がある。
これにより、切り捨てがなくなる。

森の風景をつくり、都市の空間も豊かになる。

靴で踏んでも大丈夫なようにスライスしたコグチタイル。
強度を増したユカハリもあり、パタゴニア京都店でも使っている。
店舗でこういったものを使うのは勇気がいること。本当にありがたい。

サクセスホールディングスの保育園でもふんだんに檜を使っていた。
木をふんだんに使っていると安心できるのでは?
都市は冬湿度が下がる上にエアコンをかけてカサカサになってしまう。
木によって調湿性も生まれる。

森の状態が厳しい。ただ、歴史上最も森林資源がある時でもある。今はは細かったり曲がったりしているが。
割り箸であれば21cmまっすぐであれば(節は除く)使える。
こういった「ワリバシ的」なものが生み出され、今まで捨てられていた木が使われると都市空間が豊かになる。

割り箸は日本で最も身近な木工製品。
統計上は一人年間で数百膳使っている。
間伐材から作られた割り箸は香りが豊かで色味が豊か。ちょっと曲がっていたりわがままな面も。

こういったものを使うと都市や森も豊かな空間になるだろう。
「ワリバシ的」なものはエネルギーも生み出せる。
使用済み割りばしでオガコを作り、酪農家が牛のベッドにして堆肥に。
その後土づくりに使われ、有機野菜が作られ、それをまた間伐材のワリバシで食べる。

猫の手も借りたい企画というのを考えている。
ペレットで猫砂を作った。
家の中に猫のトイレはプラスチックで無機質なもの。
これを木にする。

たくさん売れたらねこの手だけでなく人の手も借りたくなる。

そもそも林業とは 「光のデザイン」

光の量に応じて葉の量や幹の太さも変わってくる。
西粟倉村の夏はものすごくきれいで、ヒメボタルがたくさん出てくる。
ヒメボタルは下層植生が豊かでないと出てこない。

地方がきれいになると、都市の夜の風景もきれいに。

つながりの(リ)デザイン
地域のコミュニティをどうやって担保できるか。
あらゆるものが森が始まらないととうまくまわらない。
木材として使われることで水源が豊かになり、農業、水産業にもいい影響が。
林業が頑張れれば中流域も下流域も豊かになる。

物質的循環

地域ではもともとあった物質循環。
物流が細部に宿ったため、大量生産した諸地域から消費地へ一瞬で運ばれてくることで産地と消費地が分断されてしまった。
このつながりがなければ持続性を担保するのは難しい。
森と都市はどう同期していくのか?

非日常的つながり。
みんなに来ていただく。
大久保さんにも来ていただいたが、今年の夏は天然うなぎがなかなか獲れなかった。
西粟倉の代表の牧が前日の懇親会をキャンセルしてまで捕ってきた1匹をみんなでバイキングで食べることに。予定されていたうな丼ではなかったが・・・。


お父さんが木をきって板にして机にするという素敵な体験。
机への思い入れが生まれる。

テーブルが欲しいと言われたが納期が9月と聞いてお客さんが「よかった」と言った。
9月であれば子どもと一緒に森に入れるから。
納品される前にテーブルになる木がある森に行って、木が切られて加工されるまでを見に家族と来れる。
これは価値。

納期を短くするのが価値と教わったが、納期が長くなることによる価値もあるんだと気づかされた。

ひのきは切られてから100年たって最強になる。
このモクタイも最も強度が増すのは100年後。
固定資産としたらひのきを減価償却するのはおかしいことになる。
かといって固定資産税があがるのは嫌だが(笑)

時間がかかるからこその価値もある。
リスクだとか言わない。

パタゴニアの京都店ではユカハリを店舗で使っていただいた。
お客様の来られるところにこういったものを使うのは勇気のいること。
本当にありがたい。

日本で唯一針葉樹を素晴らしいテーブルに変えている家具職人、

ミュージシャンの坂本龍一さんも応援してくれている。

新しいコモンズへ。
昔に戻すのではなく、今しかできない繋がりを。

生活ビジネスシーンと森が両方存在することが可能ではないか?
日々の生活で一票投じる。
「ワリバシ的」なものを使う、あったらいいねという声を出す。

NPO法人いい会社をふやしましょう創立記念シンポジウム 森と畑に『いい会社』(3)マイファーム 西辻一真氏2012年12月26日

12月15日(土)に開催されたNPO法人いい会社をふやしましょうの創立記念シンポジウム 森と畑に『いい会社』のレポートです。

日 時:2012年12月15日(土) 14:00〜16:30
場 所:国立大学法人 東京工業大学蔵前会館
主 催:NPO法人いい会社をふやしましょう (→公式HP
プログラム:
 基調講演  人と経営研究所 所長 大久保寛司氏
 講演    株式会社トビムシ 代表取締役 竹本吉輝氏 (→HP
       株式会社マイファーム 創業者 西辻一真氏 (→HP
 パネルディスカッション
  コーディネーター 鎌田恭幸氏(NPO法人いい会社をふやしましょう 理事) 
  パネリスト    大久保寛司氏、竹本吉輝氏、西辻一真氏

