NPO法人いい会社をふやしましょう創立記念シンポジウム 森と畑に『いい会社』(2)トビムシ 竹本吉輝氏2012年12月26日

12月15日(土)に開催されたNPO法人いい会社をふやしましょうの創立記念シンポジウム 森と畑に『いい会社』のレポートです。

日 時:2012年12月15日(土) 14:00〜16:30
場 所:国立大学法人 東京工業大学蔵前会館
主 催:NPO法人いい会社をふやしましょう (→公式HP
プログラム:
 基調講演  人と経営研究所 所長 大久保寛司氏
 講演    株式会社トビムシ 代表取締役 竹本吉輝氏 (→HP
       株式会社マイファーム 創業者 西辻一真氏 (→HP
 パネルディスカッション
  コーディネーター 鎌田恭幸氏(NPO法人いい会社をふやしましょう 理事) 
  パネリスト    大久保寛司氏、竹本吉輝氏、西辻一真氏

ワリバシ(的なモノ)の可能性とこれからの林業
 株式会社トビムシ 代表取締役 竹本吉輝氏


わざとらしくここに来てから着けますが(笑)、このモクタイは無垢の本物の木で作られているのでヒノキの香りが残っている。

杉はあたたかみがある。ヒノキは覚醒作用がある。
ヒノキでできたモクタイは勝負ネクタイ。

日本の森の現状とアプローチについて話をする。
ワリバシ(的なもの)の可能性について。

横浜生まれ横浜育ちと言っているが本当は旗の台で生まれた。
祖父母のやさしさを感じたのが大井町線沿線。

このあたりは一人暮らしした甘酸っぱい記憶がある。
たくさん引っ越しをしていて、結婚してからでも8回している。
横浜で暮らしながら、今では島根県の海士町に住んでいる。

「都市は物質的に豊かで地域は寂しい。自然はあるが」
とよく言われるが、都市と森とは同期している。

都市が厳しく寂しいと、地域も厳しく寂しい。
この後に西辻さんが耕作放棄地の話をするが、それとシャッター街は同期しているのでは?

人工林を天然林、原生林にもどせ?という議論がある。
しかし、人が手を入れたものから離れると心象風景として寂しく悲しいものになる。
原生林は荘厳な美しさがある。別質のもの。

都市の期待に応えられなかった人が離れていく寂しい風景とさびしい森はリンクしている。
都市空間が豊かなら森も豊か。

鎌倉投信のオフィスは建物の中も外も美しい。

我々が百年の森と呼んでいる森。
人工林も美しい。

杉は全部伐採して広葉樹という話もあるが心象風景としてどうか?
都市と森とで同期しているのではないか?

岡山県西粟倉村。
いい会社ツアーで訪問していただいている。
土は色々と堆積しているのでスポンジのようにふかふか。
その中に必ずいるのがトビムシ。
人知れず美しい森を支える存在に。

企業理念(ミッション)
地域の眠れる資産を顕在化し、森への期待を換気し、人々の連綿たる思いをつなぎ
世の流れを創造する。

地方の田舎への水平の思い
積極的に関わって行きたい

50年の森
小径・中経の森
樹齢55~50年の木が多い
もう少し成長させると柱や床材になる
12齢級(1齢級は年)以前がないのは戦前、戦中のエネルギーとして木を使っていたため。
戦後、禿山をもとに戻そうと拡大造林が20年にわたって丁寧に行われた。
しかし、いい木が出てくるフローがなかったからだめだと言われている。

先達が植えた木がストックしてあるラストワンマイルの状態。
柱材として市場に出てくる手前でエネルギー革命やプラスチック、非鉄が登場した。

木は反れるし割れるので工業製品として扱いにくいという流れで徐々に使われなくなってきた
このまま10年たつとどうなるか?
木は暗いと上にしか育たない。そのため、幹が細いまま上に伸びるので倒れてしまう。
今は森が放置されている状態。

コスト割れしないように皆伐すると生態系含めて全て変えてしまう。
いい木だけ間伐すると劣性木のみ残ってしまい、事実上のハゲ山となる。

日本の国土は70%が森でそのうち40%が人工林。
ふつうに農村にあった家畜の餌場がトラクターの発明で家畜が不要になり、草地に植林した。
中世以来もっとも森林があるのが現代。

資源がないといわれている中でもっとも森林資源があり、これから資源がでてくる状態。
このままダメにしてしまうか?有効活用するか?

