文化放送「いとうせいこう GREEN FESTA」で間伐材割り箸が紹介されました2012年09月14日

 月曜19:30〜20:00 文化放送で放送されている「いとうせいこう GREEN FESTA」で飛騨高山での間伐材割り箸と木質ペレットの取り組みが紹介されました。


 飛騨高山スペシャルと題して9月3日、9月10日の二週にわたってトビムシワリバシカンパニーの竹本吉輝社長がゲスト出演されました。一週目はいとうせいこうさんが気に入っていた印籠博物館の話や飛騨産業さんの話、二週目は飛騨製箸、木質燃料の清水社長もゲストに加わって間伐材割り箸と木質ペレットの話が話されました。

 9月10日放送分のまとめです。

清水社長:

 東京にも住んでいたが実家の銭湯を継ぐために帰ってきた。その時薪を使うことに。

 5年前に原油の値段が上がった時にホテルが安い値段の燃料について聞きに来た。

 その後真面目に検討されてホテルに大型のボイラーが入って90%程はペレットに転換された。


竹本社長:

 箸工場とペレット工場を併設しているのが画期的。

 それぞれではなかなか難しい。物を作って端材で燃料を作ると採算が取れるようになる。

 飛騨高山では木質ボイラーでペレットを大量に使う仕組みがあった。

 そこに間伐材の利用としてワリバシ作りを一緒にやらせてもらえばいい生産体制ができるのではないか?

 という事でワリバシのラインをお願いしたら、やってもらえた。


清水:

 もともとワリバシはもっとこじんまりと考えていたが、大掛かりなことを提案されて悩んだがやることにした。もともと親戚も箸を作っていた。

 自分が子供の頃は親が端材をもらってきて風呂の燃料に使っていた。30年の時を得て同じようなことをやっている。


竹本:

 2交代で年間6千万膳の生産能力がある。日本全体での割り箸使用量は年間250億膳。

 国内では(国産材)最大の製箸工場。間伐材をどう使うか意識をきちんともった工場である。

 間伐材で工業製品を作るのはなかなか大変。安定供給されないため。

 日本にも6千万膳作れる工場はあるが、間伐材ではなく輸入材などを利用している。


 間伐材割り箸が多く使われるようになるとこの地域の間伐がかなり進むようになる。

 立派に育った木を建築資材に使うのが林業の王道だが、それに向かない木を何に使うか?


清水:

 節があっても節をよけて割箸に。

 節が2つあったらペレットに。これまでの会社では箸に使える部分を箸に、残りはゴミになっていた。

 ここの場合は箸に使えない部分はペレットに。オガコも利用する。ゴミはでない。100%利用する。


竹本:

 節の多い間伐材が多い現状においては画期的な取り組み。


清水:

 割り箸とペレットどちらか一方では(採算的に)難しい。

 ワリバシにできるのは20%程度で単独では採算にのらない。

 普通の間伐材(小径木)で箸を作ったのは日本で初めてだと思う。


 伐り出されてきた間伐材。これまでは山に捨てられていたものも多いが、まず持ってくる。

 製材所で板にする。厚さは16mm

 これを積み上げて2週間くらいかけて天然乾燥。

 そのあとバイオ乾燥。木で囲ってあるもので木の水を出す力を生かした乾燥機。

 人間も入れるくらいの温度。自然に近い形でじっくり乾燥させる。4日くらい。

 温度の割には早く乾燥させる。


 続いて適度な長さに裁断。

 24枚ついたギャングソーで切ると25膳の原型ができる

 製箸機に入れると1秒に1本きれいな箸が出てくる。

 1年に6000万膳の生産能力。


 割り箸作りの行程で出たオガコは畜産業へ。

 節の部分はペレットに回される。これが60~70%。


 各工程で箸にする部分とそうでない部分を分けることで無駄がない。

 板の段階で節が多い場合は最初からペレットにしてしまう。


 オガコは飛騨牛の寝床に利用される。

 牛にフカフカのオガコが喜ばれる。すぐ寝っ転がって寝る。


 杉は一般的に柔らかいので使いにくいと言われているが、飛騨は寒いので丈夫という性質がある。


竹本:

 トビムシも色んな地域で木を見るが、飛騨は目が詰んでいてワリバシにも向いている。

 ワリバシを作る時によく、木がなくならないか?と心配されるが、今までは間伐をして運んでくるコストが合わないため、そのまま捨てられていた木が多かった。


 日本で消費する割り箸が全て国産間伐材になっても、切り捨てられた木の1/4でしかない。

 ワリバシのために改めて木を伐る必要はない。

 森の手入れとして木を伐ったものをこれまではコストが見合わず捨てていた分の有効利用 ワリバシができる。


 切り捨てられた木が使われる。

 

 もったいないからという情緒論ではなく、ちゃんと山にお金が返ってくる
 未来の山の投資に繋がる。短期的にも長期的にも森の循環に資する

清水:

 灯油や重油も高くなっているので、ペレットストーブを見直す動きも。

 全木ペレットがボイラー向け。ストーブ向けがホワイトペレット。

 温風と輻射熱がある。家でも手軽に使える。ほとんど煙は出ない。


 ペレットをどういう風に循環していくか?

 地域で地産地消で自然エネルギーを使うことについて飛騨高山は現実解。


 箸1本作る度に間伐が進む喜びを感じる

 そういう意識を持って使って欲しい。森がよくなるきっかけに。


竹本:

 箸袋にメッセージを発信する。

 日本人が一番身近に使う木工製品がワリバシ。

 お手元で伝えられる3分間が箸袋


マイ箸を使っていた人にもエコ膳を意識して使って欲しい


竹本:

 もったいないものを使う精神もあるが、使えば使うほど日本の森が豊かになっていくのがワリバシ。

 使い続けて欲しい。

 都会の食のシーンも豊かに、国土も豊かになっていく都会の人も積極的に参加できる場。


清水:

 安心安全。薬は一切使っていないし漂白剤も使っていない。杉の香りがするのがその証拠。


竹本:

 間伐材割り箸の購入はワリバシカンパニーで検索を(→ワリバシカンパニーストア


クローバー・アセットで浪花おふくろファンド担当者が一斉に退職2012年09月15日

浪花おふくろファンド担当者3名が退職

クローバー・アセットマネジメントで浪花おふくろファンドにこれまで携わっていた中心メンバーが9月末をもって退職する旨がアナウンスされています。

 ファンド担当者:石津 史子氏、中井 朱美氏

 ファンドマネージャー:久保田 徹郎氏
  
 石津さん、中井さんは一般家庭の財産形成には投資信託が一番という想いをもって金融の素人でありながらも体当たりで浪花おふくろ投信という運用会社を立ち上げました。
 思ったように資金が集まらず、楽知ん投信、かいたく投信と合併してクローバー・アセットマネジメントとなりましたが、その後も大阪を基点に積極的にセミナーを行い、名前の通り浪花のおふくろさんにじわりじわりと支持を集めていました。
 女性の口座開設者が半分以上、顧客の70%が大阪、近畿地方というまさに地方に根ざした運用会社だったのですがおふくろ便りによると経費を徹底的に削減するために東京での業務に統合するという決断に至ったそうです。

 クローバー・アセットマネジメントの経営がかなり厳しい状況にあるのは こちらのエントリー でも書いた通りですが、すっかり資金の流入も落ち着き、セミナーの開催も停滞している東京の2ファンドと比較して浪花おふくろファンドは愚直にセミナーなども開催して、投資検討者、ファンド保有者へのサポートに熱意をもって担当されていました。

 資金も3ファンドの中で最も多いのが浪花おふくろファンドで、事務所を閉じるなら東京だろうなと思うのですが、残念ながら割を食ったのが大阪にあった本社となってしまったようです。

 これまでわが子のように接していたおふくろさんが、わが子を生かすために苦渋の決断をされたのだと思いますが、お二人が辞められることで浪花おふくろファンドの魂は抜けてしまうと思います。魂の抜けたファンドは償還すべき、それが自分の考えです。

 実際、おふくろ便りという月次レポートの他に発行されていたファンド創業者からの思いのこもったレターは退職を機に終ってしまいますし、月次レポートでもこれまであった顧客情報(口座開設者数、地域別口座数、男女比率)が9月号では省略されています。

 月次レポートから浪花のおふくろさんに支持されていたファンドです!と訴えていた顧客情報を消してしまった事は、このファンドが浪花のおふくろさん向けのファンドでなくなってしまった事を早くも物語っているように思えます。

 石津さんは『これがうちらの投資信託や!!浪花おふくろ¥奮闘記』という本も今年の3月に出版されていました。それだけにわずか半年後にこんな事になったしまった事に人一倍悔しい思いを抱いているのではないでしょうか?