社会を変革する『自産自消』の農業
 株式会社マイファーム 創業者 西辻一真氏


今、知人が選挙に立候補していて選挙活動をしている。
一番縁がないと思っていたが、有権者に自分のこと以外を話すということをしている。
頭が戦闘モードになっていたが、この場所に来て、雰囲気で頭にアルファ波が出た。
笑顔を忘れていた。

マイファームというのは農業をやっている会社。
野菜だけでなく仕組みもつくっていきたいという農業への取り組み。

「自産自消」できる社会をつくりたい。
どんな世界か?それは自分の妄想の世界。
世の中のみんなが野菜づくりをしている。


どんなメリットがあるか?
普段スーパーで食べる野菜の旬もわかるようになるが、気づいて欲しいのは自然と生きるってなんて大事なことだろうということ。

自然と生きる。
効率化、早く結果を出すのが大事とされるが、自然や森の速度に合わせてぼくらが仕事をする。
野菜の生産速度はそんなに変えられない。
玉ねぎは6ヶ月。自然の速度に自分たちをあわせていく生き方。

自然という絶対的なものを見ると人はやさしくなる。
戦うということを選択しなくなる。
ともに生きようとする。

いじめ問題も野菜づくりしていればよかったのでは?
なにげないトークが知らない人ともできる。
テレビを見ないと話題に乗り遅れるということもない。

なんて非効率なことするんだろうという世界にも価値がある。

福井県出身。
住んでいたところはお米どころで、減反政策や道路が開通するのを見越して塩漬けにする耕作放棄地がポツポツとあった。
それを見てなんてもったいないと思った。

自分が農家じゃなかったから。
両親と野菜をつくって試行錯誤して妹と野菜の大きさを競ったり家庭菜園が楽しかった。

子供だったので純粋になぜやらない人が多いんだろう?と思った。
大人になっていろんなバランスがわかってきた。

耕作放棄地をなくしたいと思った。
どのくらいか?
ゼロにしたい。

日本で耕作放棄地は40万haあるが、マイファームでの5年間で100ha、率にして0.03%なおした。
そこに関わった人のマインドが有機的につながって耕作放棄地をなおしていくようになってくれれば。

大学時代は遺伝子組み換えの研究をしていた。
耕作放棄地ですごい作物を作ろうと思った。
そうすればみんながどんどん作ってくれるのでは?
途中で大学の先生になぜ品種改良しているのかわかる?と聞かれた。
いま、世界では食糧難が起きている。飢えている8億人を君たちは放っておくのか?と言われた。
生産性をあげるのも解決策だが、する人をふやすという方法もあるのでは?と考えるようになった。

農業では食べていけないからと言われるが食べていけるようにすればよい。
生産性をあげれば?ではない方法で。

農家は農作物をつくるイメージがあるが、作るのは心が落ち着く雰囲気だろうと思った。
そういう地域の雰囲気をつくるのが農家。

農家の価値は農作物だけではなく雰囲気を醸し出すことにもある。
観光産業もできるかもしれない。
野菜づくりをやってみたいという人が増えている。
農業知識を持っている人も増えている。これをビジネスに変えていく。

農家は農作物をつくる人ではなく、自然と人間をつなぐ人。
農業知識や地域をつくっていく。

農家は高齢化がすすんでいるので新しい農家が必要。
それでは引き継ぐ人もつくろうとマイファームアカデミーという専門学校を作った。
来年の春にはアグリイノベーション大学を始める。平均年齢は20歳代ですでに満員。
TPPで日本の農業がだめになるかもと言っているのに。

興味を持って楽しんでもらう体験農園がマイファーム。
全国に83ヶ所ある。
興味を持った人たちを畑師と呼ぶ。
卒業した人が農業をはじめるのを支援する。
農業は新規で入りにくい。規制が厳しい上にしがらみもある。
わかっている人が教えて助ける。