今は日本の木を使うのではなく、今しかない悪い木を間引くことで空間が広がり、今あるいい木がもっといい木になる。

世界中で森林資源が減っている中で輸入する必要がなくなる。
日本の風景をとりもどすだけでなく世界の森林の伐採を止められる。

百年の森へ
都市空間も無垢な豊かな空間になっているはず
そこで劣性木の活用を

50cm×50cmでどこでも敷ける
分譲マンションだけでなく賃貸の方でも使える
都市空間を豊かをするだけでなく、50cmまっすぐな板なら材料になるため、森も元気に。
通常は板にするなら2mまっすぐである必要がある。
これにより、切り捨てがなくなる。

森の風景をつくり、都市の空間も豊かになる。

靴で踏んでも大丈夫なようにスライスしたコグチタイル。
強度を増したユカハリもあり、パタゴニア京都店でも使っている。
店舗でこういったものを使うのは勇気がいること。本当にありがたい。

サクセスホールディングスの保育園でもふんだんに檜を使っていた。
木をふんだんに使っていると安心できるのでは?
都市は冬湿度が下がる上にエアコンをかけてカサカサになってしまう。
木によって調湿性も生まれる。

森の状態が厳しい。ただ、歴史上最も森林資源がある時でもある。今はは細かったり曲がったりしているが。
割り箸であれば21cmまっすぐであれば(節は除く)使える。
こういった「ワリバシ的」なものが生み出され、今まで捨てられていた木が使われると都市空間が豊かになる。

割り箸は日本で最も身近な木工製品。
統計上は一人年間で数百膳使っている。
間伐材から作られた割り箸は香りが豊かで色味が豊か。ちょっと曲がっていたりわがままな面も。

こういったものを使うと都市や森も豊かな空間になるだろう。
「ワリバシ的」なものはエネルギーも生み出せる。
使用済み割りばしでオガコを作り、酪農家が牛のベッドにして堆肥に。
その後土づくりに使われ、有機野菜が作られ、それをまた間伐材のワリバシで食べる。

猫の手も借りたい企画というのを考えている。
ペレットで猫砂を作った。
家の中に猫のトイレはプラスチックで無機質なもの。
これを木にする。

たくさん売れたらねこの手だけでなく人の手も借りたくなる。

そもそも林業とは 「光のデザイン」

光の量に応じて葉の量や幹の太さも変わってくる。
西粟倉村の夏はものすごくきれいで、ヒメボタルがたくさん出てくる。
ヒメボタルは下層植生が豊かでないと出てこない。

地方がきれいになると、都市の夜の風景もきれいに。

つながりの(リ)デザイン
地域のコミュニティをどうやって担保できるか。
あらゆるものが森が始まらないととうまくまわらない。
木材として使われることで水源が豊かになり、農業、水産業にもいい影響が。
林業が頑張れれば中流域も下流域も豊かになる。

物質的循環

地域ではもともとあった物質循環。
物流が細部に宿ったため、大量生産した諸地域から消費地へ一瞬で運ばれてくることで産地と消費地が分断されてしまった。
このつながりがなければ持続性を担保するのは難しい。
森と都市はどう同期していくのか?

非日常的つながり。
みんなに来ていただく。
大久保さんにも来ていただいたが、今年の夏は天然うなぎがなかなか獲れなかった。
西粟倉の代表の牧が前日の懇親会をキャンセルしてまで捕ってきた1匹をみんなでバイキングで食べることに。予定されていたうな丼ではなかったが・・・。


お父さんが木をきって板にして机にするという素敵な体験。
机への思い入れが生まれる。

テーブルが欲しいと言われたが納期が9月と聞いてお客さんが「よかった」と言った。
9月であれば子どもと一緒に森に入れるから。
納品される前にテーブルになる木がある森に行って、木が切られて加工されるまでを見に家族と来れる。
これは価値。

納期を短くするのが価値と教わったが、納期が長くなることによる価値もあるんだと気づかされた。

ひのきは切られてから100年たって最強になる。
このモクタイも最も強度が増すのは100年後。
固定資産としたらひのきを減価償却するのはおかしいことになる。
かといって固定資産税があがるのは嫌だが(笑)

時間がかかるからこその価値もある。
リスクだとか言わない。

パタゴニアの京都店ではユカハリを店舗で使っていただいた。
お客様の来られるところにこういったものを使うのは勇気のいること。
本当にありがたい。

日本で唯一針葉樹を素晴らしいテーブルに変えている家具職人、

ミュージシャンの坂本龍一さんも応援してくれている。

新しいコモンズへ。
昔に戻すのではなく、今しかできない繋がりを。

生活ビジネスシーンと森が両方存在することが可能ではないか?
日々の生活で一票投じる。
「ワリバシ的」なものを使う、あったらいいねという声を出す。

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