トークイベント「事業者が語る被災地の今」ヤマジュウ、歌津小太郎2013年03月09日

新丸の内ビルで3月15日(金)まで開催中の連続トークイベント「事業者が語る被災地の今」に行って来ました。

3月5日(火)は北海道浜中町からヤマジュウの工藤社長と宮城県南三陸町の歌津小太郎の千葉社長のお話でした。

ヤマジュウの工藤社長からはまさか三陸を襲った津波が北海道まで来るとは思っていなかったといった話や霧多布の街は防潮堤で守られたが、その外にあった水産加工場は機械が海水に浸かって使い物にならなくなる被害が出たとの話がありました。


札幌の大丸に直営店があったのですが商品を生産できなくなったので予約分のキャンセルや返金対応をしているうちに「お前のとこのじゃなけだめなんだ」「いつになってもいいから」とお客様に励まされて復興すると決意されたそうです。

しかし、北海道という事で様々な制度が対象外だったり、苦労されていよいよダメかという中で藁にもすがる気持ちでミュージックセキュリティーズ社に電話をすることに。ミュージックセキュリティーズ社でも北海道でもそんなに被災したところがあったとはという事で調査に向かい、一緒に事業計画を作って復興に向けたファンドを組成することになりました。

ファンドを通じてミュージックセキュリティーズ社と付き合いが生まれたことで復興庁に一緒に制度を使えないか頼みに行ってみたところ、実は北海道も対象地域に入っていたのに北海道庁はそれに気づいていなかったといった事がわかったりファンドでお金を集める以外でも助かっているという事でした。

製造設備は徐々に揃いつつあり、商品のラインナップは震災前の70%まで回復したものの冷蔵設備がないので作りおきができないのが悩みのタネだそうで、これから暖かくなるとだん厳しくなってきます。
逆に鮭を加工する作業は手作業になるのですが暖房がないのでこの季節は時々お湯に手をつけて温めながらの作業となっているそうです。

工藤社長からはお客様からの温かい励みの言葉に応えるためにも絶対に復興してみせる!という強い決意を感じました。また、ファンド募集直後に自分がツイートした応援しないと!という内容のツイートを見てどうなるんだろうという不安な気持ちで一杯だったので心強かったという言葉もいただきました。

自分にとっても浜中町は実家のある厚岸のとなり町で他人ごとのようにはとても感じられなかったのとあまり知られていないけれども北海道にも被災したところはあるんだというのを他の被災事業者さんのためにも知って欲しいという思いからでたツイートでした。今回ようやく工藤社長にお会いすることができて本当に良かったです。実家に帰った際にはお店にも伺います。


歌津小太郎の千葉社長からは元々は漁師だったが水産加工へ転身、10年くらい盛岡へ売りに行っていたら仙台の藤崎百貨店から出店しないか?と声をかけられたそうです。
デパートというものは高級なものしか売らないと思っていたので自分たちの商品のような素朴なものが売れるのか?とも思ったが初日からよく売れ、常連さんもついて毎年20%くらい成長をしていたのが津波で工場を失ってしまいました。


ご自身も一旦は避難したものの、工場に一旦戻り津波が来たので慌てて神社のある高台に避難されたそうですがその時の様子も生々しく語っておられました。

津波が引いた後、息子たちはしばらく復興までに時間がかかるからまずは地域のために働きたいと話されて実際に行動したという事も話していました。南三陸町は役場も被災したため完全に孤立してしまい、ラジオを聞いていても音沙汰がない状況だったそうです。

1週間くらいしてようやくヘリコプターで支援物資が届くようになるまでは自動車からガソリンを抜いてきて火を燃やして暖をとったりしのいでいたが、その後軽自動車くらいが通れるように道を作って物資が届くようにインターネットで訴えたりといったこともしていました。

少し落ち着いてから息子たちは未来道という避難用の道路の建設にとりかかりました。
7月には福井県から重機を持ってきてくださる方なども集まり、41人の権利者からの許可を取り付けて9月には道を完成させました。今も息子は地域のためには道の駅が必要だろうと歌津の道の駅の代表になっています。

地域のために働いた後に自分たちの会社の復興に着手したものの、当初3,000万円くらいで工場を再建できる見込みが資材の高騰などで倍の6,000万円もかかってしまいました。
国に対して希望はあるか?と言われたら全然足りていないので何をするにしても余計なことというものはありません。

いよいよ3月11日には仙台の藤崎百貨店への出店も再開します。仙台の皆さんに歌津の今を知ってもらう事から恩返しをしていきたいです。

皆さんにお伝えしたいのは東海地震など日本では他にも大きな地震が予想されているけれども津波が来た時にはまず自分の身を第一に避難すること。厳しいことを言うようだが実際に現場は地獄のようなもの。
そしてしっかりした保険に入っておくこと。被災地では加入していた保険によっても復興にかけられるお金に大きな差が出ています。


工藤社長と千葉社長のお話からは漁師が食べていたような素朴だけれども良い素材を使った、とにかく美味しいものを自信ををもって作っていたという事が伝わって来ました。

その後は新丸の内ビル7Fのレストランフロア 丸の内ハウスで提供中の被災地応援ファンド募集中の事業者さんの食材を使ったメニューを食べながらの懇親会へ。(被災地応援ウィークスは3月4日〜15日(金)まで開催中です)

SO TIREDさんではヤマジュウさんの時不知鮭炒飯&鵜の助わかめスープ。
贅沢な時不知鮭が使われています。これは本当に美味しいです。ランチもやってます。

ソバキチさんでは「温かい蕎麦に磯人を添えて」が歌津小太郎さんの磯人漬けを使っています。
いい素材を使っているので本当に味があるんですよね。

被災地応援ウィークスは15日まで開催中ですので、ぜひ足を運んでみて下さい!

【関連URL】
【被災地応援ファンド】
 北海道網元浜中丸サケファンド 募集金額6,105万円 3/9現在 52.7% 出資者428人
 歌津小太郎こぶ巻ファンド   募集金額4,240万円 3/9現在 20.2% 出資者221人
  

コメント

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://shintoko.asablo.jp/blog/2013/03/09/6741316/tb