新しい法人を作っている。

今年の6月に大きな過ちをおかした。
いい会社をふやしましょうと考えながら。

いい会社と思いながら、日本の農業で一番困っているのは東北だとしばらく東北にいた。
自分のすべてを東北へ振り向けていた。
大切なのは今までで支えてくれたスタッフやお客さん。
順位を自分は間違えたかもしれない。
これから過ちではない方向へ戻すのが自分の仕事。

被災地で塩害をなおす。
営みを取り戻す尽力をしていた。
テレビで放映されたマイファームをクビになって行く交通費がなくなると言った時、それでも来て欲しいと言われた。

生きるとはイキイキとみんなで仕事をすること。
僕はその仕組みを作る人になる。
トマトの収穫ではアルバイトで30人以上の人が手伝いにきた。地元に雇用を生み出したと町長もきた。

農業の何がいいか?
野菜をつくること。
収入はIT企業より低いし、スーツを着てても畑に入らないといけない。
今年収穫された作物。トマトとさつまいも。
見えないありがとうがたくさんある。

収穫のアルバイトでやってきた30人に通年の仕事はないが、でも恨まないと言っている。自然の流れだからと。
あいつは仕組みをしっかり作ると言ってくれて、紹介をしてくれる。

亘理の完熟トマトジュースが作られた。

お金にかえられない価値がある。

ありがとうの価値が農業には広がっている
このトマトジュースはベネッセの通販で買える。

新幹線で行き来するなかで寂しいと思うことがある。
動物が少ない。
耕作放棄地を少なくして牧場をやってもいいかも。
羊やダチョウが新幹線から見えたら面白いかも。

体験農園マイファーム
まだ始めて5年のベンチャー企業だが昨日嬉しい話があった
マイファームの締め会。

役員に内緒で管理人さんが集まってベスト農園コンテストをマネージャーにやりたいと言っていた。
賞金とか役員に内緒で勝手に決まっていた(笑)

全国で83農園があり、予選会を得て、本大会。

基本サービスは一緒だが管理人さんの頑張りでどんなにでもできる仕組み。
それぞれの農園で色がでるように。個性が現れる。

例えば・・・
 木陰、井戸も掘った。
 一緒にぶどう棚をつくった。ご近所さんからパンツが畑に飛んできたのを縁に仲良くなった。
 ナイトBBQを開催
 耕作放棄地と古民家の組み合わせ
 作付するものは在来種を強制する農園
 排水にこだわり
 特盛堆肥を用意して持ち帰り自由。お客さんだけでなく、近所の方も。

畑の再生には野菜づくり+人々の営みが生まれると持続できるようになる。

NPO法人いい会社をふやしましょう創立記念シンポジウム 森と畑にいい会社(4)パネルディスカッション2012年12月26日

12月15日(土)に開催されたNPO法人いい会社をふやしましょうの創立記念シンポジウム 森と畑に『いい会社』のレポートです。

日 時:2012年12月15日(土) 14:00〜16:30
場 所:国立大学法人 東京工業大学蔵前会館
主 催:NPO法人いい会社をふやしましょう (→公式HP
プログラム:
 基調講演  人と経営研究所 所長 大久保寛司氏
 講演    株式会社トビムシ 代表取締役 竹本吉輝氏 (→HP
       株式会社マイファーム 創業者 西辻一真氏 (→HP
 パネルディスカッション
  コーディネーター 鎌田恭幸氏(NPO法人いい会社をふやしましょう 理事) 
  パネリスト    大久保寛司氏、竹本吉輝氏、西辻一真氏

パネルディスカッション
 コーディネーター:鎌田恭幸氏、大久保寛司氏
 パネリスト   :竹本吉輝氏、西辻一真氏

鎌田:
本物の人は違うなと感じた。
亘理町の復興トマト。
専門家は3年かかると言われたが、西辻さんは科学者なのでバクテリアなどをまぜた土壌改良で2ヶ月で塩害を取り除いた。
すごいことを自分ですごいと言わない。

野菜をつくるのが農業ではない。
林業は木をつくって流通するのではなくその先になにがあるのか?

大久保さんのセッションでは笑顔という話があった
伊那食品工業の塚越さん、鬼丸さん

外から見ると苦労しているように見えるが楽しかったという
今も楽しい。生きる目的がある。
絶対にあきらめてはいけない。志を曲げないようにと。

鎌田の話はいつも聞いていると言われたので(笑)、パネルディスカッションは大久保寛司さんにコーディネートしてもらう。


大久保:
無謀で無理と言われる領域に入っていったのが二人の共通点。
耕作放棄地は日本の重要課題。
立ち向かうひとがほとんどいない。

竹本さんへ質問。初めて会った時の私の印象を。

竹本:
前フリと全然違う質問ですね(笑)
初めてお会いした時の印象はガハハと笑う人。
緊張していたが、張りつめていたのがすーっと入っていけた。
あたたかさを感じた。

紹介いただくときに土(場)を耕してくださる。
自然のまま入れた。

大久保:
なんで林業への取り組みを始めたのか?