 おふくろ便りの最後にQ&Aがありました。

 なぜ3人は辞めるのですか?
 
→ファンドを継続するためには経費削減は必要です。そのため、東京にすべての活動を集約することになったからです。

 自分は浪花おふくろファンドを購入していた訳ではない部外者ではありますが、3つのファンドのうちで、最もやってはいけないことが大阪から撤退することだったと思います。ファンドを1本に統合するなら浪花おふくろだろうなと思っていましたし、かいたくファンドの解約資金の一部で浪花おふくろファンドを購入することも検討していました。でも、今回の動きを見るとクローバー・アセットマネジメントの口座を閉じるのが最もよい選択だと感じました。


かいたくファンド、らくちんファンドは3ヶ月でファンドマネージャー交代 

 今回の退職騒動で割をくったのは浪花おふくろファンドの受益者だけではありません。ファンドマネージャーの久保田さんはらくちんファンドの西生さんがコンプライアンス室長に異動することによる、かいたくファンドでは上原さんの退職による後任ファンドマネージャーになっていたのです。

 わずか3ヶ月前にファンドマネージャーが交代したばかりなのに、また変更するの?という感じです。

 かいたくファンドは月次報告書を電子版で受けとる顧客むけにメールで案内しているのですが、今回のファンドマネージャー交代についてメールの文面には一切書かれていません。

 さて、本日2012年8月分の「かいたくファンド」月次運用レポートをお届けいたします。
 お楽しみいただけましたら幸いです。

 ファンドマネージャーがまた交代するという重要事項を書かずに「お楽しみいただけましたら幸いです。」と書くセンスが信じられません。もともと、かいたくファンドはよくファンドマネージャーが交代するファンドだったのですが、いつもいなくなる時はあっさりとしたものでした。情報開示に対する意識の低さを感じて何度か伝えているのですが、一向に良くなる気配がありません。

 そして、相変わらず後任のファンドマネージャーが何者なのか書かれていません。
 前回は久保田さんという事で、浪花おふくろファンドを知っている人であれば、あの久保田さんかとわかったと思いますが、今回はクローバー・アセットマネジメントの新社長の宮内 鋭氏になりますと書かれていますが、運用経験がある人なのかどうなのかもわかりません。

 だったら、コンプライアンス室長になった前らくちんファンドのFM西生さんを戻してよというのが普通の感覚ではないでしょうか?

 しかも今回はらくちんファンド、かいたくファンドともにHP上にファンドマネージャー交代についてのリリースが書かれていません。久保田さんに変わるときにはリリースが出たのに、なぜこういう対応になってしまうのか?

 まずは後任ファンドマネージャーがどういう人物なのかファンド保有者に向けて紹介することを速やかに行なって欲しいです。

 3本のファンドを立ち上げた方がファンド担当者から姿を消してしまった今、魂の抜けたファンドだけが残ってしまったように見えるのですが、これからどうしていくつもりなのか?そのあたりも聞いてみたいですし、4本目のファンド組成という考えはまだ残っているのでしょうか?

 クローバー・アセットマネジメントには残念な気持ちで一杯です。

 rennyさんのブログでクローバー・アセットマネジメントにもの申す!というアンケートをとっています。受益者の方は当事者として、そうでない方も第三者的な立場でぜひ今回の件についてご意見をお寄せ下さい。(アンケートに寄せられた声はこちらで見られます)

SRIファンドのスクリーニング手法別の動向2012年09月16日

 大和総研に伊藤正晴氏の『SRIファンドのスクリーニング手法別の動向』というレポートが公開されています。

 このレポートでは、SRIファンドをそのスクリーニング手法に応じて4つに分けています。
  ・ポジティブ・スクリーニング(環境、コミュニティ、コーポレートガバナンスなどを評価)
  ・ネガティブ・スクリーニング(たばこ、アルコール、軍需産業などを除外)
  ・両方
  ・その他

 EurekahedgeのSRIファンドデータベースを調べてみると、ファンドの数自体は大きく変わっていないにも関わらず2008年に資産額は大きく減少しており、SRIファンドも例外なく金融危機の影響を受けたのがわかります。

