第三回鎌倉投信受益者総会レポート(1)鎌田社長の開催挨拶2012年09月30日

昨日、鎌倉の建長寺で開催された第三回鎌倉投信受益者総会の模様をレポートします。

今回はボランティア スタッフとしても関わったので、いろいろな想いはあるのですが感想は一番最後に・・・。


 □ 日時:2012年9月29日 9:30〜12:15(第一部) 13:15〜16:00(第二部)

 □ 場所:建長寺


最初は鎌倉投資代表取締役社長の鎌田恭幸さんより開催挨拶です。


 第三回の受益者総会。

 ちょうど二年半前に結い2101の運用を開始して、現在は3,500人に支持されています。


 鎌倉投信では3つの「わ」を感じる場をつくろうとしています。金融は資産を増やすことも大事だが、それを通じて何をするかが大事。世代と世代がつながる顔の見える金融をつくろうというのが鎌倉投信の想い。受益者総会はそういった場にあたります。


 今日は400名の方に来ていただいき、本当にありがとうございます。

 ツムラ加藤社長、トビムシ竹本社長をはじめ企業展示ブースにもたくさんの支援の方に来ていただいています。

 他にもボランティアスタッフにも5月から15名の受益者が自主的に参加していただき、本日も15名の当日ボランティアの方が参加されています。

 こうした皆さんのお力添えもあって受益者総会が開催されています。


 昨日夜のFacebookにボランティアスタッフの方からこんなメッセージがありました。


『事前にやるべきことは全て、やりました・・・明日は400名もの方がお出でになるとの事。
 明日が、金融の世界、いや、これからの日本を考えた上で、たとえ小さくとも、一つの「試金石」になればいいなと、心から思う自分がいます。
 たとえ、小さくとも、まずは自らがその「源」となる事・・・・どのような事であっても最初は一人の行動から、それが「共感」を読んで大きな流れになることを願って・・・明日、お待ちしています。』


 一人のファンからの声です。

 先ほどの鎌倉投信の想いという映像もボランティアで映像スタッフの方に作成いただきました。


 展示ブースで配布している鎌倉投信ダイアリー2013年版も北海道の山内ビニールの方が個人で毎年贈って下さっているものです。今年は受益者総会で配布するためにという事で、早めにご用意をいただきました。ありがとうございます。


 鎌倉投信は投資の果実を「資産」「社会」「心の形成」と位置づけています。
 こうした場に来ていただくことは皆さんの人格形成にも役立つのではないかと思っています。
 数字だけではなく、「まごころ」も感じて欲しいと思います。


第三回鎌倉投信受益者総会レポート(2)結い2101の運用報告2012年09月30日

鎌倉投信受益者総会レポートを続けます。


 □ 日時:2012年9月29日 9:30~12:15(第一部) 13:15~16:00(第二部)

 □ 場所:建長寺


運用報告を鎌倉投信運用部長 新井和宏さんから。


 最初に何を話そうかと思っていたが、先ほど鎌田が涙を誘う話をしたのでどうしようかと。

 数字についてはこちらでしっかり説明させていただくが、本日の内容は後日ホームページでも公表する。


【概況】

 もうすぐ純資産は20億円というところ。昨年の同時期は6億円だったので1年で3倍になった。

 お客様の数は3,500名。一年前は985名だったのでこちらも3倍以上に。


 残高が6億円から増えた理由を要因ごとに分析すると、ほとんどがお客様が増えて入金いただいたことによるもので、運用益によるものは多くはない。


【投資先の会社の数について】

 投資先の会社の数は当初3年で100社を目指していた。

 当初計画にはあまりこだわっていないが、いい会社が増えればいいなと思っている。

 足元では38社に投資しているが、この中で上場していない会社は2社。


(補足)

 質疑応答で目標と実際が違うことに対して質問があり、午後の運用説明では追加されていた部分

 「投資先の会社は100社程度すでに選んだリストが存在する。目標の100社というのは100億円の純資産があった場合の話。現時点で20億円程度のため、100社に投資することはできない。今後も純資産が増えていくペースに合わせて徐々に組み入れ会社を増やしていく。お金を集めるのは社長の鎌田の役目。自分はしっかりと運用を。」


