第五回マイクロファイナンスフォーラム(4)パネルディスカッション ― 2013年01月12日
昨年12月16日(日)にNPO法人 Living in Peace主催の第五回マイクロファイナンスフォーラムが開催されました。
日 時:2012年12月16日(日) 14:00〜17:30
場 所:日本財団ビル
主 催:NPO法人Living in Peace (→ 公式HP )
Ustream中継:有り アーカイブは こちら でご覧になれます
プログラム:
▼第一部(14:00~15:50)
1.Living in Peace(LIP)理事長、慎泰俊による挨拶(5分)
2.講演:Stuart Rutherford氏(Safesave創設者)(20分)
3.講演:澤田康幸氏(東京大学経済学部教授)(20分)
4.LIPプレゼン「貧困削減効果を巡る学説紹介」(15分)
5.議論「グループレンディングと貧困削減効果」(50分)
▼第二部(16:00~16:30)
1.マイクロビジネスアワード概要
2.受賞者のビジネスに関して
3.受賞者登壇 質疑応答
4.現地式典、受賞者のビジネストリップ報告
パネルディスカッション
Living in Peace理事長 慎泰俊氏
Safesave創設者 Stuart Rutherford氏
東京大学経済学部教授 澤田康幸氏
アジア開発銀行 福井龍氏
サミック センムン氏
Q.グループレンディングと貧困削減効果について現場ではどう考えられているのか?
Rutherford:
マイクロファイナンスには貯めると借りるという点がある。
これまではビジネス目的であることが多かった。
実際はお金が安全な場所にあることが価値という世界もある。
コツコツとそれを担保に大きな資金を借りることもあるため、それがないと困る。
貧困削減効果があるか?という質問が間違っている。
生活はよくなったか?という質問をすればそれについては良くなったという結果が出る。
澤田:
評価方法についてRCTは臨床治験から来ていて政策の評価などにも用いられている。
MITインドが104のスラムで検証したら平均的に効果はなかった。
ただし、もともとビジネスをやっていたり、やろうとしていた人がやると効果があった。
タイプによって効果に差が出る。
それが何なのか調べてみたところ、在庫管理のトレーニングすると劇的にコストが改善されることがわかった。
学者の役割は一般化して共有することにある。
Q.うまくいく場合とそうではない場合の違い
福井:
貧困から出るには特殊な現象が必要。
コミュニティー、文化、社会環境の強弱など。
政府金融も返済率が低いと言われるがミャンマーは短期間で成功した。
物理的には人口密度も関係する。
例えばアフリカとアジア。
人が集まってると成長効果が高いがアフリカはそもそも人が散らばっていてリーチするのだけでも大変。
また、信用情報が既に存在すると金融は成功しやすい。
MFI成功率インデックスというものは存在しない。
学者はこれだけみるので複合指標は向かない?
マイクロファイナンスについてはエピソードの固まりすぎという意見もあるが。
オポチュニティーを早くできないか?
ある人には効果があり、そうではない人もいる
Q.MFI成功率インデックスは作れないのか?
澤田:
信用力や国際間比較や信頼関係も複合インデックスはできるが、そこで把握できるのは全体。
個別性にはまっていくのが重要では。
Q.RCTのような人体実験的なものは全体には役立つが、経済開発の現場で他の方法はできないのか?
澤田:
アメリカでは倫理委員会を通してから実施している。
また、参加者にも事前にプログラムへの参加意志の確認はしている。
全部の地域が対象になるが一気には出来ない。そこで順番に実施することになるがそれはランダム。
くじは透明性がある。
自然実験という手法もある。
たまたまそうなっている条件を利用する。
例えば0.5エーカーの土地持ちで借りられる条件をつけると0.49エーカーの人と0.51エーカーの人は
さほど変わらない。そういう条件で違いを探す。
Q.マイクロファイナンスは効果がでるまでに時間がかかるのでRCTという検証手法は向かないのでは?
澤田:
その通りだと思う。
インドのスラムの研究でも短期の効果しかみていない。
長期でやろうとすると最初のオファーを待ってもらうことにもなる。
しかし、検証は他にも方法はある。
組み合わせて長期の効果もみている。
福井:
昔からそのように思っている。
調査は短期でも実際の現場では長期。
でも、そうするとノイズが入るので研究にならない。
仮説 オポチュニティーが増えたときどれだけ持続するか?そこに他の要因が入ってくる。
金融だけ見ていてもだめだろう。
アフリカはインフォーマルセクターは多い。
起業率 廃業率どっちも高い
平均ライフサイクルみるとサバイバルゲームの時にマイクロファイナンスで起業率をあげられるが
廃業率を下げられないかもしれない
うまくいっても少しかも。
Q.貸し手や借り手にとってのアプローチでよいものとわるいものとは?
福井:
マイクロファイナンスは正式に登録されているもので3500程度だが、それはほんの上澄み。
しかし中小規模は圧倒的にある。
そこでは利益率も悪くない。LIPはそこにアクセスしているし、そこに資金を出さないとよい成長は生まれない。
持続的でありながら社会的使命を果たす。
澤田:
ある村に過当競争がある。
インドで問題になり、徳政令がでたことも。
過当競争なのか適正な競争なのか検証が重要だが、研究はほとんどされていない。
産業組織論。
バングラデシュではNGOが母体が多いが、インドでは資金を外から集めるためコーポレート・ガバナンス構造という議論もある。
Q.なぜMFIがバングラデシュが多い中でそこで始めたのか?
Rutherford氏:
一つは必要とされていることに必要とされているサービスを提供すること
もう一つは自分がバングラデシュに住んでいたから。
1996年にマイクロファイナンスサービスが似通っていて違ったことを求めている人へ向けてサービスを開始した。
Q.なかなかファンドでお金が集まらないで困っていないか?また、LIPとの関係について
センムン氏:
LIPからサミックには5000万円出資していただいている。
パフォーマンス悪かったら返済額が少なくていいという仕組みなので結果的に他よりも金利が低く、ありがたい。
Q.マイクロファイナンスと商業銀行のちがい
小さい 豊かな都市部しか銀行がない
そういったことを変えるのがマイクロファイナンスと商業銀行とのちがい
金利も低くしたい
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