 また、直近のリターンの傾向として市場平均(MSCI All Country World Index)と比較してネガティブ・スクリーニングのファンドはアウトパフォームしている一方、ポジティブ ・スクリーニングや両方のファンドは市場平均以下のパフォーマンスとなっていることも興味深い傾向です。

 一方、金融危機下においては市場平均よりもマイナスにならなかった傾向も見られています。

 日本においてはネガティブ・スクリーニングする宗教的な理由などが希薄なこともあり、ポジティブ・スクリーニングが主流ですが、ポジティブ・スクリーニングでは結局CSR活動を積極的に行なっている大型株中心のポートフォリオになりがちで普通のアクティブファンドとの違いを明確に打ち出せていないように見えます。

 投資哲学を明確にするためにも、ネガティブ・スクリーニングも行ったSRIファンドがあってもいいと思うのですが・・・。

鎌倉投信セミプロ向けセミナーレポート (速報版)「運用会社としての鎌倉投信」2012年09月16日

 9月15日(土)に鎌倉投信本社で開催されたセミプロ向けセミナーに参加してきました。

 運用オタクと言われる鎌倉投信運用責任者の新井さんからみっちり鎌倉投信の運用のキモを語っていただきました。投信会社オタクな自分としては運用会社の本質をここまではっきり語っていただいた事がとても嬉しく、渾身の資料と説明をしっかりレポートしたいと考えました。

 新井さんは前職のBGIを最高の運用会社と尊敬し、インデックスからエンハンスドインデックス、ヘッジファンドまであらゆる運用をやってきた経験があるそうです。
(訂正)新井さんがiSharesシリーズやソニー銀行のMONEYKitスタンダードシリーズに関わったという記述がありましたが、新井さんが直接担当されたものではなかったそうです。


 大手ができることをやっていてもすぐに潰されてしまう。大手が絶対に参入できない事をやってやろうという気概が感じられました。職人さんですね。

 という事で速報版でさらっと概要をレポートした後、詳細版で自分なりの補足を追加しながらじっくりまとめていきたいと思います。(概要でもボリュームはありますが・・・)


セミプロ向けセミナーを開催する理由


 一般の方向けに専門用語を使って説明しても理解してもらえない。

 自分たちの商品性をいかにわかりやすく説明するか?という事に注力してきた。

 2年半やってきて専門用語を使っても理解してもらえる人がいるのではないか?という感覚になり、テストケースとしての開催となる。

 これから、トライ&エラーを繰り返しながら初心者以外でもっと詳細に知りたい人を対象とした情報開示について検討していきたい。



鎌倉投信の社屋はなぜ古民家か?


 日本の社会問題を解決する会社に投資するという哲学をうたう以上、自らも当事者になる必要があると考えた。その回答がこの古民家。

 古民家再生からスタートして、裏山の間伐などの管理のほか、畑をやったり規模は小さいが自分たちも当事者としてやることが大切。


 東日本大震災の時、皆さん心配して電話をいただいたが社員ではなく古民家は大丈夫ですか?という声だった(笑)古民家は免震構造になっていて土台の上に乗っかっているだけ。ひどい揺れの時は土台から落ちるだけですむ。倒壊するということはない。


 また、万が一の場合でもバックアップサイトを横浜に用意している。(こちらはちゃんとしたビル。古民家ではありません。)



日本株に対する仮説


 『社会的問題を解決しない限り、日本株の長期的な上昇はない』


 問いかけ:日本株にベータは存在するのか?


 1989年から長く株価は停滞しておりモダンポートフォリオ理論で日本市場は説明できないというのが学者の意見。


(余談)

 新井さんは病気で前職を辞めた際、日本株におけるモダンポートフォリオ理論で説明できないことに対する自分なりの解を証明付ける研究をしようとしたそうです。しかし、自分は運用者であり当事者であるという事に気づき、運用者として現場に復帰することになりました。


 日本株はリスクの割にリターンが期待できない低成長市場ではないのか?


 日本の製造業の特徴として時価総額の大きな会社群は世界シェアが少なく、時価総額の小さな企業群に世界シェアが高い企業が存在する。グローバルニッチなマーケットにおいてトップシェアをとる小さな会社が多い。


 ここに日本株が長期的に上昇できず割安に放置されている原因があるのではないか?