 決算時点での37社の内訳として鎌倉投信ではテーマを「人」「共生」「匠」と位置づけているが

  「人」13社、「共生」12社、「匠」12社

 展示ブースにもたくさんの企業の方が来ていらっしゃるので紹介します。


 ツムラ 加藤社長にも講演していただきます 漢方医薬品メーカー

 アメニティ(非上場) トイレの総合コンサルタント

 綜合臨床ホールディングス 女性にやさしい会社を目指しています

 アミタホールディングス

 KOA 目に見えないくらい小さな抵抗器も作っている会社

 NDソフトウェア 今日は社長も来て蜂蜜を売っている 自分の財産で山を買って間伐も行なっている

 トビムシ 竹本社長にも講演していたく 林業再生に取り組む会社

 アニコムホールディングス 昨年に続いてエコバッグも配布 ペット保険の会社

 ライフネット生命 金融を改革する我々の同志

 サクセスホールディングス 民間の保育事業 今日はキッズスペースで実業も見せてくれる


 ここから先は数字の話が中心になるが、大事なのは数字ではなく変わっていないこと。

 変わるということは何かリスクがあるという事。



【株式と現金比率について】

 ほとんど現金比率は変わっていない。

 トビムシは株式を取得できなかったので債券に投資したので、そこだけ変わっている。債券に投資したのはトビムシさんのニーズに応えたもの。

 

 債券だと期限があるため、基本的には株式に投資する。ただし、株式に投資できない場合は債券に投資。


 どこかに集中しているとしたらそれがリスクになる。そのため、市場も分散する。東証だけでなくJASDAQにも。東証一部の会社数が多いが半分を超えないようにしている。


 しかし、だんだん会社が大きくなって東証一部に移っていく。普通は喜ばしいことだが、そうするとバランスを維持するために他の市場から小さな会社を探してこないといけない(笑)



【業種別分布】

 細かくどの業種が何パーセントといった事は気にしなくてよい。

 グラフで見てカラフルだな~とわかっていただければ。分散が昨年よりも進んだイメージ。



【時価総額別】

 時価総額1000億円以上の大型株はほとんど入っていない。

 これは大型株にいい会社が少ないから。大型株はダメだから小型株に投資するとかそういう理由ではない。いい会社が大型株にあれば投資する。

 小さい会社が多いという事を理解していて欲しい。



【個別銘柄の投資比率】

 こちらもグラフを見てどこかの会社に偏っていないことを確認してもらえれば。

 リスクを避けるために均等配分で投資している。



【運用パフォーマンス】

 一年前と比較して100円程度の値上がり。

 目標では4%という事なので、400円ほどの値上がりが目標値であった。

 未達だった理由は欧州危機などの影響もあって株式市場が下げたことによるもの。東証一部株価指数(TOPIX)は10%以上のマイナスになっていて株がが全般的に上昇しなかった。

 リスクという点では10%に設定しているので想定の範囲内の値動き。


 ただし、企業は業績を増やし続けている。投資先の会社の純資産と配当再投資分を合算したグラフだと設定来で5%増えていることがわかる。今は株価が実態と比較して安い状況。株価が戻ってくるのを待っている。


 なぜ株価が戻ってくるのを待っているのか?新井さんの運用が下手なだけではないのか?いつまで待てばいいのか?


 現状では基準価額が11,000円になっているのが目標。

 もし10,000円になったら → 想定リスクの範囲内なので起こりうること。
 もし9,000円になったら   → 欧州危機や震災などがなくてなったのであれば運用を疑って欲しい
 もし8,000円になったら   → 新井さんはリスク管理ができていないのではないか?と思って欲しい


 自分たちの評価だけではお手盛りと言われるかもしれないので第三者評価を

 リスクの値が鎌倉投信とモーニングスター、R&Iで各社異なっているが算出方法が違うため。

 鎌倉投信は日次、モーニングスターは月次、R&Iは年次。日次ベースの値を見て欲しい。なぜなら震災はいつ起きるかわからないので。月次や年次では体感と違ってきてしまう。

 これは結いだよりを読んで確認して欲しい。

 リターンなどの順位は気にしないで欲しい。いつ変わるかもわからない情報なので。



【投資行動】

 毎日コツコツと買い付けをしている。売却は株価が上がりすぎて調整したもの。売っても持っている割合に変化はない。全体の中での割合が一定になるように調整をしている。


 たくさん売却しているところは「らでぃっしゅぼーや」を全売却したため。残念ながらNTTドコモにTOBで買収されることになったため、すべて売却した。鎌倉投信では初めて全売却した会社になる。らでぃっしゅぼーやには「残念です」と伝えた。


