SRIファンドのスクリーニング手法別の動向2012年09月16日

 大和総研に伊藤正晴氏の『SRIファンドのスクリーニング手法別の動向』というレポートが公開されています。

 このレポートでは、SRIファンドをそのスクリーニング手法に応じて4つに分けています。
  ・ポジティブ・スクリーニング(環境、コミュニティ、コーポレートガバナンスなどを評価)
  ・ネガティブ・スクリーニング(たばこ、アルコール、軍需産業などを除外)
  ・両方
  ・その他

 EurekahedgeのSRIファンドデータベースを調べてみると、ファンドの数自体は大きく変わっていないにも関わらず2008年に資産額は大きく減少しており、SRIファンドも例外なく金融危機の影響を受けたのがわかります。

 また、直近のリターンの傾向として市場平均(MSCI All Country World Index)と比較してネガティブ・スクリーニングのファンドはアウトパフォームしている一方、ポジティブ ・スクリーニングや両方のファンドは市場平均以下のパフォーマンスとなっていることも興味深い傾向です。

 一方、金融危機下においては市場平均よりもマイナスにならなかった傾向も見られています。

 日本においてはネガティブ・スクリーニングする宗教的な理由などが希薄なこともあり、ポジティブ・スクリーニングが主流ですが、ポジティブ・スクリーニングでは結局CSR活動を積極的に行なっている大型株中心のポートフォリオになりがちで普通のアクティブファンドとの違いを明確に打ち出せていないように見えます。

 投資哲学を明確にするためにも、ネガティブ・スクリーニングも行ったSRIファンドがあってもいいと思うのですが・・・。

コメント

_ タカちゃん ― 2012年09月18日 00:15

ネガティブ・スクリーニングの場合はタバコの会社でMOアルトリアグループのように昔から高いリターンを投資家に提供してきた経緯があります。
アルトリアグループはある意味、最強ですね。
また、4825ウェザーニューズの場合だと、ポジティブ・スクリーニングに出てきそうですが、例の社員の過労死など、労働条件はあまりよくありませんが、パフォーマンスは優れています。
ウェザーニューズの場合は東日本大震災での東電の原発事故が起きてむしろ社会的ニーズがこれから高まると同時に、日本人だからできる強みもあります。
投資の目的とSRIの両立はできるのか?と疑問もあります。

_ m@ ― 2012年09月18日 22:15

>タカちゃん さん
SRIファンドの場合ネガティブ・スクリーニングはMOのような会社を除くので、ちょっと違います・・・。
ネガティブ・スクリーニングで消される企業が儲かる会社というのはわかりますが。

あと、ウェザーニューズはSRIファンドで投資しているの残念ながら見たことがないです。
時価総額が小さいし、これといったCSR活動が見えないので、残念ながらSRIファンドに選ばれるのは難しそうに思います。

投資の目的とSRIという意味ではオランダの場合は公的年金の投資先がクラスター爆弾を作っていたのに国民が怒ってSRIを採用するようになったそうですが、日本の場合はそもそもなんで株なんて危ないものに投資しているんだっていうような国民なのでそういう波は難しそうです。
そもそもたくさん儲けるためにSRI投資するわけではないので、単純にパフォーマンスだけでは言えませんね。
ノルウェーの公的年金も自分たちが投資するからには社会に対していい影響を与える必要があるという投資哲学に則って運用されています。パフォーマンスがガタ落ちでは困りますが、公的なお金は社会によい影響を与える会社に投資されるべきという考え方がそもそも存在します。
日本だと投資=悪というイメージが強いのでそもそもそういう考えをもつ投資家が少ないように感じます。

_ タカちゃん ― 2012年09月18日 22:48

>m@さん
参考になりました、ありがとうございます。

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