第三回鎌倉投信受益者総会レポート(5)パネルディスカッション午前の部 ― 2012年09月30日
鎌倉投信受益者総会レポート、今度はパネルディスカッション(午前の部)です。
□ 日時:2012年9月29日 9:30~12:15(第一部) 13:15~16:00(第二部)
□ 場所:建長寺
鎌田(鎌倉投信):
お二人は淡々と話しているが結構すごいことを話している。
加藤社長は障碍者雇用を10年で法定雇用率にしたり。10年前は倒産寸前の会社だった。当時は1,000億円を超える負債。
なにげなく話しているが道のりは大変。漢方を医師免許の国家試験に組み入れるのも大変だったはず。
竹本さんも小口の権利集約はとても大変なこと。
自分の土地を人に貸すのはなかなかできない。まして木の処分権までついている。そこから村民の12%が森の学校に出資するまで持っていった。外資系コンサルからここまで泥臭くやっている。
Q.最初の質問は新井さんへ。なぜ投資したのか?
新井(鎌倉投信):
ツムラについて
芳井社長が坂本先生の本『日本でいちばん大切にしたい会社』を500冊買って社員に配布したと聞いたのがきっかけ。
この会社は本気で障害者雇用に取り組むと思った。
会社は大きくなればいいわけではない。やるべきことをする本来の姿に戻ってきているのではないか。
加藤社長は以前IR責任者だった。企業訪問して名刺交換をする時「もう資料請求しています」と言われた。鎌倉投信のHPを見て直感で必要な運用会社だと思ったそう。
トビムシについて
林業はほとんど無理。どこでも赤字になっている。
トビムシは投資をする上で苦労した。大変な状況をわかっていて投資することになる。ただし、彼らを諦めたら日本の林業は終わる。その想いで。なんとか支えないとどうしようもない。そんな気持ちで。
林業は彼らにまかせたの気持ちで。
会場からの質疑応答
Q.漢方マーケットのポテンシャルについて
加藤(ツムラ):
数量は伸びているがシェアは少ない
なぜなら新薬は高いので金額シェアでは漢方は小さく出てしまう。
また、中国で漢方にあたる中医学では西洋医学とライセンスが別。日本では西洋医が漢方医学もつかうことができる。日本独自の体系になっている。
よく誤解されるが漢方にも副作用がある。
メタボ対策の薬は2~3年では効果が出ない。それだけ長い期間を個人の判断で服用するのではなく、先生の診断のもとに使って欲しい。
Q.ソフトユーザーを取り込む仕組みについて
加藤(ツムラ):
今後は薬剤師の先生へのケアも進めていく。よく使っていただいている病院では使用する薬の20~30%が漢方に。婦人科ではもっと高い比率で使用されている。外科手術後でも使用されている。
Q.生薬の勉強会について 障碍者でも参加できるものがあれば紹介して欲しい
加藤(ツムラ):
一般の方に勉強会ということではできないが、漢方記念館に来ていただくツアーがあればいろいろご説明できる。漢方記念館では障碍者の方でも対応できるようにしている。
Q.鎌田社長の尊敬する師は?
鎌田(鎌倉投信):
資産運用の仕事は難しい。
投資先の情報をどのように伝えるか?資産形成につながっているか?あえて銀行や証券とタイアップしないで口コミで行なっている。
お客様といい関係ができるが、問題はお金がすぐに集まらないこと。目標の100億円集まっていないことについて新井にいつも責められている。今日は言われなかったが(笑)
心の支えになる人として、ツムラの加藤社長やトビムシの竹本社長などにお会いすることでエネルギーをいただいている。
本気になりたければ本気の人のそばに行く。世の中にはたくさんそういう人がいる。
Q.3500人の従業員がいて人を大切にと言われていた。自分のいる会社はもっと従業員がいるが毎年リストラをしている。ツムラでは過去にはどうでしたか?また将来は?