 たくさん買い付けしているのはトビムシの社債。4,000万円分の社債に投資した。



【株式比率】

 60%~70%を維持している。

 理由は2つ。

  □ 小さい会社は流動性がないため現金をもつ必要がある

  □ リスク10%(日次)を守るため

 TOPIXは20%ほどの値動きがあるが、それだとお客様に安心して持っていてもらえない

 市場の状況(変動)に応じて現金比率を調整している。



【リスク管理】

 企業の資産価値と株価を比較すると震災時には資産価値と同じ所まで株価が下がっていた。

 これは将来に市場が期待していない時。

 下落する際の下値はこの辺りを想定している。足元だと基準価額10,000円のあたり。



【取引コスト】

 10,000円投資して9円ほどかかっている。

 売買回転率が128%と高くなっているが、計算方法によるもの。分母が時価総額ベースで計算するため7億円に対して株式売買額で計算している。

 現時点での時価総額は18億円なのでファンドが大きくなっている最中のファンドは大きな値になりやすい。



【収益の分配について】

 今期の分配は見送っている。

 配当金は1.85%程度投資先の会社から受け取っているが再投資にまわしている。

 また、結い2101は分配金を出しても自動的に再投資されて手元に届くことはない。お金が欲しい時は一部解約して欲しい。

 

 解約時手数料はかからないので、必要な時に、必要なだけ解約してください。



【課題先進国日本】

 社会問題に取り組んでいる会社に投資している。

 障碍者雇用ではツムラがほぼ目標どおり。エフピコも上場会社ではダントツの割合。

 障碍者雇用比率が高いから投資しているわけではない。企業活動の中で障碍者が働く場所をしっかり作り出して障碍者を戦力として雇用している会社に投資。


 また、地方が元気な方が日本は元気になる。



【いい会社同士の連携】

 運用から二年半でいい会社同士の連携が生まれ始めた。嬉しい動き。


トビムシ×和井田製作所

 和井田製作所さんがトビムシの間伐材割り箸を贈答用に作っていた。

 思いが共有できた瞬間。株主だからと強制したわけではない。


トビムシ×サクセスホールディングス

 西粟倉村の間伐材でできた家具や遊具を使っている。

 キッズスペースにも木でできたキッチンスペースなどがあるのでぜひ見て欲しい


 トビムシはとても小さな会社なので、大きな会社や皆さんの力によってこの会社の利益はものすごくあがる。こういった連携を進めていきたい。



【いい会社訪問】

 いい会社訪問は年間3回程度開催している。

 次回開催は冬になると思う。

 実際にオフィスや会社に訪問して実際の活動を見ていただくと伝わるものがある。

第三回鎌倉投信受益者総会レポート(3)ツムラ 加藤社長講演2012年09月30日

鎌倉投信受益者総会レポートを続けます。


 □ 日時:2012年9月29日 9:30~12:15(第一部) 13:15~16:00(第二部)

 □ 場所:建長寺


ツムラ加藤社長について新井さんからの紹介


 午前の部は鎌倉投信が考えるテーマ「共生」について二社の投資先のいい会社の社長からお話をいただく。

 まずはツムラの加藤社長。6月に就任されたばかり。それまでは芳井社長(現会長)。経営多角化で悪い会社だったのを10年かけていい会社にした。

 役員10名以上ごぼう抜きで新社長に選ばれた方。


株式会社ツムラ

 加藤 照和社長


 鎌倉投信さんとの付き合いに関して言えば、昨年までは自分も受益者として参加していた。まさかここで話すことになるとは思わなかった。

 ツムラの社長が変わったという事で、ツムラをさらに良くするために頑張っている。


 キーワードは人。

 第二回日本でいちばん大切にしたい会社大賞で経済産業大臣賞を受賞した。受賞により、ますます日本の社会に貢献しないといけないと社員一同邁進している。


 漢方はなかなかわかりにくい。漢方記念館に来ていただくとすべてわかるが漢方の原料はほとんどが植物。生薬が人とどうつながって皆さんの健康に寄与しているか。


【医療用漢方薬について】


 日本国内が市場

 売上は連結で1,000億円に届きそうなところ。医療用医薬品として8兆円の市場の1.3%に相当する。少ないと思われるかもしれないが、そのうち漢方は1,200億円。漢方の中では83%のシェア。

 海外展開については西洋医学が届いていない地域で漢方が有効であればそこに進出していきたい。


 医療用漢方薬の需要がどう拡大しているか?

