草食投資隊ワンコインゼミ in 深谷「30歳からはじめるお金の育て方」2013年04月27日

少し前の話になりますが4月14日(日)に埼玉県深谷市で草食投資隊のワンコインゼミナールが開催されました。午前中は渋沢栄一の生家などを訪ねるショートトリップがオプションで開催されましたが、メインはこちらです。

草食投資隊の2冊目を出版したという事で今回のテーマは「30歳からはじめるお金の育て方」でした。
これまで投資をやったことのない初心者でも投資ってなんだろう?というのが伝えたかったテーマです。

草食投資隊ワンコインゼミIN深谷「30歳からはじめるお金の育て方」
日 時:2013年4月14日(日) 14:30〜16:30
場 所:深谷駅ギャラリー1
主 催:レオス・キャピタルワークス、セゾン投信、コモンズ投信
講 師:草食投資隊(渋澤健【コモンズ投信】、中野晴啓【セゾン投信】、藤野英人【レオス・キャピタルワークス】)、岩城みずほ(オフィスベネフィット)
参加費:500円

■ 草食投資隊の自己紹介

渋澤:最近は年に何回か深谷に来ている。昨年草食投資隊を東京以外で開催しようという話になり、深谷の名前があがった。我々がしている緑色のネクタイ。これはファッションセンスではなく、3年以上前に日経マネーという雑誌の企画でこの3人が鼎談をして盛り上がり、本を作ることになった。それで表紙の撮影に行ったら用意されていたのがこのネクタイ。

中野:三人で色んな場所でセミナーを開催してきたが、渋澤さんがいなかったら深谷で開催という事はなかったと思う。午前中に渋沢栄一を改めて見て偉大さを再認識した。百数十年前に日本に初めて誕生した長期投資家なのではないか。

藤野:草食投資隊のセミナーで私が出ると、皆さんからなんとなく君は草食かな?という表情をされる(苦笑)。父がプリマハムで働いていて、いつも食卓にはハムが出ていたような家庭でバリバリの肉食。ただ、今日は健康な食生活についての話ではないので・・・。投資の肉食、草食とは何か?

投資における草食というのは共存共栄であること。草食系動物というのはゾウ、キリン、カバ、サイなど意外に大きくなる。草食だからといって小さくて弱いわけではない。意外にパワフル。ゆっくり大きく増やしていくのをモットーにしている。

セゾン投信、コモンズ投信、レオス・キャピタルワークスの3社の預かり資産を集めると1000億円になる。我々3社は毎月、預かり資産が増えていて、このようにずっと増え続けるというファンドはほとんど無い。こういったファンドが投資の王道だと思っているが、押し売りはしない。今日セミナーに来たからといって明日から電話がかかってくるという事もない。うるさく説明はしますが、営業はしません。
ゆっくり、小さく増えていく。


■ ためふやとは?

岩城:最初のテーマ。ためながらふやす「ためふや」とはどういうこと?

中野:20世紀は経済がどんどん大きくなった時代だった。当時はお金は預金しておけば増えていた。それはお金が足りなかった時代だから。世の中にどんどん新しいビジネスが誕生しており、預金することで銀行を経由して世の中にお金がいい形で回っていた。これが私たちの祖父母や親の世代の話。こうして日本は大きな成長を遂げた。

今でも一生懸命銀行に預金しているが、今は金利がほぼゼロで世の中にお金が働きに出て行かない。これを少しずつでも考え方を変えていきましょうというのが本の主旨。

ためるだけではなく、ふやすことも意識しましょうということ。

ふやすにはどうするか?お金を動かしてあげる。渋沢栄一のように世の中のため、人のためになる本物の素敵な投資をしましょう。

渋澤:渋沢栄一が日本で最初の銀行、第一国立銀行を設立した。当時銀行は無かったので銀行といえどベンチャービジネス。小さなお金を銀行が集めて大河のようにお金を産業の発展に使うのが目的だった。渋沢栄一が銀行を始めてからずっと経済成長に役立てられるお金を預けるという流れが出来ていた。

アベノミクスで20%円安になったという事はどういうことなのか?
日本円の価値が世界的に見ると20%失われたということ。
お金を社会に循環させることが大事。利益の事をリターンと言われるが、いい社会となって自分に返ってくることもリターン。「利殖」利が殖えるということを渋沢栄一はよく使っていた。

