第三回鎌倉投信受益者総会レポート(4)トビムシ 竹本社長 ― 2012年09月30日
鎌倉投信受益者総会レポートはまだまだ続きます。
西粟倉村の取り組みに興味を持たれた方はぜひニシアワーのサイトで気になる間伐材製品や村の農作物などがないか見て欲しいです。また、ユカハリをオフィス向けに展開する資金をファンドを通じて集める「ユカハリ・ファンド」というものをミュージックセキュリティーズさんで募集中です。(ユカハリ・ファンドの説明はこちら)
□ 日時:2012年9月29日 9:30~12:15(第一部) 13:15~16:00(第二部)
□ 場所:建長寺
竹本 吉輝社長
三年前に何もわからない若者が鎌倉投信に行きたいと言ったら鎌田社長が鎌倉まで迎えに来てくれた。本社への道道お話をさせていただき、本社に着いてからは5時間にわたって新井さんと話をした。そこから始まった。
受益者総会は三回とも出させていただいている。
第一回はアミタHDの役員、子会社トビムシの社長としてパネルディスカッションに参加、昨年は企業展示ブースでワリバシカンパニーの代表として間伐材割り箸を紹介していた。
今年はトビムシの代表として話をする機会をいただいた。
【トビムシの思考】
岡山県西粟倉村の取り組み。事業というより今後の日本について西粟倉・森の学校(トビムシの子会社)の牧さんと考えていた。
グローバリゼーションからの脱却。
引きこもるのではなく、どのように向き合うか?適合していく。
グローバリゼーションの中では適合しないと必ずやっていけないのか?
世界中の物流や金融がものすごいスピードで均質化していく中でものづくりをする意味
他で安く作れるのであればそこにという流れは大切だが、それでなければいけないのか?そうではないのでは。情緒論ではなく。
ローカルコミュニティがきっちり自立していくこと。多くのメンバーがコンサル出身。様々な地域で施策を提案して実行できなかったことからの脱却。
ローカルの自立要件
リアルに自立するための要件として物質・エネルギー・食料が重要な位置を占める。一次産業としての林業。森があるところは水源地として農業にも影響がある。
林業を地域でしっかりまわす維持していく会社を作ろうと5年前からずっと議論している。
【地域とともに】
トビムシはとても小さな会社と新井さんが言われたが微生物。
美しい森の土の中にはトビムシがいる。
地域の眠れる資産を顕在化し、森への期待を作っていく。
世代を超えた想い。都市に住んで地域の森から離れていても思いをもっている人とのつながりを
地域とともに、将来に夢を抱く人と一緒にやる。
しかし、地域毎に取り組みの内容は異なる。
【日本の林業の構造的問題】
針葉樹の森。樹齢50年の森だが、木々が密集していて暗い。
これは日本の森の風景そのもの
こういう森では土が露出していて雨が降ればそのまま川に流れこむ。土砂を含んで川に流れこむことで水産資源にも影響が出る。
木は光が当たらないと上に伸びて細いまま育ってしまう。
日本と西粟倉の樹齢はほぼ同じ構成
戦後の拡大造林で山は針葉樹で埋め尽くされた。
結果として新しい木が植えられない状況に。地域によって手入れがされている、されていないの違いはあるが、しっかり植えられて木は大量にある。
建築素材して使っていける一歩手前までずっと木を育ててきた。
育林をしっかりとここまでやってきたのに、出荷直前になってグローバリゼーションなどに飲み込まれてしまった。
代替資源、工業製品の登場により木材の需要が落ちた。
使われないことにより、管理さえされない森に。
【問題1:川上】
川上の問題として小さな山主さんがたくさんいる。知らない間に相続で山主になった人も。そういうあまり意識をしていない山主がたくさんいる。
林業はある程度の規模が必要で個人で対応するのが大変で放置されてしまう。
権利をまとめて一体的に長期で管理できないか?
→共有の森事業
戦う条件をまず整えること
【問題2:川下】
木材を安定的に出荷できる出口がない。
植林、育林は林野庁の計画に応じてやっている(計画経済)が、出口になると突然市場経済になる。
そのため、間伐材需要をしっかりと生み出す必要がある。
【間伐に関する補助金制度改正による問題】
最近、間伐に関する補助金の見直しが入った。これまでは間伐をすると補助金が出ていたので補助金のための間伐をしたものの、切り捨てられていた。麓まで出すとコスト割れするため。
林野庁が木材自給率50%目指して搬出して市場に出したら補助金という仕組みに変えた。
これは理論的には正しい施策。ただし、現状は間伐した木は細くて曲がっていて安くしか売れない木。そうすると補助金目当てでも間伐はできなくなる。
ではどうするか?コストが合うようにする方法として見境なく皆伐を行えばボリュームが出ることで利益は出るようになる。しかし、皆伐を行うといい木を太らせるために周りを伐るのではなく、全て伐ってしまうため生態系に影響が出るだけでなく、今後に残す木もなくなってしまう。
出口がないのに出口に出さないと補助金が出ないことで新たな問題が起きている。このままでは放置林が手遅れ林になってしまう。
手遅れ林では細い木が倒れて禿山に。皆伐をしてしまっても禿山になる。
九州などでは皆伐が進んでいる
今の木でもそこそこのお金になるため、今のうちに売れそうな木を伐ってしまう。そうすると後に残るのは細い木だけ。
【間伐材の利用】
いま、使えないとされている木を使う方策が求められている。
100年の森を目指しているが、美しい風景を作るために林業をやっているわけではない。真摯に林業をやった結果として美しい森が生まれる。
しっかり林業がまわるように間伐材の商品化を進めている。
木材として利用するには2mの直材が必要だが、間伐材でそれは難しい。
ユカハリは賃貸住宅に住んでいても無垢の床板を楽しんでもらえるように作った商品 50cm×10cm幅の木材を5枚つなぎあわせてカーペットのかわりに敷き詰める。これを住宅用からオフィス向けにも展開。
さらにどんな木からもできるのが割り箸。これはもっと細い木でもできる。
【岡山県西粟倉村の取り組み】
こういった事を岡山県西粟倉村で事業として行なっている
西粟倉村は平成の大合併で美作市の合併を拒んで独立する道を選んだ。
村の森のほとんど(80%)が針葉樹。
村をあげて様々な責任主体がそれぞれに事業を展開している。
村民が森林所有者。村民が一番信頼している村役場に10年間森の手入れと販売処分権を委託する。
森の手入れは森林組合が行い、マーケティング、資金調達などを西粟倉・森の学校(トビムシの子会社)が行う。
共有の森ファンドで資金を集め、林業機械を導入した。
高価なので個人や地域では購入できないが、都市部に住む人からの出資で。
第三セクターとしてつくった西粟倉・森の学校には村の世帯の12%にあたる人が出資している。
地域の方々も参加される存在に。地域ではあらゆること(合わせ技)をやっている。
トビムシは社員6名 グループ全体で二十数名の小さな会社。
地域の宝ものを都市部につなげる下支えをトビムシが行う。
西粟倉村のヒメボタル。下にある植生が豊かでないと生育できない。
オフィスや生活シーンで間伐材を使っていただく
更にはツアーにも来ていただく
今日のNHKでapバンクの放映でもトビムシが紹介される。
トビムシは共有の森ファンドを通じた635名のマイクロ投資家と13名の株主に支えられている。
鎌倉投信さんの3,500名の受益者にも社債を通じて支えていただいている。
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