 この10年で数量は二倍になった。患者さんや処方される先生も増えている。

 漢方の教育が全国の医学生向けにされるようになり、毎年漢方を学んだ先生が増えている。


 生薬はまだ人類が発見していない成分も含まれているため、分析を進めている。科学的に証明された漢方にすることで西洋医学と漢方のマッチングを目指す。


 今後、高齢者の疾患や女性特有疾患も増えていく。

 また、心とからだの問題もある。ツムラでは漢方を通じて健康寿命を伸ばしていきたい。


【漢方について】

 日本のこれからの医療に漢方が大事な位置づけになるのではないか。

 実は漢方は中国の医学ではなく日本の伝統医学。中国では中医学。韓国では韓医学。日本の伝統医学であるため、日本で独自にあみだされた処方もある。これをしっかり守りながら生かしていく。


 保険が適用される漢方薬は日本全体で148種類のうちツムラでは129種類取り扱っている。

 漢方薬を構成している生薬は118種類。

 今日は展示ブースにも生薬の見本を展示しているので、ぜひ見て欲しい。


 葛根湯は中国の古典では必ずしも風邪薬ではない。

 効能は感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん。

 炎症性疾患などにも効果があるが自己判断ではなく先生に見立てをいただいた上で服用して欲しい。

 一回2.5g 67円 保険ではその3割負担になる。非常に安価。


 漢方で風邪の治療は難しい。

 体調や症状によってたくさんの選択肢をもっている体質や胃腸の状態によって与えてはいけない薬もある。胃腸の弱い人に葛根湯は胃腸障害をおこす。そのため、ツムラではほとんど医療用に販売している。


 葛根湯とアスピリンを分析した3Dグラフ

 アスピリンは成分がはっきりしているのに対して葛根湯は7つの成分をまぜているので複雑な構成になっている。このあたりが漢方が科学的ではないと言われる所以。

 しかし、この組み合わせの妙が副作用を軽減したりしている。薬のしくみが西洋医学と全く違う。


【理念経営】

 社長に就任してから中国などを含めて3,800人の社員全員と挨拶や乾杯しながら今後について話している。悪い会社からそれなりの会社になって、これからいい会社へ向かっている。

 人の判断ではなく、経営理念をはっきりとすることが大事


「自然と健康を科学する」これがツムラの経営理念

 日本の医療にしっかりと貢献し続ける

 しかし、一番下では一人ひとりが握手しながらまわっている。


 漢方薬を科学的に分析してこのレベルで販売している会社は世界中でツムラだけ。

 プラントなども全て独自技術になっているため、全て考える必要がある。

 理念にもとづいて行動する他に、自ら考える必要がある。


【障碍者雇用について】

 企業の成長は人の成長。障碍者やシルバー人材の手も借りている。障碍者では机を並べて仕事のできる方を採用している。アスペルガー症候群の方と一緒に仕事をしたが、すっかり馴染んでもらい、最近では忘年会にも参加できるくらいになった。

 一般社員と肩を並べて仕事ができるようにすることが大切。


 障碍者雇用率は3.93%までのびている。新卒採用で増えても期中のMRの中途採用でだんだん比率は下がっていく。まず社内では4%を目指している。人口統計的には5%以上が企業の責任と考えている。


 原料の生薬は118種類。中国、ラオスでも生産しているが100%日本と同じ安全管理でやっている。

中国でも障碍者雇用を行なっているが、国内では夕張で。国内で生薬の栽培を増やしていくことで農業や一次産業再生にも寄与できるのではないか。


 夕張ツムラの取り組みについて

 畑の裏は熊がでるが安全にやっている。採取した生薬は茨城工場で漢方薬を生産。

 夕張ツムラも震災の影響で2ヶ月影響が出た。(茨城工場の震災被害からの生産再開まで)

 手探りで考えながら進めている状況


 北海道エリアで「てみるファーム」という知的障害者の自立を目指す農場と提携して生薬の栽培している。健常者3名、障碍者9名で営利企業として。これはなかなか製薬業界にはないモデル。国内にもこういった輪をひろげていきたい。


 てみるファームは2003年につくられた施設で主にしいたけ栽培を行なっている。

 農業を実践することで障碍者の多数雇用を目指している。ツムラでは生薬栽培の一部を委託しているが、この畑での仕事は通常の農作業と同じく雑草の除去や収穫など。てみるファームで働くようになって障碍者の生活にも変化が。お母様に話を聞くと、大変な仕事だと思うが日焼けで顔が真っ黒になっても会社に行くのが嫌だというようなことを言わなくなったとのこと。