竹本:
林業の構造的問題を知ったのは自分でやってから。
環境法をアドバイスして作った時期にルールはできたがやるひとがいなかった。
やってかないといけないのに。

規制してどうこうではなく、営みを動かす必要がある。
しかし地域が止まっている。お金も入らない。
その状態を動かしながらゴロゴロと持っていくのに林業が大事な位置だった。
コンサルは林業はまず置いておいてくださいと言う。地域の95%を占めるけど、どこに置くのか?
林業を手がけて農業などにも。最初は林業。

大久保:
いろいろとやっている。
西粟倉に訪問した時に鹿肉がすごく美味しかった。優しい顔をして解体女子がいた。
西辻さんに質問は竹本さんの話の印象。

西辻:
最近、人糞に興味があって人糞で野菜をつくるとほうれん草の先に環境ホルモンがでる。
循環の中で人間という存在は異物を摂取しながら生きていくものだと考えた。
つなぐのは難しい。
循環したい。そうすると新しい社会ができるのでは。

大久保:
農家は農園をすぐ貸してくれたのか?

西辻:
24歳で起業した。
最初はなかなか貸してもらえなかった。実績を問われる。実績がないからトライしているのに。
想いをきちっと伝えて。最初は半年かかった。
起業において最初の6ヶ月何もできないというのは致命傷。しんどかったが一個できるとごろごろ転がっていく。
意外にごろごろいってくれるなと。

大久保:
西辻さんが最初に農園を借りるまでは会う度に洋服や髪型を変えてもだめだった。
人との出合いでやっと。一緒に酒をのんで倒れてそこから信頼関係が生まれた。
それでうちも貸そうかとなった。最初の一箇所目にドラマが。それを書いた著作がある。

竹本:
初めて西辻さんに会ったのは行政の課長職が集まっているパネルディスカッションだった。
そこで我々に何を求めるか?という質問があったが西辻さんは「何もしないでください。邪魔になるので。」と答えて会場がどん引きした(笑)
その後、自分に順番が回ってきて「やってもらえることは全部お願いします。」と場を温めた。
西辻さんが25歳くらいの研修会での出来事。

その一年後、同じセミナーで同じ質問をされた西辻さんが今度は「ご協力いただきたい」と農園を貸してくれた一人目との出合いを話していた。それを聞いて良かったと思った。

西辻:
最初は研究者肌だったので1つだけやりたいと考えていた。
それに手がかかるにつれて、たくさんの人の手を借りるようになった。

竹本:
信じた人と動くことが腹に落ちたのが翌年だったのではないか?

大久保:
頭にあるうちは・・・。足に落ちると一番動く。
詳しくはそれぞれが考えてもらうとして。
耕作放棄地について西辻さんから。

西辻:
耕すだけではなく、見てる妄想がある。
耕作放棄地で野菜が作られていないだけでなく、営みや文化がなくなっている。
荒れていて景観も損ねている。
自分は全体を見ている。
すると発想がいろいろ湧いてくる。

大久保:
神戸のお祭りの話をお願いします。

西辻:
神戸の西宮でマイファームの農園が3つある。
他の農家も真似するようになって、市民農園は18にまでなった。
市民農園に人が来るので地域の農家の息子さんが帰ってきて管理人をするようになった。
人が帰ってきたので人口が増え、ずっとやってなかったお祭りが復活した。
文化が復活した。

道路が渋滞するようになって怒られていたが。その道路が拡充された。

大久保:
今の話を聞いて耕作放棄地ができるということは文化を消滅させることと知った。
神戸では文化は再生したが。
彼は文化の再生までのきっかけをつくっている。
トビムシでもいろいろやっている。

森林や農地の中で悪いことは考えられない。
精神的に疲れている人は必ず癒される。
大地や木のエネルギーは人を癒す
そこに通うということは素晴らしいこと

大島さんの話を。
また、製材所はもともと西粟倉にあったのか?

