鎌倉投信・第4回「結い2101」受益者総会レポート(7)坂ノ途中 小野邦彦氏 ― 2013年09月11日
8月31日(土)、鎌倉投信 第4回「結い2101」受益者総会が京都で開催されました。
レポート第七弾は坂ノ途中の小野社長の講演です。
農業による環境負荷を未来からの前借りと定義して持続可能性に疑問をもったところからスタートした野菜提案型の企業です。スタートが面白いのと、こだわりを持った新規就農者から野菜を買い取ることでしっかりと販路を提供しています。
鎌倉投信が投資している会社ではありませんが、いずれ関わりがうまれそうないい会社だと思いました。
未来からの前借りをやめましょうというメッセージはわかりやすいですね。
農業に新陳代謝をという姿勢にも好感を持ちました。
日時:2013年8月31日(土) 10:00〜16:50
場所:国立京都国際会館アネックスホール
〜そうだ、京都でやろう!〜
伝統と革新が息吹く千年の古都で「投資」について考える
【講演】
(株)坂ノ途中 代表取締役 小野 邦彦氏

4年前に農業が持つ環境負荷を減らして持続可能にしたいと会社を立ち上げました。
現在の農業は危ういのではと考えています。農薬や化学肥料などで今のコストは落ちるが、反面土や水は汚れてしまいます。これは未来からの前借りで、このままでは続けられないよなと思っています。
そこら中にこういった問題意識を持った人がいますが農業を始められないでいます。就農する人もいるのですが、続けられないないのです。出来上がった農産物の品質は高いのですが、品質が高いものを売ることができません。
新規就農する人は空いてる農地を借りて始めますが、空いている農地というのは云わば何らかの問題があった土地です。使い勝手が悪い理由があるのです。そういうところで就農するため、収量が不安定だったり少量しか収穫できなかったりバイヤーからすると面倒くさい農家になってしまいます。
それでも、いいものを売れる仕組みを用意すればやる人が増えるだろうと考えました。
新規就農の人と提携して一軒一軒は少量不安定でもグループ全体では安定した収量を確保できるようにしました。
飲食店や自然食品の店、スーパーの他に来月からフェリシモさんでも販売することになりました。
個人向けの販売も行っています。自社の通販サイトはこちらです。
共感して買い続けてくれている人がいて広告宣伝0でやっています。広告宣伝にお金をかけられる余裕がないともいいますが・・・一般の販売からこぼれ落ちてしまうものを販売しようと八百屋もやっています。
他には被災農家さんの受け入れも行っていて、福島の原発事故では多くの有機農家さんが除染という土の除去のために農業を止めてしまいました。そういった人たちに関西への移住支援を行っています。通常の移住支援というのは済む場所を提供したらそこでお終いなのですが、私たちの取り組みでは移住して終わりではなく、ビジネスパートナーとして私たちに有機作物を販売してもらう関係になります。
ウガンダでゴマの栽培にも取り組んでいます。途上国でこそ有機農業が大事だと考え、貧困の原因でもある乾燥した地域でも収穫できる作物ということでゴマを選びました。そんな話をしたら山田製油さんが買い取ってくれることになりました。
就労したい人がいきなり始めるのではなく経験を詰む場所を用意しようと自社農場も始めました。そこでは自然農で作物を作っています。
大久保寛司:
自己紹介をお願いします
小野:
自分の親がよく仕事を変える人でした。そのため、不安定な収入をうめるため野菜を作っていました。
学生時代にバックパッカーをしていてどれだけ人間が環境に負荷をかけているのか考えるようになりました。その後外資系金融機関に就職してデリバティブをやっていました。
大久保:
外資系金融機関と今の事業はだいぶ違うように感じますが。
小野:
どうせなら全然違う分野で働いて学んでみようと考えました。結果的に40件の農家のリスクコントロールのスキームはデリバティブをやっていた頃の知識を利用することができました。農業は人間と自然の結び目だと思います。農業が変な形になってたらあかんと。そこで、土づくりを大事にしています。
農業をやりたい人はたくさんいるけれども、それは数字には表れてきません。仕組みを作ればやる人が増えて新陳代謝がうまれるのでは?と考えました。就農説明会を開催するとかなり人が来ます。65歳というのは農業の世界では若手ですが、30代の若い方も来られます。
農家をやって食べていけるようにサポートをしています。ただし、農家としては食べていけるくらいだけれども、企業の給与ほどではありません。うちの従業員にも餓死はしない程度の給料しか払えていません。お金だけでやれる仕事でもありません。
大久保:
初めから売れましたか?
小野:
最初の半年くらいは飲食店などを回っても想いなどは隠してコストが下げられて利益が増えますよというような提案をしていましたが売れませんでした。そこで、農家をなんとか守りたいんですと正直に想いを話すようになったら急に買ってもらえるようになりました。
大久保:
どんな野菜を作ってますか?
小野:
色々作っています。本人が作りたい作物だったり、お客さんからこういう作物をと要望があったりもします。
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