 やりがいを感じる 責任ある仕事を障碍者にも。

 そうすることで雇用機会だけなく充実した生活環境にも寄与する。


 てみるファームの池田所長はとても辛抱強い人。一番嬉しいのはこのコメント

「最終的に薬になるのをわかってやっている」

 達成感を感じて働いてくれているのが嬉しい。そういった事で返品はやめて欲しいと先生にも伝えている

 患者さんには飲み残しのないように


 漢方事業を通じて心とからだの健康に

 認知症の周辺症状にも効果がある。

 認知症フォーラムの司会は元NHKアナウンサーの町村さん

 フォーラムでコラムも書いていただいている。


 生薬事業では雇用の拡大や一次産業の再生にもつながると考えている。一定割合を生薬、残りを米にすると農家の収益も安定する(輪作として米を栽培しない時に生薬を栽培するなど)

 休耕地問題の解決にもつながるのではないか。

第三回鎌倉投信受益者総会レポート(4)トビムシ 竹本社長2012年09月30日

鎌倉投信受益者総会レポートはまだまだ続きます。


 西粟倉村の取り組みに興味を持たれた方はぜひニシアワーのサイトで気になる間伐材製品や村の農作物などがないか見て欲しいです。また、ユカハリをオフィス向けに展開する資金をファンドを通じて集める「ユカハリ・ファンド」というものをミュージックセキュリティーズさんで募集中です。(ユカハリ・ファンドの説明はこちら


 □ 日時:2012年9月29日 9:30~12:15(第一部) 13:15~16:00(第二部)

 □ 場所:建長寺


株式会社トビムシ

 竹本 吉輝社長


 三年前に何もわからない若者が鎌倉投信に行きたいと言ったら鎌田社長が鎌倉まで迎えに来てくれた。本社への道道お話をさせていただき、本社に着いてからは5時間にわたって新井さんと話をした。そこから始まった。


 受益者総会は三回とも出させていただいている。

 第一回はアミタHDの役員、子会社トビムシの社長としてパネルディスカッションに参加、昨年は企業展示ブースでワリバシカンパニーの代表として間伐材割り箸を紹介していた。

 今年はトビムシの代表として話をする機会をいただいた。


【トビムシの思考】


 岡山県西粟倉村の取り組み。事業というより今後の日本について西粟倉・森の学校(トビムシの子会社)の牧さんと考えていた。


 グローバリゼーションからの脱却。

 引きこもるのではなく、どのように向き合うか?適合していく。

 グローバリゼーションの中では適合しないと必ずやっていけないのか?

 世界中の物流や金融がものすごいスピードで均質化していく中でものづくりをする意味

 他で安く作れるのであればそこにという流れは大切だが、それでなければいけないのか?そうではないのでは。情緒論ではなく。


 ローカルコミュニティがきっちり自立していくこと。多くのメンバーがコンサル出身。様々な地域で施策を提案して実行できなかったことからの脱却。

 ローカルの自立要件

 リアルに自立するための要件として物質・エネルギー・食料が重要な位置を占める。一次産業としての林業。森があるところは水源地として農業にも影響がある。


 林業を地域でしっかりまわす維持していく会社を作ろうと5年前からずっと議論している。



【地域とともに】

 トビムシはとても小さな会社と新井さんが言われたが微生物。

 美しい森の土の中にはトビムシがいる。

 地域の眠れる資産を顕在化し、森への期待を作っていく。

 世代を超えた想い。都市に住んで地域の森から離れていても思いをもっている人とのつながりを

 →共有の森事業


 地域とともに、将来に夢を抱く人と一緒にやる。

 しかし、地域毎に取り組みの内容は異なる。



【日本の林業の構造的問題】

 針葉樹の森。樹齢50年の森だが、木々が密集していて暗い。

 これは日本の森の風景そのもの

 こういう森では土が露出していて雨が降ればそのまま川に流れこむ。土砂を含んで川に流れこむことで水産資源にも影響が出る。


 木は光が当たらないと上に伸びて細いまま育ってしまう。

 日本と西粟倉の樹齢はほぼ同じ構成

 戦後の拡大造林で山は針葉樹で埋め尽くされた。

 結果として新しい木が植えられない状況に。地域によって手入れがされている、されていないの違いはあるが、しっかり植えられて木は大量にある。

 建築素材して使っていける一歩手前までずっと木を育ててきた。

 育林をしっかりとここまでやってきたのに、出荷直前になってグローバリゼーションなどに飲み込まれてしまった。

 代替資源、工業製品の登場により木材の需要が落ちた。

 使われないことにより、管理さえされない森に。


【問題1:川上】

 川上の問題として小さな山主さんがたくさんいる。知らない間に相続で山主になった人も。そういうあまり意識をしていない山主がたくさんいる。

 林業はある程度の規模が必要で個人で対応するのが大変で放置されてしまう。

 権利をまとめて一体的に長期で管理できないか?