加藤(ツムラ):
日本でいちばん大切にしたい会社大賞の応募条件にここ10年リストラをしていないという条件がある。
ツムラが悪い会社だった時、再雇用の斡旋をしながらリストラをした経緯はある。今後はそういった事が無いようにしっかり地道に成長しながら雇用を確保していきたい。
新井(鎌倉投信):
加藤社長が健常者と障碍者を机を並べて仕事をするのは本気度の違い。赤坂見附の本社は坂になっていて車椅子の方はなかな通勤が大変。区役所にかけあってスロープをなおしたり、トイレの改善など不便さはなおすが、あくまでも対等に。
Q.自分は花粉症がひどいが、杉の伐採をしないために花粉症が起きた。間伐をする必要があると思うが、健康上の問題含めてどう考えるか。
竹本(トビムシ):
針葉樹が多いのは林業の構造的問題。
近代化とリンクしている話。空間がコンクリートやプラスチックになることで花粉が付着しない空間で過ごすことが多くなった。(屋外もアスファルトで覆われたり、昔のように土に花粉が付着しなくなった)
木の空間にいると木に付着して花粉も飛散しずらい。空間の中にいかに飛散しにくい木を使っていくか。
杉だけ非難の対象になっているが・・・
Q.アスペルガー症候群の子供に対するボランティアをしている。一方で会計士をしているので経済合理性もわかる。障害者雇用は合理的経済的なのか?
加藤(ツムラ):
どういう職種でどういう人材が必要か考える。障碍者でもできる内容であれば障碍者雇用する。
人との巡り合いもあるので募集をかけて採用を常に行なっている。
職場でどういう力を発揮するかは周りの環境しだい。
隣にいたアスペルガー症候群の人は扇風機の使用を認めた。たまに大きな声を出すことも、サングラスの着用も。職場環境を整備することでとても素晴らしい成果を生み出すことにつながった。そこまでの過程はやってみないとわからない。症状は人それぞれなので地道にやっていく。
それの繰り返し。
新井(鎌倉投信):
鎌倉投信では障害者雇用率も見ている。
普通に障害者雇用をしても儲けることはできるが我々が見ているのは本気度。障碍者が戦力として活躍できる場を設けているか?
特例子会社を作るのは好きじゃない。一緒にやっていくのが経営能力。
ツムラはそれができているので応援する。そうでないと会社は利益を産まない。
鎌田(鎌倉投信):
社会性と経済性について竹本さんから
竹本(トビムシ):
林業に限らず第一次産業は大変。ここには大きな構造がある。
木が戦後に多く植えられて市場に出る前に市場が変わってしまった。
安定的に出荷するために何をするか。
木材は製品にして出荷しないと負け。木材のままではコストが合わない。
ただし、大型の製材工場を作ると遠くから木材を運んでくることになる。
例えば九州で大規模なペレット工場をやっても木を集める輸送費がかかり、スケールデメリットが生じる。結果として長続きしない。
そこで皆さんの協力が必要
構造上の問題を違った方向から解決していく
工場をみたが、生産量と販売量のバランスについて
竹本(トビムシ):
商品構成と木材の有効活用を考えている。
柱を作って、周りを家具にするのが木材の王道。ただし、柱の価格が下がってしまった。
製材工場で柱をやろうとすると柱を作るために大量に木を切る必要があり、伐る人、運ぶ人、製材工場みんなが損をすることに。
床板タイルは柱になるものをスライスすることで、中目をタイルにしている。これだと木をすべて使える。柱の場合は四角く切った端材が多く出てしまう。中目の小さな板を組み合わせる事で強度も増す。
「ヒールで踏んでください」というちょっと危ないキャンペーンをやっているが、それでも大丈夫。
いい会社訪問をまた企画したい。
鎌田(鎌倉投信):
最後に一言
加藤社長と就任前に食事をした。社長に就任したら何を最初にするかと聞いたら理念経営と話された。一人ひとり。いい会社の社長を見るときに何をやらないかはっきりいう人を重要視する。
いい社長の条件は5つあると考えている。
・圧倒的な使命感
- ・謙虚
・人に対する関心が高い(社員、取引先など)
・勉強熱心(意思決定が早い)
・率先垂範現場主義
若返ってどうだろう?とみられることも多いが鎌倉投信ではやったねと思っている。
竹本さんについて。なにげなく話しているが、大変なことをやっている。新しい価値はそういうところから生まれるのかも。
トビムシに出資するときに悩んだというが、「僕らにしか投資できないから」という新井さんの言葉があった。竹本さんからは「赤字で財政状況が厳しいが本当に投資していただけるか?」と聞かれたが、「あなたたちに賭けているんです。」と答えていた。
分散投資の中でやっているのでお客様にご迷惑をおかけしないようにやっている。
お金が集まればもっともっといい会社に投資できるようになる。
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