被災地応援ファンド 復興 蔵めぐりツアー(4)世嬉の一酒造2012年12月24日

蔵めぐりツアーの最後は一ノ関にある世嬉の一酒造さんです。

到着してまずは佐藤社長のお話を聞きました。

父親の代に蔵をつぶして跡地をショッピングセンターにというような話もあったそうですが、東京駅を設計した辰野金吾さんのお弟子さんの小原友輔さんの設計による土蔵は地域にとって大事な文化財でもあるため、保全しながら経営を続けていくという方針をとることになった。

震災をうけて蔵の壁が崩れて隣の家を直撃したものの、幸い空き家で怪我人などはいなかった。
ボランティアで蔵の様子を見に来てくれた大工さんが応急処置はしてくれたものの、蔵が傾いているため、補修工事をしないといずれは倒壊してしまうと言われた。
また、壁のひびも早いうちに修復しないとそこから水が入ってしまうという事で補修が必要。

ファンドの資金はまだ入っていないものの、ミュージックセキュリティーズのファンドを受けているという事で銀行からの信用度も上がり、蔵の修繕費用を前借りすることができ、無事補修工事も終わった。(修繕の模様は→こちら


お話の後はカフェの二階で鍋を囲んでの交流会です。


一ノ関の郷土料理です。

果報もち
この中のどれかの餅に小枝が入っていて、それが当たりです。
当たりの方には世嬉の一酒造さんの日本酒がプレゼントされました!

はっと鍋
丸光食品さんのところで初めてはっとというものを知りましたが、こちらの鍋も美味しかったです。


デザートは麹と豆乳のゼリー。
麹が入っているので甘酒のような味とゼリーの食感が良いです。

自分たちは八木澤商店の河野社長と同じテーブルだったので、河野社長から震災後いままでに至るお話をお聞きすることができました。
最初にミュージックセキュリティーズを紹介された時は震災で債務超過になった会社に投資する人なんていないと思っていたそうです。
そこで、リスクはしっかりと説明して欲しいと念を押して募集をかけたら満額集まったので驚いたとも。
とにかく、社員の雇用を守ることに並々ならぬ努力を続けて、今も地元に雇用を生むことに奔走している様子が伝わりました。

ツアーはここまでで、一ノ関駅で解散となりました。
その後、近くの蔵ホテル一ノ関で一泊して翌日は雪の降る中、再び世嬉の一酒造さんへ向かいました。

写真中央にあるのが元麹室だった蔵で、西洋建築と日本伝統の蔵が混ざり合った蔵です。
まだオープン前だったので蔵の写真を撮っていたら佐藤社長がお声がけ下さり、蔵の見学をさせていただけることに!

麹室だった蔵の中です。
今は石蔵クラストンとなり、結婚式場やビアホールになっているそうです。
壁のひびもしっかり補修されています。

横には冬の間、パートさんが仕事が無くならないように漬物などを作る台所ができていました。

二階に上がって、隣のいわて蔵ビール工場を見せていただきました。
佐藤社長はこの蔵に戻ってきて始めに手がけたのがこのビールだったそうです。

横から。もともとここは精米所だったそうです。
窓をあけるとほんのり麦汁の香りが。
震災の時は中身の入っている醸造タンクが中に入っているビールが揺れることで真ん中まで移動していたそうです。
恐るべし、地震の力。

こちらは瓶詰め機。
奥の方に手作業の瓶詰め機があり、以前はそこで佐藤社長も瓶詰めをされていたそうです。
障碍者の方でもできるようにとこちらの瓶詰め機を購入。ベンツと呼ばれているそうです。

元仕込蔵だった蔵は酒の民俗資料館に。
かつて作家の井上ひさしさんが中学生の頃に世嬉の一酒造の土蔵に住んでいたこともあった縁で文学館も併設されています。

かつての甑。
今はなかなか釜を使ったものを見ませんが、昔はこういうものでした。
他にも昔、酒造りに使われていた道具などが展示されています。

帆前掛け。
かつては横屋酒造という名前で世嬉の一というお酒を作っていましたが、酒蔵の名前を世嬉の一酒造に変えた遍歴も見て取れます。

一ノ関の餅文化はとにかくすごく、一年のうち300日ほどは餅を食べる風習があるそうです。
臼と杵もずらっと。
月でうさぎが餅つきする時に使うような棒状の杵もありました。

元窯場だった蔵はレストランになっています。

こちらのレストランは以前は京懐石風の料理を出していたのですが、当時のおかみさんがせっかく地元に美味しいものがあるのにという事で郷土料理レストランへ変わったそうです。


こちらでコーヒーをいただきながら佐藤社長、佐藤社長のお母様のお話を聞きました。
佐藤社長はパートさんや障碍者、夜間学校の学生さんなど地域の雇用をものすごく気にしていて、新しく仕事を作って雇用を生み出しています。
お二人のお話を聞いたり、お店の方とお話しているうちにすっかり世嬉の一酒造のファンになってしまいました。今ではもともとファンドに出資していた自分だけでなく、奥さんもファンドに出資しています。

本当に皆さんによくしていただいて、心もほっこりしながら最後は日本酒とビールをたんまり買い込んで帰りました。暖かくなったらまた遊びに行きたいと思います。

最低出資金額:10,500円〜
募集金額  :2,120万円
会計期間  :2013年4月1日より8年間
分配方針  :当初12ヶ月は無分配 13ヶ月目以後は売上金額の0.46%
仕組み   :半分寄付(5千円)、半分投資(5千円)
特典    :1口以上 蔵復帰記念パーティへの招待(交通費、宿泊費は参加者負担)
       3口以上 ビールと酒粕漬けセット
       
【関連記事】
被災地応援ファンド 復興 蔵めぐりツアー

コメント

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://shintoko.asablo.jp/blog/2012/12/24/6668449/tb