  →共有の森事業

 戦う条件をまず整えること



【問題2:川下】

 木材を安定的に出荷できる出口がない。

 植林、育林は林野庁の計画に応じてやっている(計画経済)が、出口になると突然市場経済になる。

 そのため、間伐材需要をしっかりと生み出す必要がある。



【間伐に関する補助金制度改正による問題】

 最近、間伐に関する補助金の見直しが入った。これまでは間伐をすると補助金が出ていたので補助金のための間伐をしたものの、切り捨てられていた。麓まで出すとコスト割れするため。

 林野庁が木材自給率50%目指して搬出して市場に出したら補助金という仕組みに変えた。

 これは理論的には正しい施策。ただし、現状は間伐した木は細くて曲がっていて安くしか売れない木。そうすると補助金目当てでも間伐はできなくなる。


 ではどうするか?コストが合うようにする方法として見境なく皆伐を行えばボリュームが出ることで利益は出るようになる。しかし、皆伐を行うといい木を太らせるために周りを伐るのではなく、全て伐ってしまうため生態系に影響が出るだけでなく、今後に残す木もなくなってしまう。


 出口がないのに出口に出さないと補助金が出ないことで新たな問題が起きている。このままでは放置林が手遅れ林になってしまう。

 手遅れ林では細い木が倒れて禿山に。皆伐をしてしまっても禿山になる。

 九州などでは皆伐が進んでいる


 今の木でもそこそこのお金になるため、今のうちに売れそうな木を伐ってしまう。そうすると後に残るのは細い木だけ。



【間伐材の利用】

 いま、使えないとされている木を使う方策が求められている。

 100年の森を目指しているが、美しい風景を作るために林業をやっているわけではない。真摯に林業をやった結果として美しい森が生まれる。


 しっかり林業がまわるように間伐材の商品化を進めている。

 木材として利用するには2mの直材が必要だが、間伐材でそれは難しい。


 ユカハリは賃貸住宅に住んでいても無垢の床板を楽しんでもらえるように作った商品 50cm×10cm幅の木材を5枚つなぎあわせてカーペットのかわりに敷き詰める。これを住宅用からオフィス向けにも展開。

 さらにどんな木からもできるのが割り箸。これはもっと細い木でもできる。



【岡山県西粟倉村の取り組み】

 こういった事を岡山県西粟倉村で事業として行なっている

 西粟倉村は平成の大合併で美作市の合併を拒んで独立する道を選んだ。

 村の森のほとんど(80%)が針葉樹。

 村をあげて様々な責任主体がそれぞれに事業を展開している。

 村民が森林所有者。村民が一番信頼している村役場に10年間森の手入れと販売処分権を委託する。

 森の手入れは森林組合が行い、マーケティング、資金調達などを西粟倉・森の学校(トビムシの子会社)が行う。


 共有の森ファンドで資金を集め、林業機械を導入した。

 高価なので個人や地域では購入できないが、都市部に住む人からの出資で。


 第三セクターとしてつくった西粟倉・森の学校には村の世帯の12%にあたる人が出資している。

 地域の方々も参加される存在に。地域ではあらゆること(合わせ技)をやっている。

 トビムシは社員6名 グループ全体で二十数名の小さな会社。


 地域の宝ものを都市部につなげる下支えをトビムシが行う。


 西粟倉村のヒメボタル。下にある植生が豊かでないと生育できない。


 オフィスや生活シーンで間伐材を使っていただく

 更にはツアーにも来ていただく


 今日のNHKでapバンクの放映でもトビムシが紹介される。

 トビムシは共有の森ファンドを通じた635名のマイクロ投資家と13名の株主に支えられている。

 鎌倉投信さんの3,500名の受益者にも社債を通じて支えていただいている。

第三回鎌倉投信受益者総会レポート(5)パネルディスカッション午前の部2012年09月30日

鎌倉投信受益者総会レポート、今度はパネルディスカッション(午前の部)です。


 □ 日時:2012年9月29日 9:30~12:15(第一部) 13:15~16:00(第二部)