竹本:
製材所はもともと1600人の村でそこそこあったがだんだん無くなり、家族でやってる製材所しかなかった。
西粟倉で一番大きい会社の工場が出ていった跡地に中規模の製材所を作った。
集まったのは素人ばかり。
林業的に革命と言われるが、もともとを知らない。
外から入った異端が中から見ると革命だっただけ。

家具職人の大島さんと意気投合し、飛騨高山の木工会社から移ってきていただいた。
家具は西洋から来たので西洋の木でしか作られていない。
彼は日本の木で家具を、風景を作りたいと来てくれた。

西粟倉で100年の森構想というのが前村長のコンセプト。
彼は板はあると思っていたら小さな製材所しかないので木はどこにあるんですか?と現地の代表の牧さんに聞いた。
枚さんの答えは「木はあの辺にいっぱいある。」と山を指さしながら答えた。
「まだ切ってもいないじゃないですか・・・。」というやりとりが(笑)

1年半も家具を作れないからヒノキで椅子をつくることを研究できた。
ニスも西洋のものだと色味が変わるので子供が食べても大丈夫なものをつくっていた。

今では製材所ができて素晴らしい作品を作っていただいている。

時間がかかることの価値。
強度がたりないから太くつくると野暮ったくなる。
これを強度を担保しながらモダンなものを作った。

100年後の風景をつくるのに自分も関わりたいという想い。

大久保:
ヒノキで家具を作るのはアホかと言われる。
塗装剤がない。そこで彼は古文書をあさった。
食べ物でニスを作っている。だからこどものおもちゃをつくっても大丈夫。
なぜそれができたのか?
父親が人間やってやれないことはないと言っていたから。
すりこまれていた。できるはずだと。

うちこむことで目が輝いている。
想いがこもっている。家具の輝きが違う。

世間からいうと無理、ダメと言われれていることをやっている人。

鎌田さんから見た二人は?

鎌田:
お二人は創業当時から付き合いがあった。
変わったことをはじめたなと思った。
自分達をさしおいて・・・。

今までの概念を変えている。ムダではなく。
妄想力、イマジネーション 思いの幅の広がり。
金融の仕事をしているがシュンペーターが見直されている。
イノベーションを技術革新と訳すが本当は思考革新。
効率性、費用対効果で人との関係は分断されていた。
時間は短いほうがいいと言われているが、実はそうではなく認知時間を求めている。
価値観が転換している。
農業、林業からの人のつながりへ。

ちょっとしたものをきっかけに。
だいぶ話をしてからそこに気付いた。

よそ者、若者、馬鹿者が世の中を変えると言われている。

大久保:
最近、お茶をいれるとき鉄瓶でわかしている。
ポットに水を入れればいいところをあえて。
そういうのが大事では。

利便性を追求すると何か別のものが失われる。
ずっと熱い状態を保存するということは何が失われているか?

お茶をいれる過程を楽しむ
60歳過ぎての感覚。
40代は新幹線でホームに1分前につくとはやすぎたと感じていたが。

竹本:
1930年台にアメリカに船でサンフランシスコまで行った人は3ヶ月かかっていた。
むこうについたら社交界に入ったが、船の中で英語とダンスを学べた。
今は飛行機で14時間。狭い機内で耐えれないと思うが、昔の3ヶ月は豊かな生活にとって大事なものだった。
自分の人生においての認知時間。
14時間にも認知時間はあるのかもしれないが。

大久保:
趣味はぼーっとすること。
この感覚を話すと長いが。
沖縄でもなにかやっていた?

西辻:
ニスの話と似ている。
自然と自分がつながらないと。
どんな野菜がいいのか?
沖縄で大久保さんと講演があった時、やんばるの森に入った。
赤土で作物ができないと言われているが、森のなかの土を食べてきた。
自分はカルピスを飲まないと気が済まない。
お腹の乳酸菌が多いから土を食べても大丈夫?
よい土はチョコレートのように溶けていく。
葉っぱも発酵するととけてくる。

大久保:
本当の人は食べる。
下の感覚はすごい。
今はたくさんの人が協力している。
金融の仕組みでもまわるしくみを作っている。

中心には彼の想いやエネルギー。
西辻さんも信じられないものをやる。
力みを感じない。淡々としている。
誰もやらないからではなく、やりたいことをやっている。
山と農地はつながっている。
海の神様の総本山では山褒めという行事がある。
海と山はつながっている。
それを活性化する。

循環が本質。
これが途切れるといろんなところで問題が起きる。
山、農業、金融業もつながった。

一人ひとりができることをすると日本が、世界がよくなる。
お二人と会ったのは今年。時間は関係ない。
皆さんもなにかできる。一人ひとりのちからが大事。

鎌田:
最後に今日出演された方の著作を紹介。

 『考えてみる』 大久保寛司

バイオリンは一本弾くと共鳴する。
いい音色は共鳴からうまれる。