 低成長市場(国)への投資手法

  □ ニッチなイノベーション

  □ 物・サービス飽和時代のビジネス→共感型ビジネス

  □ 社会的問題解決型ビジネス

  □ 集中投資



市場に対する仮設


 『市場は基本的に効率的である。ただし、例外的に小さなアノマリーは存在する。しかし、アノマリーも安定的ではない。』


 アノマリーは常に存在するが、常に変化している。企業が時代の流れについていけないと衰退していくのと同様に投資手法についても時代に合わせて変化させる必要がある。


 市場のアノマリー例

  ・前日の海外市場と同じ動きをする

  ・市場は情報に過剰反応する

  ・主な市場参加者は市場ごとに異なる(東証一部:機関投資家 新興市場:個人投資家)



インデックス・アクティブ運用について


 『対インデックスでアクティブマネージャーの負ける可能性は高い』

 (が、ゼロではない)


 鎌倉投信ではインデックスについていかない方法論を考えた。

 ・TOPIX以外に投資する

 ・タイミングを分散する

 ・キャッシュを一つの資産として保有する



個人投資家の特徴と鎌倉投信のアプローチ


 □ 過去の失敗体験に引きずられる  → 低いボラティリティ

 □ 下方リスクへの低い許容度    → 安定的なリターン

 □ 知識レベルに大きなばらつき   → シンプルな商品(ロングオンリー)

 □ 市場が下がった時に売却する習性 → 投資先を応援する仕組みづくり


補足)

 市場が下がった時に売却する習性に対する対策としていい会社の社長の話などを紹介することで、株価が下がった時でもいい会社だから持ち続けて応援しよう、もしくは今こそ応援しようというモチベーションにしてしまおうという仕組みがユニークだと思いました。


 甘い(きれいな)言葉とも一部で言われる言葉で話しているのは投資初心者にもわかりやすい言葉で説明しようとした結果であり、その裏にはしっかりとした哲学が隠されていました。


 エモーショナルな説明とも言われますが、これはアップルが新製品発表でスペックを自慢げに発表するのではなく、これを買うとライフスタイルがこんな風に変わるんだ!という形でプレゼンしていたアプローチに近いのかなと自分は感じています。


  アート  :企業調査、情報開示

  サイエンス:投資(組入)判断、運用


 意識的にこのようにしているように見えます。



運用者の特性


 ・ファンドマネージャーのサラリーマン化

   → インデックスの呪縛からの解放、新規上場銘柄や直近業績の悪い銘柄をあえて保有

 ・ファンドマネージャーとアロケーションマネージャーの分断

   → キャッシュマネージ

 ・ファンドマネージャーとポートフォリオマネージャーの統合

   → 銘柄選択(FM)とリスク管理(PM)のバランス

 ・第三者機関への依存(BARRA、SRI)

   → FMが直接訪問することによる主体的な調査体制


補足)

 銘柄選択をするファンドマネージャーは常に買いたい株があり、アロケーションマネージャーはリスクを抑えるために向いている方向が違う。最近ではファンドマネージャーがリスク管理をするポートフォリオマネージャーを兼任にする傾向があるが、そうするとリスク管理が疎かになる。

 さわかみ投信がアセットアロケーションをしっかりやるといいながらもなかなかうまくいかないのはこのあたりに問題があるのではないか?と自分は感じました。



鎌倉投信の目指す運用


 『企業業績に長期的に追随したパフォーマンスを残す』


 どうしたらよいか?

  ・インデックスの説明力を下げる(投資先市場、業績、本社所在地などの分散)

  ・リスクを抑える努力をし続ける


補足)

 ウォーレン・バフェットはバークシャー・ハザウェイの価値を投資先企業の純資産価値で表現していますが、鎌倉投信の場合も投資先企業の純資産に自己資本比率をかけたものに配当再投資分を調整したもので企業業績の指数を独自算出しています。

 そちらは設定来でほぼ右肩上がりに+12%程度の成長をしており、長期的には株価が企業価値に収斂していくという仮説にたつと、結い2101の基準価額もそちらに近づくと考えられます。


 インデックスを横目に見ながら運用するのではなく、本当の意味でのベンチマークは投資先企業の企業価値を指数化したものという事がわかりました。新井さんもそこと比較して基準価額が低いのは自分の運用の至らなさのせいで申し訳ないが、できるだけ近づけるように努力していると話していました。



キャッシュについて


 キャッシュは一資産として扱うもの


 どのように比率を決めるか?