 □ 場所:建長寺


鎌田(鎌倉投信):

 お二人は淡々と話しているが結構すごいことを話している。

 加藤社長は障碍者雇用を10年で法定雇用率にしたり。10年前は倒産寸前の会社だった。当時は1,000億円を超える負債。

 なにげなく話しているが道のりは大変。漢方を医師免許の国家試験に組み入れるのも大変だったはず。


 竹本さんも小口の権利集約はとても大変なこと。

 自分の土地を人に貸すのはなかなかできない。まして木の処分権までついている。そこから村民の12%が森の学校に出資するまで持っていった。外資系コンサルからここまで泥臭くやっている。


Q.最初の質問は新井さんへ。なぜ投資したのか?


新井(鎌倉投信):

ツムラについて

 芳井社長が坂本先生の本『日本でいちばん大切にしたい会社』を500冊買って社員に配布したと聞いたのがきっかけ。

 この会社は本気で障害者雇用に取り組むと思った。

 会社は大きくなればいいわけではない。やるべきことをする本来の姿に戻ってきているのではないか。


 加藤社長は以前IR責任者だった。企業訪問して名刺交換をする時「もう資料請求しています」と言われた。鎌倉投信のHPを見て直感で必要な運用会社だと思ったそう。


トビムシについて

 林業はほとんど無理。どこでも赤字になっている。

 トビムシは投資をする上で苦労した。大変な状況をわかっていて投資することになる。ただし、彼らを諦めたら日本の林業は終わる。その想いで。なんとか支えないとどうしようもない。そんな気持ちで。

 林業は彼らにまかせたの気持ちで。


会場からの質疑応答


Q.漢方マーケットのポテンシャルについて


加藤(ツムラ):

 数量は伸びているがシェアは少ない

 なぜなら新薬は高いので金額シェアでは漢方は小さく出てしまう。

 また、中国で漢方にあたる中医学では西洋医学とライセンスが別。日本では西洋医が漢方医学もつかうことができる。日本独自の体系になっている。


 よく誤解されるが漢方にも副作用がある。

 メタボ対策の薬は2~3年では効果が出ない。それだけ長い期間を個人の判断で服用するのではなく、先生の診断のもとに使って欲しい。



Q.ソフトユーザーを取り込む仕組みについて


加藤(ツムラ):

 今後は薬剤師の先生へのケアも進めていく。よく使っていただいている病院では使用する薬の20~30%が漢方に。婦人科ではもっと高い比率で使用されている。外科手術後でも使用されている。



Q.生薬の勉強会について 障碍者でも参加できるものがあれば紹介して欲しい


加藤(ツムラ):

 一般の方に勉強会ということではできないが、漢方記念館に来ていただくツアーがあればいろいろご説明できる。漢方記念館では障碍者の方でも対応できるようにしている。



Q.鎌田社長の尊敬する師は?


鎌田(鎌倉投信):

 資産運用の仕事は難しい。

 投資先の情報をどのように伝えるか?資産形成につながっているか?あえて銀行や証券とタイアップしないで口コミで行なっている。

 お客様といい関係ができるが、問題はお金がすぐに集まらないこと。目標の100億円集まっていないことについて新井にいつも責められている。今日は言われなかったが(笑)


 心の支えになる人として、ツムラの加藤社長やトビムシの竹本社長などにお会いすることでエネルギーをいただいている。

 本気になりたければ本気の人のそばに行く。世の中にはたくさんそういう人がいる。



Q.3500人の従業員がいて人を大切にと言われていた。自分のいる会社はもっと従業員がいるが毎年リストラをしている。ツムラでは過去にはどうでしたか?また将来は?