投資信託は悪いイメージやニュースなどもあるが、社会や次世代のためになるような長期投資を考えている。

藤野:アベノミクス相場で前から投資をしていた人で疑り深い人というのは既に一度売ってしまった人たち。彼らはもうこれ以上相場に乗れないのでイライラしている。他には投資をしていなくてこれからという人もそう。上がるのはいいんだけれどもザワザワしてくるのが一般的。どうしても動くものに目が向いてしまう。

三人は大きな経済の流れを見ている。いい会社に投資しようよということ。
アベノミクス相場についての解説をすることもできるが、そういった事に惑わされないのが大事という事を皆さんにはお伝えしたい。常に変わらず行動するということ。上がっている相場、下がっている相場にいちいち対応していると振り回されることになる。


■ 長期投資について

岩城:長期投資について具体的には?

中野:長期投資ってどのくらいの期間なの?という質問をよく受ける。一般的には1ターム10年くらいだけれども、何年でいくらくらいのお金をつくりましょうというような話ではない。既存の銀行、証券会社では長期というと3〜5年くらい。それは長期とは呼べない。期間ではなく、心の持ちようとして長い目で見るようにして欲しい。

経済=我々のよって立つ社会という事を自分に問いただして欲しい。日本がもう一度元気でニコニコしている社会にしたい。究極的にはずっと投資家でいて欲しいので期間についてはどうでもいい。長い時間軸でお金を育てていく。社会経済、人類がもっと豊かで笑顔が増えるように想いをこめてお金を働きに出してあげる。

渋澤:20代、30代はアメリカのヘッジファンドなどの金融機関に勤めていた。その頃の自分にとって長期投資というのは1週間ほど。人によっては1年かも10年かもしれない。長期投資というのは共通言語になっていないので自分は長期投資をしようとしたとき30年にしようと考えた。

40歳で子供が出来た時に、この子が大人になる時に向けて積立を始めた。それが自分にとっての始まり。私にとっての長期投資は今から次の世代につなげていくことだと思う。

犬や猫の記憶は20秒しかないらしい。人間は未来のことを考えて不安になることのできる唯一の動物。そのため、宗教なども生まれる。そのかわり、人間は未来に希望をもつことができる。

長期とは異次元ということ。新しい環境でも進化し続けられる会社に投資する。深谷で藍玉がだめになったので葱を植えたという話を聞いて環境や時代に合わせて変化し続けられるということを考えた。人間だから未来に向けた行動ができる。

藤野:明治大学でベンチャーファイナンスの講義を12年やっている。1年前に学生にアンケートをとった。
ベンチャーのイメージは「ブラック」。ファイナンスのイメージは「ダーティ」。これが商学部の子の持っているイメージ。ベンチャーファイナンスを学びに来ているのに。じゃあ別の学部の子だったら一体どう思っているのか・・・。

嫌金主義になってしまっている。明るい話をしていてもネガティブな人がたくさんいて、ネガティブな事を理路整然と話し、自分たちの国はダメだというのをカッコいいと思っている。エリートの仕事は世の中を良くすること。ダメだと断定するようはエリートはいらない。長期投資で必要なことは未来を信じられること。

自分が主人公になって社会を良くするんだと賭けること。ただ流れに乗っているだけではダメ。
下りの乗り物に乗っているだけという人が日本全国津々浦々にたくさんいるが、なぜ株式投資は不人気なのか?

今日ここに集まっている人の顔つきはいいが、証券会社がセミナーを開催すると銭ゲバのような人が集まってくる。ずっと寝ていて質疑応答になると起きて上がる銘柄を3つ教えてと言ったり。皆さんは顔つきがいいので今まで投資をしていなかった人たちと新しい一歩を踏み出したい。

岩城:私たちは具体的に何をすればいいのか?