  →取っている流動性リスクへの対応(解約対応など)

  →リスクを上限(10%)以下に抑える

  →ショートフォールリスクへの対応

    キャッシュ40%だと株が30%下がった場合に感応度が50%程度



結い2101の運用について


 ・投資先の企業を等配分で保有

 ・等配分からはみ出た分を機械的に売買ではなく、売却時に利益が出るような価格で購入するような

  モデルがある。クオンツ運用。(このモデルが肝)

 ・運用モデルは新井さん以外でもメンテナンスができるようにしている。

 ・300億円までは現在のモデルで対応可能

 ・取るリスクと取らないリスクをはっきりさせること

   取るリスク   株式の本源的価値、投資先の企業規模の小ささ、流動性

   取らないリスク 市場予測、株価予測、銘柄や業種ウェイト、投資タイミング、積極的TAA



直販のメリットを生かす


 ・入出金を把握できるため、それを前提にリバランスできる

 ・流動性リスクを取る



運用と経営


 『運用と経営は分離すべき』


 自身も役員ではあるが、経営にはあまり関与しない。

 経営を意識してしまうと運用が曲がってしまうことがある。

 そういう意味で運用者として鎌田社長からは独立している意識を持っている。

 運用会社は上場しない方がいい。


補足)

 経営と運用が独立しているというのは大事だと思います。経営サイドはこういった金融ベンチャーで大変だと思いますが、あくまでも運用サイドは自らの投資哲学を愚直に続けるのが仕事です。こういった言葉をはっきり聞けたのは良かったです。鎌田さんは大変だと思いますが・・・。

勝間さんとカツマーは違います2012年09月17日

 先日、飲み会で出た話題なのですが、「勝間和代さんは凄いと思うけど、カツマーは自分が同じようにできないとショックを受けてしまうのは、いい大人が自分をわかっていない」というのがありました。

 自分も同じ意見で、いろいろ凄いな〜と思う方々とお会いする機会に恵まれていますが、いい所は取り入れようとしますが決して無理はしませんし、自分のできることをしようとしています。(だからこの程度の人間なのですが・・・)

 鎌倉投信セミプロ向けセミナーで投資経験の浅い人が怖くなってやめてしまわないようにリスクをしっかり管理してあまり下がらないような運用をしているというお話を聞きました。

 インデックス投資家の中にはキャッシュを持つことで、敗者のゲームでチャールズ・エリス氏が言うところの「投資家は『稲妻の輝く時』に市場に居合わせなければならない」が実現できなくなるのでは?という事を考える方もいるかもしれません。

 もし、これまで一度も暴落を経験したことがないのであれば、稲妻に打たれて死んでしまう前に市場の中でも安全な場所に退避した方がいいでしょう。

 雷雨の中で傘をさして外にいるのは想像以上に恐ろしいことです。

 投資家の集まりになんども参加させていただいていますが、インデックス投資家の方は理論的な裏付けがあるが故に自信過剰な傾向があると思います。シミュレーションしてみればという人もいますが、本当のお金とシミュレーションのお金は違います。

 リーマン・ショック、金融危機の際は自分も毎日月給分のお金が溶けていくのを見ていました。
 さらにいうと2000年に自分は投資を始めたので、最初の数年はずるずるマイナスばかり続いていました。

 インデックス投資ブロガーの中にはかなり株式比率を高く設定したまま暴落の嵐も乗り越えた方がいます。でも、あなたは違うかもしれません。

 水瀬ケンイチさんが口を酸っぱくして生活防衛資金が大切と話されるのもそのためです。

 アメリカでは100-年齢の比率で株式を持つといいと言われていますが、それはしっかり長期投資が実現できた場合に有効な方法です。

 一度暴落を経験するまでは保守的な運用をするのが無難かと思います。

 上昇相場でずいぶん差をつけられたと思っていても、意外と暴落時に落ちてきますので・・・
 :マイバランス30(株式30%、債券70%のポートフォリオ)
 :マイバランス70(株式70%、債券30%のポートフォリオ)