加藤(ツムラ):

 日本でいちばん大切にしたい会社大賞の応募条件にここ10年リストラをしていないという条件がある。

ツムラが悪い会社だった時、再雇用の斡旋をしながらリストラをした経緯はある。今後はそういった事が無いようにしっかり地道に成長しながら雇用を確保していきたい。


新井(鎌倉投信):

 加藤社長が健常者と障碍者を机を並べて仕事をするのは本気度の違い。赤坂見附の本社は坂になっていて車椅子の方はなかな通勤が大変。区役所にかけあってスロープをなおしたり、トイレの改善など不便さはなおすが、あくまでも対等に。



Q.自分は花粉症がひどいが、杉の伐採をしないために花粉症が起きた。間伐をする必要があると思うが、健康上の問題含めてどう考えるか。


竹本(トビムシ):

 針葉樹が多いのは林業の構造的問題。

 近代化とリンクしている話。空間がコンクリートやプラスチックになることで花粉が付着しない空間で過ごすことが多くなった。(屋外もアスファルトで覆われたり、昔のように土に花粉が付着しなくなった)

 木の空間にいると木に付着して花粉も飛散しずらい。空間の中にいかに飛散しにくい木を使っていくか。

 杉だけ非難の対象になっているが・・・



Q.アスペルガー症候群の子供に対するボランティアをしている。一方で会計士をしているので経済合理性もわかる。障害者雇用は合理的経済的なのか?


加藤(ツムラ):

 どういう職種でどういう人材が必要か考える。障碍者でもできる内容であれば障碍者雇用する。

 人との巡り合いもあるので募集をかけて採用を常に行なっている。

 職場でどういう力を発揮するかは周りの環境しだい。


 隣にいたアスペルガー症候群の人は扇風機の使用を認めた。たまに大きな声を出すことも、サングラスの着用も。職場環境を整備することでとても素晴らしい成果を生み出すことにつながった。そこまでの過程はやってみないとわからない。症状は人それぞれなので地道にやっていく。

 それの繰り返し。


新井(鎌倉投信):

 鎌倉投信では障害者雇用率も見ている。

 普通に障害者雇用をしても儲けることはできるが我々が見ているのは本気度。障碍者が戦力として活躍できる場を設けているか?


 特例子会社を作るのは好きじゃない。一緒にやっていくのが経営能力。

 ツムラはそれができているので応援する。そうでないと会社は利益を産まない。


鎌田(鎌倉投信):

 社会性と経済性について竹本さんから


竹本(トビムシ):

 林業に限らず第一次産業は大変。ここには大きな構造がある。

 木が戦後に多く植えられて市場に出る前に市場が変わってしまった。

 安定的に出荷するために何をするか。

 木材は製品にして出荷しないと負け。木材のままではコストが合わない。


 ただし、大型の製材工場を作ると遠くから木材を運んでくることになる。

 例えば九州で大規模なペレット工場をやっても木を集める輸送費がかかり、スケールデメリットが生じる。結果として長続きしない。


 そこで皆さんの協力が必要

 構造上の問題を違った方向から解決していく



Q.先日西粟倉に行って感動した。素晴らしい人達が集まっている。
 工場をみたが、生産量と販売量のバランスについて


竹本(トビムシ):

 商品構成と木材の有効活用を考えている。

 柱を作って、周りを家具にするのが木材の王道。ただし、柱の価格が下がってしまった。

製材工場で柱をやろうとすると柱を作るために大量に木を切る必要があり、伐る人、運ぶ人、製材工場みんなが損をすることに。

 床板タイルは柱になるものをスライスすることで、中目をタイルにしている。これだと木をすべて使える。柱の場合は四角く切った端材が多く出てしまう。中目の小さな板を組み合わせる事で強度も増す。

 「ヒールで踏んでください」というちょっと危ないキャンペーンをやっているが、それでも大丈夫。


いい会社訪問をまた企画したい。


鎌田(鎌倉投信):

最後に一言


 加藤社長と就任前に食事をした。社長に就任したら何を最初にするかと聞いたら理念経営と話された。一人ひとり。いい会社の社長を見るときに何をやらないかはっきりいう人を重要視する。


 いい社長の条件は5つあると考えている。

  ・圧倒的な使命感

  •   ・謙虚

  ・人に対する関心が高い(社員、取引先など)

  ・勉強熱心(意思決定が早い)

  ・率先垂範現場主義


 若返ってどうだろう?とみられることも多いが鎌倉投信ではやったねと思っている。


 竹本さんについて。なにげなく話しているが、大変なことをやっている。新しい価値はそういうところから生まれるのかも。


 トビムシに出資するときに悩んだというが、「僕らにしか投資できないから」という新井さんの言葉があった。竹本さんからは「赤字で財政状況が厳しいが本当に投資していただけるか?」と聞かれたが、「あなたたちに賭けているんです。」と答えていた。


 分散投資の中でやっているのでお客様にご迷惑をおかけしないようにやっている。

 お金が集まればもっともっといい会社に投資できるようになる。