中野:今日のご縁で心が動いた人がいれば次のステップをどうすればいいのか?仲良くなっても口座開設まで半年くらいかかることがある。うちに帰って長期投資をしようとしたらご主人に怒られるケースも。雪を溶かしたつもりでもまた凍ってしまう。自分のお金を見なおして欲しい。

銀行に預けたお金は働いていないし何も生み出していない。20世紀は民間の人のお金を銀行が民間の経済に乗せていた。これが最も大事な銀行の役割。ところが今は残念ながらなかなか働かせていない。預金が余ってしまっている。そこで金利をゼロに近い水準に。

お金を動かさないでいるとダメになっていく。お金はどこかで動かしてあげると元気に働き出す。ちょっとずつ働かせていく。消費もお金の働かせ方の一つ。大事なお金は別の置き場所があるんだと知ってほしい。
自分さえ儲かれば他の人はどうなってもいいというギャンブルとはそこが違う。お金が社会に付加価値を生み出していく。

渋澤:最初の第一ステップは皆さんが既にやっていること。暖かい休日にこうやって学びに来ている。
第二ステップは我々の会社のサイトを見に来て欲しい。他のところも興味があれば。
次はヘッジファンドに勤めている時に日本株について上司に説明していたら言われた言葉。
「理屈で考えるな」ハートで感じろということ。

間違いかもしれないが少額で始めてみる。ひふみ投信がすごいパフォーマンスだからといって全部それにするというのは藤野さんもそれはちょっとと言うと思う。ネット証券でも少額で買うことができる。1000円や500円から。SBI証券やマネックス証券、楽天証券など。

藤野:個人投資家には少額でゆっくりすることと話している。いつなんですか?と聞かれてもいつかはわからないと話している。そうすると「運用者じゃないか!」と言われる。トレンドはある程度見えるが当たるわけではないし、当てられるわけでもない。難しいということをわかっている。

日経新聞の取材でもそのあたりが問題になった。カリスマなのにわからないんですか?なぜパフォーマンスが出るんですか?と言われた。イチロー選手も一度もボールが止まって見えたことはないと答えている。ただ、どうすればヒットになるか死ぬほど考えて努力して結果を残している。

カリスマ的にわかっているのではなく、わかっていないとわかっているので「わかっている」と言う人よりも成果が出ている。でも、来月はどうなるかわからない。長期的に日本はよくなると思う。それでよくなる会社と一生懸命探して投資している。日経平均がどうなるかというのには興味がない。

テレビなどで日経平均がいくらになるというのを話しているのを見ていて「えーっ!」と思う。それで予想が外れてもまたテレビに出ている人もいる。それはなぜか?皆さんの中に誰かに決めて欲しいという意識があるから。

株式市場を裏で動かしている組織があると思っている人もいる。それで「藤野さんはそういう組織と交流があるんですか?」と質問されたこともある。日本の株式市場は営業利益と株価が10年単位で見ると一致している。そうすると悪の組織は会社の利益を操作しているんですか?ということになる。福島第一原発の事故のルポを読むと政府は何も考えていないことがわかる。依存心を捨てて小さく始めることが大事。

岩城:ビジョンをもってもらうこと。10年後の自分を考えたことのない人が多い。それで闇雲に投資を始めても長く続かない。自分が10年でどのくらいのお金が必要なのか知るとびっくりされる。年金定期便を見るとだいたいの年金がわかるので足りない分を今から準備するような目的意識を持つとよいのでは。

複利でお金を増やしていくことが大事。雪だるまのように最初は小さいけれども転がしていくとだんだん大きくなる。時間とともに効果が大きくなっていく。単利というのは元本だけ運用すること。時間を味方につけて複利で増やして欲しい。


■ 長期投資のよいところ

岩城:長期投資するとどんないいことがあるか?

中野:一人の生活者として自分もファンドにお金を入れた。給料からも頑張って残して積立をしている。リーマン・ショックの時にセゾンのファンドも半分くらいまで減ったし、世の中の多くの人も投資を止めてしまった。でも、自分はお客様と一緒にそこで止めずに積立を続けた。これは下がった時も買い続けたすごい投資家。円高の逆風もあって長くかかったがずっと下がり続けるということはない。アベノミクスで果実が実った。

これが誰でもできる財産づくりの事例。信じられるかどうかは人類は成長を続けると信念をもつということ。成長があればお礼が返ってくる。

渋澤:長期投資を始めてよかったことは仲間が増えたこと。ライバル会社の人と会社では言えない愚痴を話したり。今日も何度も同じ話を聞いているのに東京から深谷まで応援に来てくれている人たちもいる。
こういった横の仲間意識がある。積立をやっている人は売り抜けようという考えを持っていない。意識が高く、気持ちがよい。仲間が増えると希望が持てる。東京だけでなく深谷にも北海道にも香川にも。未来に対して希望を持っているといいことがある。悪い時もあるが。

