NPO法人いい会社をふやしましょう創立記念シンポジウム 森と畑に『いい会社』(3)マイファーム 西辻一真氏2012年12月26日

12月15日(土)に開催されたNPO法人いい会社をふやしましょうの創立記念シンポジウム 森と畑に『いい会社』のレポートです。

日 時:2012年12月15日(土) 14:00〜16:30
場 所:国立大学法人 東京工業大学蔵前会館
主 催:NPO法人いい会社をふやしましょう (→公式HP
プログラム:
 基調講演  人と経営研究所 所長 大久保寛司氏
 講演    株式会社トビムシ 代表取締役 竹本吉輝氏 (→HP
       株式会社マイファーム 創業者 西辻一真氏 (→HP
 パネルディスカッション
  コーディネーター 鎌田恭幸氏(NPO法人いい会社をふやしましょう 理事) 
  パネリスト    大久保寛司氏、竹本吉輝氏、西辻一真氏

社会を変革する『自産自消』の農業
 株式会社マイファーム 創業者 西辻一真氏


今、知人が選挙に立候補していて選挙活動をしている。
一番縁がないと思っていたが、有権者に自分のこと以外を話すということをしている。
頭が戦闘モードになっていたが、この場所に来て、雰囲気で頭にアルファ波が出た。
笑顔を忘れていた。

マイファームというのは農業をやっている会社。
野菜だけでなく仕組みもつくっていきたいという農業への取り組み。

「自産自消」できる社会をつくりたい。
どんな世界か?それは自分の妄想の世界。
世の中のみんなが野菜づくりをしている。


どんなメリットがあるか?
普段スーパーで食べる野菜の旬もわかるようになるが、気づいて欲しいのは自然と生きるってなんて大事なことだろうということ。

自然と生きる。
効率化、早く結果を出すのが大事とされるが、自然や森の速度に合わせてぼくらが仕事をする。
野菜の生産速度はそんなに変えられない。
玉ねぎは6ヶ月。自然の速度に自分たちをあわせていく生き方。

自然という絶対的なものを見ると人はやさしくなる。
戦うということを選択しなくなる。
ともに生きようとする。

いじめ問題も野菜づくりしていればよかったのでは?
なにげないトークが知らない人ともできる。
テレビを見ないと話題に乗り遅れるということもない。

なんて非効率なことするんだろうという世界にも価値がある。

福井県出身。
住んでいたところはお米どころで、減反政策や道路が開通するのを見越して塩漬けにする耕作放棄地がポツポツとあった。
それを見てなんてもったいないと思った。

自分が農家じゃなかったから。
両親と野菜をつくって試行錯誤して妹と野菜の大きさを競ったり家庭菜園が楽しかった。

子供だったので純粋になぜやらない人が多いんだろう?と思った。
大人になっていろんなバランスがわかってきた。

耕作放棄地をなくしたいと思った。
どのくらいか?
ゼロにしたい。

日本で耕作放棄地は40万haあるが、マイファームでの5年間で100ha、率にして0.03%なおした。
そこに関わった人のマインドが有機的につながって耕作放棄地をなおしていくようになってくれれば。

大学時代は遺伝子組み換えの研究をしていた。
耕作放棄地ですごい作物を作ろうと思った。
そうすればみんながどんどん作ってくれるのでは?
途中で大学の先生になぜ品種改良しているのかわかる?と聞かれた。
いま、世界では食糧難が起きている。飢えている8億人を君たちは放っておくのか?と言われた。
生産性をあげるのも解決策だが、する人をふやすという方法もあるのでは?と考えるようになった。

農業では食べていけないからと言われるが食べていけるようにすればよい。
生産性をあげれば?ではない方法で。

農家は農作物をつくるイメージがあるが、作るのは心が落ち着く雰囲気だろうと思った。
そういう地域の雰囲気をつくるのが農家。

農家の価値は農作物だけではなく雰囲気を醸し出すことにもある。
観光産業もできるかもしれない。
野菜づくりをやってみたいという人が増えている。
農業知識を持っている人も増えている。これをビジネスに変えていく。

農家は農作物をつくる人ではなく、自然と人間をつなぐ人。
農業知識や地域をつくっていく。

農家は高齢化がすすんでいるので新しい農家が必要。
それでは引き継ぐ人もつくろうとマイファームアカデミーという専門学校を作った。
来年の春にはアグリイノベーション大学を始める。平均年齢は20歳代ですでに満員。
TPPで日本の農業がだめになるかもと言っているのに。

興味を持って楽しんでもらう体験農園がマイファーム。
全国に83ヶ所ある。
興味を持った人たちを畑師と呼ぶ。
卒業した人が農業をはじめるのを支援する。
農業は新規で入りにくい。規制が厳しい上にしがらみもある。
わかっている人が教えて助ける。

新しい法人を作っている。

今年の6月に大きな過ちをおかした。
いい会社をふやしましょうと考えながら。

いい会社と思いながら、日本の農業で一番困っているのは東北だとしばらく東北にいた。
自分のすべてを東北へ振り向けていた。
大切なのは今までで支えてくれたスタッフやお客さん。
順位を自分は間違えたかもしれない。
これから過ちではない方向へ戻すのが自分の仕事。

被災地で塩害をなおす。
営みを取り戻す尽力をしていた。
テレビで放映されたマイファームをクビになって行く交通費がなくなると言った時、それでも来て欲しいと言われた。

生きるとはイキイキとみんなで仕事をすること。
僕はその仕組みを作る人になる。
トマトの収穫ではアルバイトで30人以上の人が手伝いにきた。地元に雇用を生み出したと町長もきた。

農業の何がいいか?
野菜をつくること。
収入はIT企業より低いし、スーツを着てても畑に入らないといけない。
今年収穫された作物。トマトとさつまいも。
見えないありがとうがたくさんある。

収穫のアルバイトでやってきた30人に通年の仕事はないが、でも恨まないと言っている。自然の流れだからと。
あいつは仕組みをしっかり作ると言ってくれて、紹介をしてくれる。

亘理の完熟トマトジュースが作られた。

お金にかえられない価値がある。

ありがとうの価値が農業には広がっている
このトマトジュースはベネッセの通販で買える。

新幹線で行き来するなかで寂しいと思うことがある。
動物が少ない。
耕作放棄地を少なくして牧場をやってもいいかも。
羊やダチョウが新幹線から見えたら面白いかも。

体験農園マイファーム
まだ始めて5年のベンチャー企業だが昨日嬉しい話があった
マイファームの締め会。

役員に内緒で管理人さんが集まってベスト農園コンテストをマネージャーにやりたいと言っていた。
賞金とか役員に内緒で勝手に決まっていた(笑)

全国で83農園があり、予選会を得て、本大会。

基本サービスは一緒だが管理人さんの頑張りでどんなにでもできる仕組み。
それぞれの農園で色がでるように。個性が現れる。

例えば・・・
 木陰、井戸も掘った。
 一緒にぶどう棚をつくった。ご近所さんからパンツが畑に飛んできたのを縁に仲良くなった。
 ナイトBBQを開催
 耕作放棄地と古民家の組み合わせ
 作付するものは在来種を強制する農園
 排水にこだわり
 特盛堆肥を用意して持ち帰り自由。お客さんだけでなく、近所の方も。

畑の再生には野菜づくり+人々の営みが生まれると持続できるようになる。

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