藤野:長期投資は成績が出やすい。資金が入ってくるファンドと出て行くファンドだと成績が違ってくる。出て行くという事は売り続けるということ。お金が入ってくると失敗を薄めてくれる効果もある。お金が出て行くというのは成績が悪くなる要因が多い。ファンドはお客様との共同作業。

昨年ファンド大賞を受賞して嬉しかったが、ファンドは数多くあるものの実はライバルは少ない。それは資金流出しているファンドは運用が難しいから。

【質疑応答】
Q
地元の銀行で投資信託を買ったが購入時手数料3.6%で信託報酬も高いものを売られた。しかも、長期投資をしたいと言ったのに毎月分配型だった。その後になって中野さんの本を読んだのでセゾン投信のファンドについては勉強したが、コモンズとひふみ投信はどういった運用をしているのか?

A
渋澤:環境が変わっても成長し続ける会社に投資するようにしている。日本の会社であっても海外売上比率が高く、世界の成長を取り込める会社。

藤野:日本株はこの10年上がっていないように思っているが、実は上がっている。
2002年12月〜2012年12月の10年でTOPIXは2%しか上がっていないが、上場企業の70%の会社の株価は上がっていた。しかも上がっている1705社の平均は約2倍。営業利益も2倍になっていた。じゃあなぜTOPIXはあまり上がっていないのかというと30%の大きく有名な会社がダメだったので日本株はダメという印象につながっている。アベノミクスがなくても70%の会社の株価は上がっていた。

例えばここら辺だとヤオコーは頑張っているし、株価も上がっているが知られていない。地元の人が地元の会社のことをわかっていない。だいたいどこでも地元のすごい会社は外国人が買っている。これって凄い損だと思いませんか?ユダヤ人が陰謀で皆さんに買わせていないわけではない。

日本にも年間6%成長している会社はたくさんあります。

Q
生命保険会社に勤めているが社労士として中小企業をボランティアで応援している。
教育費や老後のためにという目的で10年後にお金が必要といった場合にどうしたらいいのか?
投資をしている人が保険を運用商品として使っていることについてはどう思うか?

A
中野:はっきり分けて欲しいことがある。明確にいつ必要というお金には長期投資派必ずしもあてはまらない。10年後のタイミングでなんとかショックが起きてお金が減っていることもあり得るから。期限を切らないというのはそういう意味もある。価値は増えても相場の中で価格は価値と関係なく動くため。

目的や時期が明確なお金はきっちりした商品で確保していくのが真っ当だと思う。例えば国債など。
老後のような先の長い想いであれば長期投資。老後資金とはいえいきなりいつか全額使うわけではないはず。

いつ辞めたらいいのか?止める時に一気に止めないのも長期投資。ずっと経済活動に参加し続ける。鷹揚なATMのように。運用保険はあまり良いとは考えていない。運用は運用、保険は保険とシンプルな構成のものがよいのではないか?

渋澤:アベノミクスにはインフレの懸念がある。教育資金で300万円必要といいながら、将来お金が必要な時には500万円だったという事もありえる。インフレに備えることも大事なこと。運用は保険と別々と考えている。税控除を考えると使ってもいいと思うが・・・。

岩城:最期にメッセージを

藤野:「ためふや」という言葉を覚えて欲しい。Facebookで活動しているので草食投資隊のグループにもぜひ参加して下さい。また、草食投資隊のFacebookページも。これをきっかけにウォッチして末永くお付き合いいただければ。

中野:長期投資はなかなか腹まで落ちないと思う。三人とも資産運用をやっていますが自分ごと以上に世の中に貢献ができると思ってやっています。投資信託というのは共通の価値観をもって集まったお金を成長に資する動かし方をするというもの。

アベノミクスを多くの人は見ているだけ。その意識を変えて欲しい。高みの見物をやめて一緒に参加することで加速がついて新しい日本が始まる。

渋澤:渋沢栄一は論語と算盤というのを提唱していた。渋沢栄一は論語のために算盤を抑えるようには話していない。道徳というのは自分という垣根を飛び越えて他人のためにということ。ためふやも論語と算盤だなと思った。持続性のためには算盤が必要。

車の両輪で説明すると論語と算盤のどちらも必要。そのようなメッセージが込められている。

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